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外堀埋まり堤氏“白旗”
西武再編案受け入れ
西武グループを事実上支配してきた堤義明前コクド会長が、西武グループ経営改革委員会の再編案を受け入れた。司法当局による捜査が迫る中、“白旗”を上げた形だ。だが、これでグループが立ち直るかどうかは不透明だ。主役が姿を見せない“受け入れ劇”を再現しながら、山積する課題を検証した。 (経済部・村上豊)
■お言葉
「何で堤前会長は出てこないんだ」
国土交通省で開かれた記者会見。大野俊幸コクド社長に厳しい質問が集中した。
大野社長によると、二十五日午前九時に前会長から連絡が入り、十一時に都内で面会した。「手術したので以前よりやせていたけれど、元気だった」という。
面会で前会長は約五分間、「誠に申し訳なく思う。(再編案を)承認します」などとするコメントを述べた。その後、大野社長は自ら質問することもなく、スキー場の厳しい営業状況を説明し、その場を去ったという。
つまり大野社長はグループ総帥の“お言葉”を会見で伝えただけ。前会長のいう「承認」が、再編案を実際どこまで認めたのかは不明なままだ。大野社長も「経営改革委の再編案に従うと思う」と自信なさげだ。
■変化
前会長は改革委から一月末にグループ再編案の提示を受けた後、「二月末まで待ってくれ」と態度を保留していた。自らの影響力が排除される内容に不快感を示したとされる。しかし、回答期限までの一カ月間で周囲の情勢は激変した。
今月に入り、西武鉄道株の虚偽記載問題で前会長側近が東京地検特捜部から事情聴取され、自らも二十二日に聴取された。その中の一人、小柳皓正(てるまさ)前西武鉄道社長は自殺。グループから二人目の自殺者を出し「(前会長は)深く悲しんだ」(大野社長)という。
グループの堤家離れも加速した。今月十八日、海洋資材などを製造する「西武ポリマ化成」(東京)が、約百七十億円の負債を抱えて民事再生法を申請。同社はグループ企業ではないが、創業者の故堤康次郎氏が一九一七年に設立したゆかりの会社だった。関係者によると「グループからの支援が得られなくなった」ため法的整理の道を選んだという。
さらに西武鉄道は遊園地「としまえん」(東京都練馬区)を運営する豊島園の損失処理に絡み、堤義明氏の実弟の堤康弘氏を同社社長から外した。しかし、康弘氏を含めた実弟二人が「コクド株は義明氏ではなく堤家のもの」と財産分与を訴え、堤家内の“骨肉の争い”も表面化した。
外堀が徐々に埋められる中、前会長は今月二十日、改革委との交渉役だった弁護士を解任し、方針に従うことを決めた。
■課題 まだ残る“お伺い体質”
西武グループは三月末に改革委がまとめる再編案の最終報告に向け、ついに前会長からお墨付きを得た。だが−。
再編案では、前会長のグループ持ち株比率を何%にするかが焦点。影響力を排除するには、実質的に前会長が大半を保有するともいわれるコクド株の持ち株比率を大幅に低下させる必要がある。しかし、具体的な比率や、比率低下に向けた増資方法などは何も決まっていない。
また大野社長に代表されるように、グループ内に浸透する“お伺い体質”の改善にも時間がかかりそうだ。昨年三月からの不祥事などで経営幹部の多くが会社を去った一方、リーダーシップを取れる人材は不足気味だ。
“新西武”の次期社長には主力銀行のみずほコーポレート銀行から後藤高志副頭取を招聘(しょうへい)したものの、長年の“独裁”に慣れきった体質を変えるのは容易ではない。
■メモ
<西武グループ経営改革委員会の中間報告> グループ再編案として、中核会社のコクドを事業会社の新コクドと資産管理会社の旧コクドに分割。新コクドを西武鉄道とプリンスホテルに合併させ新西武をつくり、金融機関から1500億−2000億円の増資を行う。堤義明前コクド会長の持ち株比率は大幅に低下し、影響力が排除される。ほかに国内160のレジャー施設・ホテルのうち、40施設を売却・撤退の対象にしている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050226/mng_____kakushin000.shtml