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ザルカウィの「役割」と虚像【イラク情勢ニュース】
http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/125.html
投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 11 月 01 日 12:28:01:akCNZ5gcyRMTo
 

(回答先: イラクの武装グループ二つの顔 「アル・ザウラ」誌 投稿者 JFK 日時 2004 年 11 月 01 日 10:43:35)

ザルカウィの「役割」と虚像
http://www.geocities.jp/urknews/Zarqawi_s_Role.html
Zarqawi's Role in Iraq at Odds with White House Claims
ザルカウィの役割は米政府の主張と異なる


Chris Shumway


ニュー・スタンダード 2004年7月15日
(部分的に略したところあり)
http://newstandardnews.net/content/?action=show_item&itemid=690


 政府の内・外で仕事をしている数人の軍事アナリストによると、好戦的なリーダーであるザルカウィが直接アルカイダおよびサダム・フセインに結びついているというブッシュ政府の度重なる主張は、かなり怪しいもののようだ。

 イラクで捕らえられていたブルガリア人労働者を13日に殺害したと言われているヨルダン人のザルカウィは、世界的に散らばっているイスラム過激派運動の数多い指導者のうちの一人であるようだ。

 さまざまなグループが、しばしば、新人募集と資金調達をめぐって、オサマ・ビン・ラディンのアルカイダと競合している。

 ブッシュ政府の他の断定とは逆に、ザルカウィの宗教的信念、戦闘戦術、そして作戦目標は決してフセインのそれとは一致しなかったし、また、それらは現行のアメリカ主導の占領軍と戦っている大部分のイラク人のものとも一致しない。このことはアナリストたちも示唆していることだ。

 12日にオークリッジ(テネシー州)でおこなわれたアルカイダとの関係に関する質疑応答では、ブッシュは今一度、イスラム原理主義そのものであるアルカイダと、非宗教的なサダムのバース党政権が作戦的に関連していると示唆した。この大統領の発言について尋ねられたホワイトハウス報道官スコット・マクレランは、ザルカウィが両者の仲介をしていると述べ、ザルカウィはイラクにおける「アルカイダの幹部」メンバーだと指摘した。

 14日には再度、ブッシュ大統領が、ザルカウィは「アルカイダから指示を受けている」と発言した。

 しかしながら、「高い階級の米軍幹部」は、AFP通信に対して、匿名で、「サダムはイラク人でないアラブ人にはどんな好意も寄せていない・・・彼がザルカウィ本人と協力したことがあるという証拠は見つかってない」と説明した。

 『ナイト・リッダー』(米国の新聞社)は次のように報道した−−米国諜報機関の幹部がザルカウィに言及し、彼は目標を共有するアルカイダの協力者ではあるが、ビン・ラディンからは命令も資金も受け取っていないと話した。

 英国人ジャーナリストであり、アルカイダについての新著『Casting a Shadow of Terror』の著者であるジェイソン・バークは、ブッシュの主張に対してそれ以上の異論を唱えている。

 バークは、1990年代後半にドイツでザルカウィによって組織されたテロ組織を調査したドイツの諜報機関高官の報告を引用し、ザルカウィはアルカイダのリーダーではなく、盟約を誓いあったメンバーでさえなく、また、いかなる意味でもサダムの仲間ではないと主張している。

 バークは3月には英国紙『オブザーバー』に、「ザルカウィはアルカイダの工作員ではない」と強調する文章を書いた。

 ビン・ラディンや他のイスラム教徒の若者と同様に、ザルカウィもアフガニスタンにおもむき、ソ連と戦うために米国が資金提供する戦闘に参加した−−バークはそのことを認めている。しかしバークは、ビン・ラディンの戦士グループとは別に、ザルカウィがヨルダン人の戦士を率いていたと主張する。

 バークのレポートは、1990年代後半、ザルカウィが自前のアッ・タウィド・アル・ジハード(一神教と聖戦)という組織をアフガニスタン西部の基地で組織したという。そのとき、ビン・ラディンはアフガニスタンの別の場所にある基地からアルカイダを統率していた。

 この両組織は、世界に張り巡らされた小単位の過激派組織で構成された武装したイスラム運動に分散し、独立したネットワークを持って増えている多くの組織のなかの二つである。

 ザルカウィとアルカイダ組織の強い連携を示す証拠として、ブッシュ政府はしばしばザルカウィからアルカイダの指導者宛てに書かれたと言われる、長ったらしい手紙を引用してきた。さる2月にアメリカ軍が入手したというシロモノである。

 その手紙の内容は、イラクを血なまぐさい内戦に引きずり込む計画にアルカイダの協力を求めていて、手紙の筆者はそれが原理主義的なイスラム国家を創設することにつながると論じている。

 しかし、ザルカウィが実際にその手紙の筆者であることを示す証拠はほとんどないし、もし彼が書いたとしても、そのような精巧な戦略を提案したという証拠もほとんどない。

 ところで、『ニューヨーク・タイムズ』紙が13日にザルカウィの横顔を報道した記事のなかで、1990年代にザルカウィと一緒にヨルダンの刑務所に服役していた人物ハリド・アブ・ドーマは、ザルカウィのことを「基本的に文盲」だと言及している。

 ドーマなどザルカウィをよく知る人物たちは、入念な政治分析と詳細な歴史的検索を含んだ6000語もの手紙を作文することは、ザルカウィにはほとんど不可能に近いだろうと示唆するのである。

 ザルカウィの作文能力に関する疑問を脇に置いたとしても、『ナイト・リッダー』紙の報道によれば、誰がその手紙を書いたかはアルカイダにとってほとんど重要な意味はなく、アルカイダは協力要請を拒むはずだとアナリストたちが指摘しているという。


 ザルカウィのイラク作戦

 『ニューヨーク・タイムズ』に載った横顔は、ザルカウィがサダム政府と密接な関係を持っていたことを証明するものとしてブッシュ政府に頻繁に引用される事件を、架空の作り話であると暴露している。

 イラク侵攻を訴えた2002年の演説で、ブッシュ大統領は、アフガニスタンの基地で米軍の攻撃を受けで負傷した言われるザルカウィがバグダッドで足の切断手術を受けたという広く流布された話を持ち出した。ブッシュは、「アルカイダのひじょうに地位の高い幹部が・・・今年、バグダッドで治療を受けた」と言ったのだった。

 しかし、『ニューヨーク・タイムズ』に紹介された「地位の高い米軍幹部」によると、ザルカウィが足を切断したという話は事実にもとづいてない。その高官は、「われわれはザルカウィが2本の足を持っていると信じている」と述べ、「足をなくしたという報道は故意の偽情報だった」と話した。

 ザルカウィの過去について繰り返される怪しげな主張に加えて、ブッシュ政府は最近になって、イラクでの一番の敵とされるヨルダン人(ザルカウィを指す)がイラク人レジスタンスの主要リーダーのなかにいると断言した。

 米軍当局者は先週、ザルカウィ逮捕に結びつく情報への賞金を1000万ドルから2500万ドルにあげた。AFP通信は、彼らが得た匿名の米軍筋からの情報として、ザルカウィのネットワークがイラクで広がっていると報道した。その当局者はAFPに、アッ・タウィド・アル・ジハードの隊列はこの数ヶ月でおよそ500人から1000人へと膨れあがったと語った。

 彼の話によると、その構成員の一部はザルカウィのような外国人戦士であり、他はクルド人地域を拠点にする反サダムの過激派組織であるアンサール・イスラムに所属するイラク人であり、ザルカウィは彼らとも関係があると言われている。

 雑誌『タイム』の仕事をしているオーストラリア人ジャーナリストであるマイケル・ウェアによれば、ザルカウィはイスラム原理主義のテロ活動家に資金援助している団体・個人から多くの資金を集めているという。それは自動車爆弾攻撃と世界に誇示した効果のある誘拐を組織したザルカウィの才能によるものであるとウェアは主張する。

 だが皮肉なことに、ウェアによれば、イスラム過激派組織のなかにザルカウィの人気が高まっている要因は、実際のところ、イラクを侵略・占領したブッシュの判断とならんで、ブッシュ政府が現在彼に注意を払っているためである。

 AP通信によれば、彼のネットワークが最近拡張されているにもかかわらず、ザルカウィと彼の率いる勢力はイラクでは比較的に影の薄い存在であり、彼らはしばしばアメリカ占領軍に抵抗するイラク人レジスタンス勢力の大部分と交錯して動いているという。


 本当の反米勢力と一緒に立ち上がるか?

 AP通信が入手した米軍関係者の情報と内部文書は、活発なレジスタンス運動は主としてスンニ派教徒およびバース党員(多くはサダム時代の軍関係者)、そして新しい非宗教的なイラク人社会で大きな役割を担って戦っている部族社会の人間から構成されているという。

 彼らはイスラムの影響を受けているかもしれないが、キリスト教的な精神に影響されているというアメリカ兵もいるし、その報告書は、彼らがザルカウィの戦士に見られるタリバン的なイスラム国家のために戦っているのではないことを示唆している。

 AP通信の報道によると、アナリストのなかには、ザルカウィの犯行とされる最近の自動車爆弾は実際にはイラク人レジスタンスによって遂行されたと観測している者もいる。ある当局者によると、イラクの新治安部隊を狙った攻撃はサダムの旧秘密警察の特徴を持っているというのである。

 このような説明は、ブッシュ政府がイラク駐留米軍は外国人戦士やイスラム過激派と「対テロ戦争」を戦っていると主張する内容と一致しない。

 アンソニー・コーヅマンはAP通信に、「ジハーディスト(聖戦信奉者)といった言葉に執着する米国人アナリストがあまりに多くて、なんでもかんでもビンラディンに結び付けようとしているようなもんだ」と評した。私設のシンクタンク国際研究・戦略センターの軍事アナリストであるコーヅマンは、レジスタンスが明確に民族主義の性格を持っていることを指摘している。

 複数の米軍当局者もAP通信に、イラクにおけるゲリラの指導者は2万人もの戦士を動員することができ、その数はザルカウィの勢力の何倍にもなると話した。その記事によると、イラクのレジスタンス運動は現在も続く米軍の占領に怒る民族主義的なイラク人のあいだで十分な大衆的支持を獲得していて、彼らは単なる軍事的手段によっては打ち負かされることはありえないという。

 最近では、かなりのイラク人レジスタンス勢力がザルカウィとその戦士に反対であると明言しており、『ニューヨーク・タイムズ』の報道によると、彼らはイラク国内に外国人戦士がとどまることを認めず、またザルカウィの戦術、とりわけ一般市民を殺害する自動車爆弾と斬首を認めないと主張している。

 ザルカウィを批判するスンニ派グループで、強い影響力を持つイスラム聖職者協会の指導者アブドル・サタル・アル・サマッリは、『ニューヨーク・タイムズ』の取材に、ヨルダン人戦士の戦術に反対している彼の立場は、イラク国内でアメリカ主導の占領に反対する戦いをやめるべきだという意味ではない、と話した。

 サマッリはザルカウィの戦いとは違うものへの支持を表明した。すなわち「誠実で真性のレジスタンス−−それは社会基盤の破壊活動、無実の市民と警官の殺害、そして混乱とは異なる−−は占領者を祖国から追出すことへむかうべきだ」というものである。

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