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「ブレーキの謎」 JR福知山線事故関連
http://www.asyura2.com/0502/nihon16/msg/854.html
投稿者 外野 日時 2005 年 5 月 22 日 13:24:07: XZP4hFjFHTtWY

未確認情報として、事故を起こした207系電車は事故後にブレーキパッドの交換をし、0番台車両(事故車両は0番台と1000番台との混合編成:参考─ http://www.rail.ac/jr/car/207/main.html )は運用を中止しているのだそうです。
207系は2003年末に、停止時などのブレーキの金属音がうるさいという苦情が出ていたため、ブレーキ性能そのものには問題はなかったのですがブレーキの改造が施されることに決まったのだそうです。どのような改造であったのかは不明です。

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TOM'S DINER
http://homepage1.nifty.com/kasatosi/column185.html

ブレーキの謎

 死者107人というJR史上最悪の死者を出した尼崎の脱線転覆事故から二週間が過ぎ、事故の概要がだいぶ明らかになってきた・・・と書きたかったところだが、出てくるのは事故当日JR西日本職員がボウリング大会をしていたとか、後日代議士を呼んで宴会を開いたとか、確かにJR西日本の体質を示してはいるものの、はっきり言って瑣末なことばかり。肝心の事故原因については、カーブ直前の最高速度が時速126キロであったとか(ここの直線での最高速度は120キロとされているが、新幹線以外の日本の鉄道の法定最高速度は何の指示もない場合は時速130キロであり、それを上回る速度までは出ていなかったということだ)非常ブレーキをかけたとかかけないとか、あまり要領を得ないことばかりであり、全般に死亡した運転士にすべての責任があるかのような論調が目立つ。

 300Rというカーブは確かに緩いカーブではないが、極端にスピードを下げなければ通過できないほどの急カーブではなく、安全率を考慮すれば、時速100キロ程度の速度では無事通過できなくてはならないし、もしそれでも危険なら制限速度をもっと低く設定すべきだっただろう(安全率を1.5とすれば、時速66キロ程度)事故発生当初、電車の軽量化が転覆の可能性を大きくしたのではないかといわれていたが、考えてみればそれもおかしな話で、逆に軽量化のメリットの一つとして、低重心化による転覆事故の減少もあげられているのだ。ボディを新素材化して軽量化をはかっても、モーターや台車はそれほど軽量化できず、その結果として全体の重心が低くなり、転覆事故の可能性も低くなるという理屈である。一説によると空気バネの不調が転覆に関わっていたかもしれないということだが、いまのところ仮説の域を出ないものであり、事故調の報告が出ないかぎりなんともいえない。一部のマスコミでは空気バネを新技術のようにいっているが、新幹線開通当時から広く使われているポピュラーな技術であり、初登場から50年にもわたる実績がある。もちろん、だからといって事故原因にならないとはいわないが、何か書くのならもう少し調べてからにして欲しいものである。

 しかしなんといっても、速度超過が事故の第一原因であったことはまず間違いないところだが、問題はなぜそんな高速でカーブに進入しなければならなかったかである。一般的な論調では、死亡した運転士が一分半の遅れを取り戻すために、速度超過のままでカーブに突入したことになっているが、当の運転士は死亡してしまったので、今となっては彼の心のうちを知る術はない。事故を起こした207系通勤電車は、福知山線に入る前に大阪・京橋→尼崎間の東西線を普通電車として、死亡した運転士によって運行されており、その後、回送電車として尼崎から宝塚に回送されるのだが、その宝塚駅ですでに最初のオーバーランを起こしている。しかしこれは人を乗せてはおらず、始発として発車するまでまだ間があったので、ダイヤの遅れに直結することはなかった。定刻の9時3分に発車した電車は、最初の停車駅中山寺では、駆け込み乗車などのために定刻よりやや遅れたものの、大きなトラブルもなく発車するが、次の川西池田でふたたび数メートルのオーバーランを起こす。この時は特に停車位置の修正などはせず、そのまま発車したようだが、この時点で電車は30秒の遅れを出している。そして次の伊丹で今度は60メートル、つまり電車3輛分もの距離をオーバーランすることになるのだが、運転士は「電車がとまらない」旨の発言をしていた、と事故当初の報道では言われていたように記憶している。実際この時、運転士は非常ブレーキによる急制動で停車させており、心理的に追いつめられていたことは確かだろう。

 そして、次の尼崎駅の直前のカーブで事故は起きるわけだが、この時も運転士は非常ブレーキを作動させていた、と当初は報道されていた。しかしその後、車掌の「減速はなかった」という証言や、急制動をかけたときに車輪に残る「スキッド痕」とよばれるフラットスポットがみられないことから、実は非常ブレーキはかかっていなかったのではないかという説が浮上する。しかしこの説はブレーキレバーの位置や、モニター制御装置の記録と符合しないためか、ここ数日無視された形になっている。

 さて、問題の207系電車のブレーキだが、基本的にはほかのJR車両同様、運転席の右側にあり、手前から奥に向かって押すレバーになっており、ブレーキの強さは8段階、いちばん奥が非常ブレーキのポジションになっている。電車のブレーキには、駆動するモーターを発電機として作動させ、その抵抗をブレーキとして利用する電気ブレーキと、車輪にブレーキパッドを押し当てる物理ブレーキの二種類があり、両者を併用している。かつては電気ブレーキにより発電されたエネルギーは無駄に捨てられていたが、現在では省エネルギーのために架線を通して戻されるので、回生ブレーキと呼ばれている。一方の物理ブレーキは、空気圧を利用していることから空気ブレーキと呼ばれることも多い。回生ブレーキは車輪の回転エネルギーそのものを吸収するので効き方がマイルドであり、アンチスキッド・ブレーキ(車輪をロックさせないブレーキ)なので、車輪を痛めることも少ない。高速走行中の行き足を緩めるためにもっとも多用されるブレーキと言える。空気ブレーキの方は、パッドを押し当ててブレーキをかけるので効きはいいのだが、強くかけると車輪をロックさせてしまうため乗客へのショックが大きく、また、ロックした車輪でしばらく走行してしまうため、レールとの接触部分が削れて平らな面ができてしまう。これがいわゆる「スキッド痕」で、これのある車輌は走行中床下からガタガタという絶え間ない振動があり、かなり不快なため、非常ブレーキはできるだけ使わないで済ませるのが普通だ。8段階のブレーキのうち、回生ブレーキと空気ブレーキの比率がどうなっているのかは専門家ではないからわからないが、少なくとも弱い段階ではほぼ100%が回生ブレーキであり、一方非常ブレーキは全制動であるから、回生、空気ブレーキとも最高度の効きを示しているのだろうと思う(その後調べたところでは、やはり回生ブレーキの効く速度では極力回生ブレーキを用い、低速になって起電力が減少し、架線に電力を返せなくなった時点で空気ブレーキに切り替わるようつねに演算・制御しているようだ。また、非常ブレーキといってもパッドを全力で車輪に押し当てているわけではなく、やはりアンチスキッド・ブレーキとして回転をある程度維持しているらしい。とすると、非常ブレーキがかかっていてもいわゆる「スキッド痕」は残りづらいことになるのかも知れない)

 事故を起こした運転士は、直前に数回のオーバーランを起こし、そのたびに非常ブレーキを使って停止していたといわれている。そのことは、たびたび取り上げているモニター制御装置の記録から確かめられているのだが、前述の通り、ブレーキレバーの構造からしていきなり非常ブレーキを作動させることは難しい。もちろん、一足飛びにレバーを非常ブレーキの位置まで押し込むことも不可能ではないだろうが、なぜそんな無理な操作をするのか、理由がわからない。ひとつ前の駅で数メートルのオーバーランをおかした運転士が、二度続けて、しかも二度目は60メートルという、不注意というだけでは説明のつかない距離のオーバーランをおかすものだろうか。その時点で取り戻さなければならない遅れがかなりあったというなら別だが、まだ30秒の遅れである。普通なら、無事に停車したあとカーブ直前の直線で取り戻せばいい、という程度の遅れであり、この時点ではむしろ慎重な停車を心がけていいはずである。にもかかわらず、彼は60メートルものオーバーランをしてしまい、次の駅に到着することはなかった。

 ところでこのモニター制御装置、一体どこからの信号を記録していたのだろう。運転台のレバー操作の信号か、それともブレーキの作動そのものを記録していたのだろうか。前者なら運転士の行動をそのまま記録していたわけだから問題はないが、もしブレーキの作動、つまり回生ブレーキの発電量や、空気ブレーキの作動量を記録していたのだとしたら、運転士の操作が完全には記録されていない可能性がある。特に、回生ブレーキは機械式の作動が介在する空気ブレーキの場合と違い、完全に電気的な作動であるために、証拠が残りにくいといえるだろう。つまり、何らかの原因で回生ブレーキの操作がモーターに伝わらなかった場合、運転士が必死に通常ブレーキをかけても制動できず、やむなく非常ブレーキを使ったとしても、記録上は突然非常ブレーキをかけたように見える可能性もあるわけだ。いずれにしろモニター制御装置の記録は、非常ブレーキが作動する前後5秒間ずつのデータしか記録されておらず、そのデータもここに書いたほど緻密なものではないのかも知れない。せいぜい速度変化と時間データ程度しか記録されていなかったとしたら、どのみち運転士のブレーキレバーの操作など、正確に再現するのは不可能だろう。

 こうした100%電気的なシステムでは、たとえば航空機のフライ・バイ・ワイヤ(すべての舵の作動量をコンピューターがコントロールし、パイロットはそのための指令を電線を通してコンピューターに伝えるのでそう呼ばれる)システムの場合にはラインを四重にしてトラブルに備えている。回生ブレーキの冗長性がどの程度か知らないが、あるいは航空機ほどのフェイル・セイフは考慮されていなかったのかもしれない。「回生ブレーキ」という名前のブレーキ装置が存在しているわけではないから、事故により運転席が完全に破壊されてしまった今回のような場合、台車のモーターそのものに異常がなければ、結局原因が発見されずじまいになることもあり得るのではないだろうか。

 もし万一、回生ブレーキに何らかの問題があったと考えると、運転士の不可解な行動のほとんどは辻褄が合う。何度もオーバーランをして、そのつど非常ブレーキをかけていたのは、いつもどおり通常ブレーキ(回生ブレーキ)をかけても全然電車の速度が落ちなかったからであり、東西線を走っていたときには特に問題がなかったのは、その時点ではまだ故障が顕著には出ていなかったからだろう。ところが福知山線に回送されるあたりで電気系統になんらかの不具合が生じ、回生ブレーキがまともに作動しなくなりはじめる。当初はまだ「効きが甘い」程度だったのが、伊丹ではほとんど効かなくなり、非常ブレーキをかけても60メートルもオーバーランしてしまう。にもかかわらず、彼があのカーブに時速120キロを超える高速で突っ込んでいったのは、なにより定刻を守らなければ、というプレッシャーがあったのと、最悪の場合でも非常ブレーキを使えば何とか停まれる、という目算があったからだろう。しかし、カーブに近づいて通常ブレーキをかけてもやはり電車の行き足は落ちず、カーブの30メートル手前で非常ブレーキをかけたにもかかわらず、時速100キロを超えるスピードで電車はカーブに突っ込んでしまった。それでも彼は衝突の寸前まで何とか電車を止めようと格闘しており、事故後四日目にようやく収容された遺体は、ブレーキレバーを握りしめていたという。こう考えると、ひょっとしたら彼は事故の原因を作ったどころか、事故の最初の犠牲者だったかもしれないのだ。

 もちろん、現段階では以上のことは「こういうふうにも考えられる」可能性にすぎない。しかし、同じことは運転士の過失を第一原因とする見方にもいえるはずであり、あたかも彼を事件の犯人のごとく扱い、どんな異常な運転もその原因が運転士本人の運転技量や精神状態にあるかのような報道姿勢には、首をかしげざるを得ない。マスコミの役割は犯人探しではない、とはずいぶん昔からいわれていることだと思うのだが、どうやらこの国のマスコミ人、やはりホリエモン氏のような人物にいちど徹底的に引っかき回されないと駄目なようだ^^;

 追記====昨日(5月11日)の報道によると、事故を起こした車輌はブレーキの効きにくい車体として、運転士の間では有名だったそうだ。車輌によってブレーキの効き方には個体差があるので、運転士は始業の時にまず軽くブレーキをかけ、その効きを確かめるのが日課になっているのだという。ちなみにこうしたことについてJR西日本は「事故車輌は新造車で、そうしたことはありえない」と否定している。とにかく、この段階になってようやく車体の方にも関心が出てきたことは、評価していいかもしれない。
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700人の死傷者が出て、JRの関係者はものが言いにくいかもしれませんが、事故の真因をつきとめ、今後同じような惨事を起こさないために、究明に役立つ証言は臆せずしてほしいと思います。

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