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2004.12.13
Q君への手紙(PART4)[32]
小泉政権の“異常な対米従属と戦争志向の政治”を憂慮する−-再び1930年代のような戦争と混乱の時代になるのか?
「人間がもう少し気狂いでなかったならば、戦争から生まれる悲劇を免れるはずである」(ジード、仏、作家)
Q君。(今回も〈水と防災の政治学〉を休みます。)
上に引用したジードの言葉は最初の部分「人間が…」を「政治権力が…」にしたほうがわかりやすいと思います。政治権力者が狂気に走ったとき、大悲劇が発生します。1930年代がそうでした。いままたそういう時代に入る危険が出てきました。戦争好きな異常な政治家が唯一の超大国の政治権力を握ったからです。米国のブッシュ政権のことです。米国に追随する日本の小泉政権も異常です。両政権とも戦争が好きです。あぶない時代に入りつつあります。
悪いことに、巨大な影響力をもち、国民意識を左右できる日本のマスコミが、米国政府の強い影響を受けるとともに、現政権と一体化し、現政権の広報機関紙化しています。このため国民には、大切な情報が知らされなくなっています。そのため国民がこの危険に気づかないのです。さらにそのうえ、国政選挙の結果を左右するほどの強力な組織力をもった公明党=創価学会が、小泉政権を支え、小泉政権の政策を批判する政治家やマスコミを牽制しています。こうして戦争へのブレーキを失ったかのような小泉政権が、異常に戦争の好きな米国ブッシュ政権にどこまでもついていこうとしているのです。日本国民は、知らぬ間に、戦争に巻き込まれる危険のなかにいます。国民が小泉政権の“異常”に早く気づかないと、大変なことになると思います。
Q君。12月に入って、日本の将来にとって大変悪いことが起きました。しかも二つありました。一つは小泉内閣が自衛隊のイラク派遣の1年間延長を決定したことです。
自衛隊はイラク特措法にもとづいてイラクへ派遣されているのですが、それには厳格な条件がついています。一つは現に非戦闘地域であること、もう一つは将来とも非戦闘地域であること。小泉首相は、国会において、岡田民主党代表から「非戦闘地域の定義」を問われて「自衛隊のいるところは非戦闘地域」と答えました。あまりにも不真面目な答弁でした。一昔前なら政変が起きるような大失言です。国民から批判が出たのは当然でした。ところが、小泉首相は開き直り、この言葉を「いい答弁だった」として、その後何回も繰り返しています。子どもじみた態度ですが、それにしても異常です。困ったことに、マスコミも国民も、「小泉首相には何を言っても通じない」と、サジを投げてしまったのです。
こんな不真面目で異常な論理で、自衛隊派遣の1年間延長という重大事が合理化されてはたまりません。野党やマスコミが小泉首相を強く批判していないのが不思議です。こんなことでは国民の常識が乱れます。政治倫理の根本が乱れてしまいます。
小泉首相は自衛隊派遣延長を合理化するため、二言目には「日米同盟」です。小泉首相はなにがなんでも米国との一体化、じつは従属化を進めようとしています。小泉首相は「日米同盟のために」といえば国民もマスコミも納得すると思い込んでいるようにみえます。事実日本のマスコミも国民も「日米同盟のために」といわれると沈黙してしまいます。だから小泉首相はいつも「日米同盟」を叫びつづけています。
小泉内閣は12月9日、日米同盟を理由にしてイラクへの自衛隊派遣をもう1年延長することを決定したのです。多くの国民がイラク情勢に不安を感じています。小泉首相の対米追従と冒険主義的政治手法にも不安を抱いていると思います。小泉首相が冷静な判断能力を失っているのではないかと感じている国民は少なくないでしょう。多くの人々が小泉首相の12月9日の記者会見における興奮した表情を見て異様を感じたと思います。「日本は大丈夫なのか」と考えた人が多かったと思います。
Q君。もう一つありました。小泉内閣はこの翌日、12月10日にさらにひどいことを決めました。今後10年間の安全保障政策の基本指針と防衛力のあり方を示す新たな「防衛計画の大綱」です。日本にとって大変に大事なことを決めたのです。
この新防衛大綱のポイントは三つあります。
第一は日米一体化を志向すること。第二は自衛隊の海外派遣を「本来任務」とすること。そして第三は中国を新たな脅威に加えたことです。
第一の「日米一体化」は日本の自衛隊を米軍の下請化することです。従属のいっそうの強化です。こんなことをしていては、日本は独立国ではなくなってしまいます(永遠に米国の従属国化してしまうことには、私は絶対に反対です。許してはいけないと考えています)。
第二の自衛隊の海外派遣を「本来任務」とすることは、従来の日本の憲法第九条尊重の基本路線を否定してしまうことになりました。いままでは自衛隊の行動範囲を日本の領土領海内に限ることにしていたのです。この制約を、湾岸戦争以後少しずつ変え、自衛隊の活動範囲の「例外地域」を少しずつ広げてきましたが、いままでは海外活動はあくまで「本来任務」ではありませんでした。それを新防衛大綱ではこれから「本来任務」にすることにしたのです(日本の自衛隊は事実上、集団自衛権に踏み込んだと言って過言ではない、私は思います。憲法改正をせずに、なし崩し的に解釈改憲するのと同じことです)。
第三の「中国を新たな脅威」と明記したことは、大変危険な冒険主義です。日本は平和国家です。日本のほうから隣国との対立を煽るような愚行はしてはいけないことです。日本側から中国との友好関係を否定するようなことはしてはいけないことなのです。これは、日本側からの中国に対する一種の喧嘩宣言のようなものです。平和主義の日本国憲法の精神に違反するものです。「中国の脅威」を新防衛大綱に明記したことにより、日本は日米同盟のもと中国と対決することを宣言したのです。日本が今後「親米・反中国・反アジア」の路線をとることを明言したに等しいことです。アジア諸国から日本は平和主義を棄てたとみられてもやむを得ぬことです。小泉首相は日本の政治を「平和主義」から「対立・好戦主義」へ変えました。
小泉内閣は、米国と一体化し米国の手先として中国と対決するという対決主義の道に踏み出しました。きわめて危険な冒険主義的政治を始めました。
Q君。12月9日と10日は、平和を望む日本人にとって、大変つらく、きびしい日になりました。これ以上、小泉首相に、したい放題されることは日本の将来を危うくします。小泉路線は亡国への道です。このことを、早く多くの国民に気づいてほしいと、心から願っています。
Q君。政界では“小泉首相による巧みな情報操作”が話題になっています。すでに何人かの政治家が発言していますが、自衛隊のイラク派遣1年延長決定(12月9日)、新防衛大綱決定(12月10日)の前日に、政府は「北朝鮮拉致被害者の横田めぐみさんの遺骨が違う人のものだった」という衝撃的なニュースを発表したのです。
まず、大ニュースを流して、国民の注意をそこに集中させ、その隙をついて、より重要な政策を強行する−-政治権力が情報操作のためによく使う手法です。
「小泉首相は情報操作をまたやった。小泉首相のやり方は手が込んでいる」と語る政治家は少なくありません。私は59年半の戦後政治を見てきましたが、小泉首相ほど不誠実で冷たい心をもった政治家は過去にはいなかったのではないかと思います。国民をだます情報操作が巧みです。そのうえ遠慮がありません。戦前の東條内閣と似ています。この小泉首相を多くの自民党議員と公明党とマスコミが支持しているのです。困ったことだと思います。国民としておそろしいことが起こらないよう祈るのみです。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0873.HTML