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■国共済加入継続へ 郵政民営化後の公社職員
基盤維持、苦肉の策
郵政民営化による職員約27万人の「非公務員化」が、国家公務員共済年金(国共済)の命運を握っている。組合員の25%を占める日本郵政公社共済組合が離脱すれば、国共済の基盤は揺るぎ、厚生年金との早期一元化論に勢いをつけかねない。しかし、共済年金には厚生年金にない優遇措置が多く、国家公務員には統合への抵抗感が根強い。このため、政府は民営化後も当面、郵政職員を国共済に加入したままとする苦肉の策をとり、結論を年金一元化の議論が決着するまで先送りする方針だ。(日浦統、庄司将晃)
●年金統合に抵抗感
「国鉄や電電公社の民営化の際も同じ問題があった。どうしたかというと、10〜12年かけて制度を移行させた」
竹中郵政民営化担当相は2月の衆院予算委員会で、郵政職員の国共済から厚生年金への移行に関する質問に答弁した。
元々、国鉄(現JR)、専売公社(同JT)、電電公社(同NTT)の旧3共済組合は国共済の一部だった。97年4月に厚生年金に統合されたものの、民営化から10〜12年間は国共済にとどまった。竹中氏の発言は「郵政共済が07年の民営化と同時に国共済から離脱することはない」と受け止められた。
郵政民営化準備室は「当面、国共済にとどまるという選択肢しかない」(幹部)と説明する。民営化で職員に不満がたまっているところに、厚生年金と統合することになれば、火に油を注ぎかねない。
共済年金には独自の上乗せである「職域加算」や配偶者や子供だけでなく、父母や孫、祖父母などの親族にも遺族年金の受給者が移る制度など「民」にはない優遇措置も多い。厚生年金と統合すれば、これらの優遇措置がなくなる可能性があるためだ。
郵政共済の離脱が注目され始めたのは、郵政民営化の基本方針が閣議決定された昨年9月10日。麻生総務相の「民間なのだから厚生年金に移行する」との発言が発端だった。
当時は国民年金を含む公的年金一元化の可能性の議論が政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」で始まったものの、自民党と民主党との政党間協議は暗礁に乗り上げていた。郵政共済問題は議論を前進させるきっかけになると期待する向きもあった。
これに対し、財務省は「民営化したJRやJT、NTTもしばらくは国共済に残った」として、即時移行には消極的だった。直前の法改正で国共済は地方公務員共済年金(地共済)との間で資金の過不足を融通しあう財政部門の一元化を導入、5年間かけて保険料率の一本化を図る方針を決めたばかりだった。
郵政民営化で国共済が厚生年金に一元化されるようなことがあれば、地共済にも影響が出かねず、財務省には大幅な制度設計の変更は避けたいという思惑があった。
財務省は、郵政共済の離脱による国共済への影響についても「27万人の現役が抜けるが、同時に受給者24万人も抜けるので財政的な影響は少ない」と強調し、厚生年金との統合論の高まりを牽制(けんせい)している。
ただ、今後も行財政改革の進展で公務員数はさらなる減少を避けられない見通し。
関係者の間では、年金制度の支え手である現役職員が減少する国共済や地共済は、厚生年金との一元化が必至との見方が一般的になりつつある。
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