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□時効成立後に自首、遺族が賠償提訴…女性小学教諭殺害 [読売新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050531-00000305-yom-soci
時効成立後に自首、遺族が賠償提訴…女性小学教諭殺害
1978年に東京都足立区立中川小学校の教諭だった石川千佳子さん(当時29歳)を殺害し、公訴時効(15年)の成立後に自首した同小警備員だった男(69)と、男を雇用していた足立区に対し、石川さんの遺族が計約1億8600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、31日、第1回口頭弁論が同地裁で開かれた。
被告側は殺害の事実を認めたうえで、不法行為から20年たつと賠償請求権が自動的に消滅する「除斥期間」が適用されるとして、請求棄却を求める答弁書を提出。足立区も同様に争う姿勢を示した。
訴状などによると、男は78年8月、同小の廊下で石川さんを殺害、当時住んでいた足立区内の自宅の床下に遺体を埋めたが、殺害から26年後の昨年8月に警視庁に自首。公訴時効が成立し、不起訴となった。
原告側は「自首した昨年8月まで遺体を隠し続けたことが一連の不法行為で、除斥期間は適用できない」と主張している。
(読売新聞) - 5月31日12時27分更新
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26年前に女性殺害と出頭 元の自宅から遺体発見(共同通信) ― 遺体は、拉致の疑いの「特定失踪者」だというが
http://www.asyura2.com/0406/nihon14/msg/231.html
[高村智庸の「ワイドショー事件簿」]から
http://www.janjan.jp/column/0409/0409098784/1.php
時効後発覚した女性教師殺人事件の顛末 2004/09/11
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「まだ、姉だと確定していませんから……」その男性は、私の目をじっと見ながら、その先の言葉を飲み込んだ。
8月21日、警視庁綾瀬署に68歳の男が自首した。今から26年前、東京・足立区の区立小学校で警備員をしていたこの男は、教諭の石川千佳子さん(当時29歳)を殺害し、この男が住んでいた自宅の床下に遺体を埋めたというのだ。
翌22日、男の元自宅の床下約1メートルから、ビニールシートに包まれた遺体と石川さんの名前が入った所持品が見つかった。この男は警察の調べに対し、1978年8月14日午後4時半ころ、夏休み中の誰もいない小学校内で、「廊下を歩いていたら、出会い頭に石川さんとぶつかり、口論となった。石川さんに騒がれたので、口をふさいで殺した」という。その後石川さんの遺体を車で自宅まで運び、妻の留守中に4時間かけて、スコップで床下に穴を堀って埋めたという。
男の供述どおりなら、事件に至る事情の真偽は別にしても、発見された遺体は石川千佳子さんということになるが、警察は見つかった遺体をDNA鑑定して身元の確認を急いでいる。石川千佳子さんは北海道小樽市に生まれた。札幌の大学を卒業後、東京の小学校の教諭になったという。小樽市に住む千佳子さんの弟・憲さんに会った。
千佳子さんは78年の7月末から8月12日まで、東京都教職員生協主催の東西ヨーロッパ研修旅行に行っていた。その直後の8月15日、勤務先の校長から「当直なのに出勤していない、そちらに居ませんか」と小樽市の実家に連絡が入った。家族にはまったく心当たりがなく、警察に家出人捜索願を出したものの、行方が分からないまま時は過ぎて行ったという。
それから10年程した87年、大韓航空機爆破事件が起きた。実行犯キム・ヒョンヒの日本人教育係「李恩恵」が、もしかしたら石川千佳子さんではないかと考え、北朝鮮による拉致の可能性を考えたという。そして、蓮池さん、地村さん、曽我さんら5人が帰国した姿を見て、生きているならいつか帰ってくるとの思いから特定失踪者問題調査会に届け出て、93年には名前と写真を公開していた。
自首した男が千佳子さんと口論になったと言っている事について、弟の憲さんは「それは無いと思います。姉が人と争う姿を見たことがありません、穏やかな性格でしたから」さらに「死人に口無しですよね」とも言った。この遺体が姉の千佳子さんだと確定したら、千佳子さんのことを心配しながら、胃がんで亡くなったお父さんの墓に一緒にしてあげたい、と話してくれた。
26年に渡って隠し続けていた男が自首することになった背景には、ある事情があった。事件当時、この男は東京・足立区に住んでいたのだが、道路拡張のための区画整理事業が進められていた為、かなり前から立ち退きを迫られていた。住んでいた家が取り壊され更地になれば、隠してきた遺体が発見され、石川さん殺害がばれてしまう。男は抵抗した。区役所には「高齢の夫婦二人暮しで、移転できない」と強硬に拒んだという。
私は8月末、足立区の男が以前住んでいた所に行ってみた。その2階建ての家は他人を一切寄せ付けまいとするかのように、まだ建っていた。
周囲を2メートルほどの塀で覆い、その上には金属性の網や有刺鉄線が張り巡らされ、入口には防犯用のカメラまで設置されていた。近所とは挨拶も交わさず、子供が騒ぐと言っては怒鳴り散らし、棒を手に追いかけ回したり、宅配便が来ても門の外で受け取るなど、自分の家から人を遠ざけていた。ゴミだしも自分でやり、妻ですら外出させていなかったのか、1人住まいだと勘違いしている人もいた。ただただ発覚を恐れ、隠し通そうとする男のずる賢さしか感じられなかった。
この男は殺人事件が「時効」であることを知っていたという。
68歳の自首した男は、現在千葉県内に妻と住んでいる。なぜ石川千佳子さんを殺したのか、石川さんに対してどう思っているのか、今までどのように生きてきたのか、これからどうするつもりなのか等々疑問は尽きない。しかし、男は一言も答えることは無く、謝罪の言葉も無かった。そして「自分の姿や音声を放送したら告訴する」とだけ言った。
この殺人事件は時効(15年)が成立しているため、この男を法律で罰することは出来ない。被害者やその家族にとって、これほど納得のいかないものはない。
公訴時効の根拠には、長い時間の経過によって証拠が散逸していること。犯人は長い間、良心の呵責と後悔の念をもって生活してきたが故に、実際の罰を受けたのと同じ状態にあることなどが挙げられている。しかし、この男の場合、これらの根拠の当てはまるのだろうか。
そしてまた新たに、殺人事件の時効が成立して、不起訴になった男がいることが分かった。約20年にわたって空き巣や事務所荒らしを繰り返し、今年1月に千葉県警に窃盗容疑で逮捕され、公判中の42歳・無職の男である。
この男は、今年1月に逮捕された時、茨城県取手市に豪邸を持っていたことで話題になった。150平米のブロック塀で囲まれた、コンクリート造りの建物は、地上3階地下1階で、ドアには3個のカギと防犯カメラが設置されていた。建設費用約5000万円。これすべて20年に渡る泥棒によって造られたものだった。
調べによると、男は16年前の88年11月1日、東京・昭島市の公団で、主婦(当時40歳)の胸を刺し、殺害したと自供した。裏付け捜査の結果、男の供述には矛盾は無く主婦殺害の犯人と断定されたものの、この事件も時効の成立により、自供した男は不起訴処分になったという。
ここに挙げた2人の男は、ただ単に15年以上の時間を逃げ延びたということであって、自分の罪に良心の呵責や後悔の念を持って生きてきたとは、到底思えない。まさに「逃げ得」以外のなにものでもない。
殺人がたった15年で免責されてしまう。殺人罪などの時効が短すぎるという議論はされている。がしかし、被害者や遺族にとっては、なんとも許しがたい気持ちだろうと思う。
もし時効前だったらどうしたのか、本当のことを話したのだろうか。
(高村智庸)