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【キエフ＝古本朗】ウクライナ大統領選をめぐる政治危機は２５日夜（日本時間２６日未明）、選挙結果受け入れを拒否した野党指導者ビクトル・ユシチェンコ候補（５０）の陣営が政府ビルなど全官庁の完全封鎖を支持者に命じ、クチマ現大統領に対して２６日に全権を引き渡すよう最後通告を突きつける事態に発展した。
同時に、独自の治安軍を持つ臨時革命政府の樹立を宣言。警察の野党側寝返りが加速した状況などを見て、革命発動のカケに出た模様で、危機は最大の山場を迎えた。
ウクライナ最高裁はこれに先立つ２５日、ビクトル・ヤヌコビッチ首相（５４）が勝利したとする中央選管発表の選挙結果について、官報への記載を差し止める仮処分決定を下した。最高裁は２９日に異議申し立てを審理する。
野党陣営は２５日、キエフ「独立広場」に集結した支持者を前に「６か条指令」を発表した。指令は、「人民権力の再興」との表現により革命始動を宣言。先に創設した「救国委員会」にユシチェンコ氏を長とする臨時革命政府の機能を与え、選対委員長アレクサンドル・ジムチェンコ氏を長に内閣「執行委員会」を創設するとした。さらに、「国内の法的秩序保持」のため、治安軍「ウクライナ親衛隊」を発足させるとした。
ユシチェンコ氏の盟友、ユリヤ・チモシェンコ元副首相は集会で演説し、２６日から、現在デモ隊で包囲している大統領府を含む全国家官庁を完全封鎖し機能を停止させると宣言した。さらに、クチマ大統領が同日中に「自発的な権力引き渡し」に応じなければ、２７日から「全国の幹線道路、鉄道を全面封鎖する」との最後通告を発した。
◆警察など、続々野党側へ寝返り◆
同国内では警察などから野党側への寝返りが相次いでいる。２５日までに、治安警察の高級幹部や検察官５０人が野党側へ移った。野党陣営は治安軍設置を発表することで、警察官など治安機関関係者の受け皿を作ったと見られる。同国の軍自体は、与野党対立の危機を静観している模様だ。
同国の３大テレビのうち、「１プラス１」は、野党側デモの映像を放映し始めるなど、政権側から離反する動きを見せている。「大統領当選」が確定していたヤヌコビッチ首相は、「国家機関への最後通告や圧力で危機は打開できない」と述べた。２５日未明時点でキエフでは野党デモ隊の街頭行動が続いたが、警官隊との衝突などは見られない。だが、東部ドネツク州では、報道によると、野党側集団が州・市議会ビルの占拠を図ったため、地元特殊部隊が出動した。
(2004/11/26/12:42 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20041126it02.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。