北朝鮮によって横田めぐみさん（行方不明時１３歳）が拉致されてからちょうど２７年たった１５日、北朝鮮側がめぐみさんの「遺骨」とする骨が日本に持ち帰られた。拉致被害者の「生存」を示す証拠は一つもない。今回も家族らに失望をもたらした日朝実務者協議。政府から説明を受けた家族会メンバーは北朝鮮への怒りをあらわにした。

　家族らは外務省側の説明が終了した後の午後８時半から、東京都内で記者会見した。家族会代表でめぐみさんの父滋さん（７２）は「遺骨とされるものが入った骨つぼは白い布でくるまれていた。警察が検証する関係で中も開けていない」と説明した。北朝鮮から提供されためぐみさんの写真３枚のうち１枚は結婚後のものだった。母早紀江さん（６８）は「写真は私たちが知らない姿。少し背が高くなってすらっとなって、大人になっていた。思わず懐かしさで涙が出てきた」と話し、「表情は明るく、本当に精神病にかかっていたのかと思う。自殺なんて絶対ない」と語気を強めた。さらに「北のやり方にだまされないようにしたい。娘たちはどこかに監禁されていて『そんなの違うのよ』と叫んでいるはず」と話した。

　弟拓也さん（３６）も「北朝鮮側が提供した情報は、横田めぐみばかりに集中している。運動のシンボルを一本釣りし、うその情報で納得させようとしている。本当に憤りを隠せない。落胆した」と強い口調で話した。

　交通事故で死んだとされる田口八重子さん（同２２歳）については、めぐみさんと一緒に生活していた時期があると初めて説明された。田口さんの兄の飯塚繁雄さん（６６）は「同居期間が正しいなら、妹は大韓航空機爆破事件の金賢姫元死刑囚の教育係、李恩恵じゃないことになる」と、北朝鮮の主張に疑問を示した。「何回調査をやっても北はうそを続けると思う。（死亡原因とされる）交通事故の調書は作られたものという疑念はぬぐえない」と繰り返した。

　会見に先立って内閣府で行われた家族らへの説明は約３時間半に及んだ。報道陣への説明のため、途中で会場から出てきた「救う会」の平田隆太郎事務局長は「家族らは報告を聞いた直後、悲しみや怒りの表情を見せていたが、説明を聞くうちに『これはみんなうそだ』という声が何度もあがった。改めて北朝鮮の体質が明らかになった」と語った。【早川健人、田中義宏、川上晃弘】

毎日新聞　2004年11月15日　21時08分

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041116k0000m040108000c.html

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