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自民が新理念・綱領案 試される憲法草案 改正に制約 保守色どこまで
十四日明らかになった自民党の新理念・綱領案は、保守政党らしさを強く打ち出した。最近の国政選挙で躍進を続ける民主党を意識した自民党が、どうすれば党勢を回復し、政権を維持できるか考えた末の「回答文」だ。一方、十一月の立党五十年党大会で新理念・綱領案と並び、新憲法草案を公表する方針だが、衆参両院の三分の二以上という憲法改正要件が制約となり、保守色を前面に出せるかは微妙な情勢だ。
◆「小泉」後
新理念・綱領案は「わが党は、先人たちが築き上げてきた日本の伝統と文化を尊び、その発展を目指す」「わが党は、自国の安全はみずからが守るという気概と使命感をもつ」(いずれも理念案)と、強く保守色を打ち出している。
これは小泉政権後をにらみ、次期総選挙で自民党は、民主党と政権をめぐる厳しい戦いを迫られるという問題意識に基づいたものだ。
自民党は昭和三十年の立党以来、自主憲法制定を党是に掲げながら、「五五年体制」「自社さ連立」「自公連立」時代を通して経済重視路線をひた走り、保守政党らしさを必ずしも出してこなかった。公明党との連立でも、自民党は教育基本法改正問題で「愛国心」の盛り込みに踏み切れず、防衛庁の省昇格も実現できないなど課題を克服できていない。
新理念・綱領案の前文は「この半世紀は、伝統や文化、美風といった、いわゆる『日本らしさ』が衰退していった」としたが、このほとんどの期間、政権を担っていたのは自民党であり、「責任は自民党自身にある」(若手)。
このため、立党五十年を機に改めて「保守政党としての存在意義」(党幹部)を「宣言」し、所属議員の自覚を促すとともに、保守層の支持固めをねらっている。
◆嘆きの声
新理念・綱領案が打ち出した保守政党らしさの試金石となるのは、十一月の党大会で同時に公表される新憲法草案だ。
自民党は十四日の新憲法起草委員会の委員長会議で、各小委から審議状況の報告を受け、「中間集約」をまとめた。
焦点の安全保障分野では、自衛隊を軍と位置づけ、条文化はしないものの集団的自衛権の行使にも道を開く方針を打ち出した。しかし、安全保障と並ぶ焦点といえる「天皇」「愛国心」では保守政党らしさが必ずしも示されていない。「天皇」を元首と明記することや「愛国心」の明文化は保守主義の象徴のように扱われてきたが、賛否両論があるとして結論を今月末に先送りした。
憲法改正要件の制約から、与謝野馨政調会長も公明党、民主党への配慮を口にしており、党内からは「自民党独自の新憲法草案をつくるのに、外国では当然といえるこれらの項目の盛り込みに腰が引けていて、なにが保守政党か」(閣僚経験者)との嘆きも漏れている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/15pol001.htm