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米国に追従する「規制緩和」の恐るべき(お粗末な?)実態
「JMM [Japan Mail Media /『鉄道運転士と専門職』/冷泉彰彦氏(米国在住、作家/2005.4.30発行)執筆」の中に“・・・今週発表された「労働基準法の改正の方向性」では、時間外手当ての適用除外を広げる、つまり管理職でない人でも時間外手当てを払わなくても構わない、という範囲を広げるという案のようです・・・”という記述がありました。要するに、これは「サービス残業の合法化」ということであり、現状が法律(この場合は労基法)に合わないから、その法律の方を変えてしまえ、という安直でバカゲた発想だと思います。日本国憲法が時代に合わなくなったから、いっそのこと、その内容を変えてしまえというのと同じ思考パターンであり、これが事実なら見過ごせない動向です。
そこで、ML仲間等へ問い合わせるなどして情報を集めたところ、次のような概要が分かりました。
(1)冷泉氏が述べている「サービス残業の合法化」の方向づけというのは、具体的には下記の厚生労働省における研究会の発表である。
●今後の労働契約法制の在り方に関する研究会「中間取りまとめ」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/dl/s0413-8d.pdf(この資料の最終ページに関連部分の記述がある)
(2)この問題を早くから取り上げ、フォローしてきた下記のサイトがある。
●日本労働弁護団
http://homepage1.nifty.com/rouben/
●(同弁護団)労働法関連、法改正・立法動向(執筆、弁護士・小川英郎氏)
http://homepage1.nifty.com/rouben/rippou.htm
これらを参考にポイントをまとめておくと、次のようになる。
★日本の労働基準法に当たるアメリカの法律は「公正労働基準法」(Fair Labor Standard Act/FLSA/連邦法)である。そして、このFLSAによると、使用者が労働者に週40時間を超える労働をさせた場合、通常の賃金の1.5倍以上の割増賃金を支払うことになっている。この原則が適用除外になる労働者層(外勤セールスマンなど広範囲の職種が規定されている)おり、これが「エグゼンプション制度/White-collar Exemption」(FLSAの適用除外対象の労働者層)と呼ばれる。
★アメリカ(ブッシュ政権)の“ご指示に従って”、この「FLSAの適用除外部分」、つまり「White-collar Exemption」を日本の労働法制へ付け加える形で、日本の労働環境の規制緩和を推進するというのが日本政府(厚生労働省)の狙いである。また、日本経団連の代表者も、この「エグゼンプション制度」の適用範囲(対象労働者層)の拡大を期待するという主旨(本音)の発言をしている。
★しかし、肝心のアメリカでも、ブッシュ政権が低所得層労働者のわずかな時間外手当までを剥奪するということに対する反発が大きい。また、時間外労働に関する「三六(サブロク)協定」を定めている日本の法体系に、根本理念が異なるアメリカの法制から「エグゼンプション制度」だけを、ご都合主義でチョコンと接木するようなことは許されない。このような行政行為そのものに憲法違反の疑念がある。
★この「中間とりまとめ」には、「労働者の創造的・専門的能力を発揮できる自律的な働き方に対応した労働時間法制の見直し」という御用学者流の奇麗ごとが書かれている。しかし、本音はアメリカのご意向に従いつつ労働条件が過酷で“効率が良い日本奴隷工房”を作りますということであろう。
★また、創造的・専門的能力という“錦の御旗”の下で下請けや外注先の労働者が劣悪な労働・環境条件の下で無賃金で働かされるハメになるのが目に見えるようである。今回のJR西日本の悲惨な事故を教訓にした「国家的リスク管理体制への方針転換」どころか、よほど国民がシッカリ政府の動きを監視しないと、ますます日本は「危険な労働環境が整備される悲惨な国」へ向かって進むことになるだろう。
★先に、この「ポイントのまとめ」の部分で『アメリカ(ブッシュ政権)の“ご指示に従って”、この「FLSAの適用除外部分」、つまり「エグゼンプション制度」を日本の労働法制へ付け加える・・・』と書いたが、これは決してオーバーな表現ではない。実は、「司法制度改革」にせよ、「郵政改革」にせよ、今、我が国で進められつつある「構造改革、規制緩和」の中身は悉くアメリカ政府のお達しに従ったものであることが、下のURLの内容を読めばで分かるはずである。
●日本政府に規制改革要望書を提出/米国通商代表部(米国大使館HP)
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041015-50.html
●日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.html#mineika-s(米国大使館HP)
(参考URL)
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/
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