現在地 HOME > 掲示板 > 戦争63 > 219.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
11月15日 ◎パレスチナにネルソン・マンデラは現れないか ◎米国のミサイル防衛計画に組み込まれる日本
■□■ ■
□★□ 天木直人11月15日 メディア裏読み □
■□■ ■
◎パレスチナにネルソン・マンデラは現れないか
◎米国のミサイル防衛計画に組み込まれる日本
◇◆ パレスチナにネルソン・マンデラは現れないか ◆◇
15日の各紙は、来年1月9日、アラファト前議長の後継者を決めるパレスチナ自治政府議長選が行われる事になったと一斉に報じている。その候補者の一人にマルワン・バグルーティ(45)の名があった。2000年の末に始まった第二インティファーダ(人民蜂起)の指導者で、テロに関与したとしてイスラエルによって終身刑を言い渡され獄中にある男だ。もとより私は彼との面識はない。彼の名前を覚えているのは彼がレバノンに住むパレスチナの若者の間で英雄のように語られていたからだ。今すぐ選挙をすれば過半数の支持を得られる只一人の男であるという報道もある。
武装抵抗の指導者である彼をイスラエルは釈放しないであろうし、米国も彼を交渉相手とみなさないであろう。しかし私は彼に望みたい。獄中から立候補宣言をしてパレスチナの若者たちに武器を捨てて政治闘争を呼びかける事を。はやる若者を抑え、結束させて、イスラエルとの政治交渉を始めさせるのだ。そうすることによって、パレスチナを認める気がはじめからないイスラエルの正体を白日の下にさらすことが出来るのだ。パレスチナの独立に向けて国際世論を味方につけるのだ。
南アフリカの抵抗組織であるアフリカ国民会議(ANC)の指導者であるネルソン・マンデラが27年にわたる獄中生活から解放された時、私は彼と二人だけで話す機会があった。「常に国際世論を味方につけるようにして頑張ってください」。そんな私の僭越な発言をも黙って聞き流していたマンデラは、文字通り南ア黒人の統合の象徴として白人との和解の下に黒人政権を打ち立てた。
パレスチナの抵抗組織は過激で分裂している。イスラエル政権は、南ア白人政権よりもはるかに強硬である。しかしイスラエルという強大な相手を前に抵抗を続けるには、国際世論を味方につける他はない。
バグルーティよ。獄中から立候補宣言をし、パレスチナのマンデラになってくれないか。国際世論を味方につけてイスラエルと米国の圧力に対峙していくにはそれしかないのだ。
来年の1月は、イラクの選挙とともにパレスチナの選挙からも目が離せない。
◇◆ 米国のミサイル防衛計画に組み込まれる日本 ◆◇
日本は米国の言いなりになってここまでミサイル防衛計画に組み込まれてしまっていいのだろうか。15日の朝日新聞の「動き出すミサイル防衛」という特集記事を読んで私は暗澹とした気持ちになった。私もそうであるが読者の多くも軍事専門家ではないだろう。しかし朝日新聞の特集記事が教えてくれる次の事柄だけでも我々は知っておいたほうがいい。
1. 米国のミサイル防衛システム導入を決めた初の同盟国である日本
02年12月16日、ワシントン郊外のミサイル防衛局を表敬訪問していた石破防衛庁長官と守屋武昌防衛局長は米側の発言に釘付けになった。
「明日ミサイル防衛(MD)の初期配備方針についての大統領声明を発表します」
守屋局長は「えっ?」と思った。あと3〜4年はかかるだろうとみていたからだ。どう対応していいかわからなかった。日米間でミサイル防衛の情報にギャップがありすぎたのだ。しかしそれからわずか一年、防衛庁は急遽MDの調査分析チームをつくって日米間を何度も往復させ、駆け足で検討を重ねて03年12月に導入を閣議決定した。他の同盟各国が協力姿勢を示しながらも米国の開発状況を見守っている段階で日本の協力ぶりは際立っているのだ。
2. ミサイル防衛システムは産軍複合体の産物
冷戦後の90年代末に基地閉鎖が決定し、ゴーストタウン寸前だったアラスカ州のデルタジャンクションはにわかに息を吹き返した。MD基地の建設には3億ドル以上の資金がつぎ込まれ、ボーイング社やベクテル社などが受注した。零下50度に達する厳寒期も、30度を超す酷暑でも、千人近い労働者が昼夜交代で働き続けた。ハーフコースのゴルフ場まで建設する計画だ。担当者は「アラスカの厳しい自然を考えると、前代未聞の偉業だ」と手放しでたたえる。そして「これは到達点ではない。まだ始まったばかりだ」とも話す。
3. 膨らみ続けるコストと日本の負担
MD関係予算は05年度で約100億ドルに達した。今後5年間ほぼ同規模の歳出が見込まれる。おまけにシステムを稼動させた後の維持管理コストはその数字に含まれていない。そのうち日本を含む同盟国に負担を求める声が出てくることも予想される。どの様に財政事情が苦しくともその要求を日本は断ることは出来ないであろう。
4. 迎撃能力に根強い批判
米本土を弾道ミサイルから守るというふれこみだが軍や国防総省にいた「プロ」の間からは懐疑の声が根強く聞かれる。日本が導入するイージス艦搭載の迎撃ミサイルは北朝鮮のノドン・ミサイルに対抗できるのか。マサチューセッツ工科大学のジョージ・ルイス教授は「運が良ければ迎撃できる可能性はあるが、現実の環境では実証されていない。イージス艦1隻では日本全土をカバーできないし、パトリオットでは防御できるのは数十キロの範囲だけだ」と分析する。
5. 日本の防衛産業の失望
MD開発については日本が期待していたライセンス生産ではなく日米の政府間を通じた輸入方式になった。三菱重工の幹部は嘆く。「我々はライセンス生産のつもりだった。まるごと米国から買えば、我々の仕事はゼロになり、技術もダメになる」。
04年度の防衛費の正面装備契約額は8,010億円。この12%がMD費関連費である。その金は殆ど米国企業にわたってしまう。防衛庁幹部は「今回はまず導入する事が先決だったから、事前には交渉しなかった」と白状する。今年に入って防衛庁はライセンス生産に向けて対米交渉を始めたが、関係者は「仮に途中からライセンス生産が認められるとしても、システム補修などごく一部ではないか」という厳しい見方をしている。久間自民党幹事長代理(元防衛庁長官)は「ライセンス生産でいいじゃないですか」とラムズフェルド国防長官に食い下がったが、長官は笑いながら「これからの議論で強く主張してください」とかわした。久間氏は国防関係者に会うたびに打診するが返ってくるのは「検討中」という言葉ばかりという。
このように朝日新聞の特集を丹念に読んでみると米国発の軍事変革に振り回され予算だけ吸い取られていく日本の現状が浮き彫りになってくる。12月末に決定される05年度の防衛予算ではそんなミサイル防衛装備が認められることは間違い。その経費は総計10兆円にものぼるという。一方において財政改革の名のもとに増税と年金、保障費削減によって暮らしは苦しくなっていくというのに、防衛庁が使う国防予算はどんどん膨らんでいく。この不条理に我々はもっと声をあげなければならない。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm