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【米経済コラム】FRBは中国のペッグ制変更を楽観せず−J・ベリー (ブルームバーグ)
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/mn_jbntext.html?id=12bloomberg33aO_0pVHF9rrc
2005年2月12日(土)00時44分
2月11日(ブルームバーグ):米連邦準備制度の高官らは、中国が自国通
貨をドルに連動させるペッグ制を早期に解消する見通しについて楽観していない。
なぜなら、その決定権は金融問題よりも政治安定を重視する国務院にあるからだ。
国務院は中国の政治安定は農村から工業社会へと移ってくる多くの人民に雇
用を確保する強い景気拡大の継続にかかっていると信じているようだ。そしてそ
の経済成長は人民元をドルに連動させておくことにかかっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長はこれまで、中国が
ペッグ制を維持することは同国の中央銀行である中国人民銀行が通貨供給量をコ
ントロールできないということになり、インフレ圧力の増大がいずれは人民元の
切り上げを余儀なくさせるだろうとの見解を示している。また、ペッグ制を背景
に中国の外貨準備はドルを中心に膨らみ、米国との貿易赤字も拡大している。
中国人民銀行の幹部はこれらの問題を正確に捉えている。しかし、彼らはし
ょせん国務院の政策決定に関するアドバイザーに過ぎず、従って、ペッグ制の緩
和時期については宙に浮いたままとなってしまうのだ。連邦準備制度の一部高官
はこうした事態を懸念している。
米ニューヨーク連銀のガイトナー総裁は9日、ワシントンでの講演で、財政
赤字や貿易赤字といった対外不均衡が世界経済にとってのリスクだと指摘した上
で、この是正には世界の為替制度における「進化」が必要だと述べた。そして、
主要国の為替相場が互いに調整する一方で、新興国の通貨がドルに連動している
現在のシステムには「世界経済に対する将来の緊張の芽がある」と指摘した。
ブレトンウッズ体制の復活
また、先週、サンフランシスコ連銀で開催された「ブレトンウッズ体制の復
活:アジア発展におけるニューパラダイム」と題したシンポジウムでは、30人
以上のエコノミストらが中国のペッグ制を討議した。その多くが中国はより柔軟
な為替制度の採用を余儀なくされると主張したが、一部はそれが来年までに実現
するとの見通しを示した。
ただその一方で、同シンポジウムでは、中国が景気拡大維持にあまりにも力
を注いでいるために、ペッグ制は少なくともあと5年は続くと主張するエコノミ
ストらの論文をめぐる討議も行われた。同論文はカリフォルニア大学のマイケ
ル・デューリー教授とドイツ銀行のピーター・ガーバー、デービッド・フォルカ
ーツランダウ両エコノミストが作成した。
同論文の主張は中国や東アジア諸国の現状は第2次世界大戦で荒廃した
1950年代の欧州に似ているというもの。つまり、当時の欧州は米ドルを中心と
する固定相場制採用のブレトンウッズ体制の下で「周辺」地域として貿易上有利
な立場を生かして再建できたとし、現在は米国が再び「中心」となり、中国や東
アジア諸国が「周辺」地域にあるとする見方だ。
また、デューリー、ガ−バー両氏によれば、中国はこれまでの多くの後進国
とは全く違う発展プロセスをたどっているという。つまり、中国の高い貯蓄率を
背景に、同国の資本が米国の経常赤字の大半を穴埋めするために「米国に押し流
されている」とするものだ。
意見の対立
両氏が主張するほど長期にわたり中国がペッグ制を維持できるとの見方を支
持したシンポジウム参加者は誰もいなかった。なかでもニューヨーク大学のヌリ
エル・ルービニ教授は、両氏の見方に対し、「持続不可能でほころびる」と痛烈
に批判した。その上で、「中央銀行各行が支える姿勢を少しでも後退させること
があれば」民間投資は一斉にドルから離れるだろうと警告した。
また、米国際経済研究所(IIE、ワシントン)の上級研究員エドウィン・
トルーマン氏は両氏の見解を「間違い」とした上で、「米国の経常赤字の対GD
P比が6%を継続するのは経済的にも財政的にも政治的にも不可能だ。ドルに多
かれ少なかれ通貨を連動させる規模の大きい経済国はその調整過程に必然的に巻
き込まれる」と主張した。
さらに、デューリー、ガ−バー両氏の新システムに関する見方が正しかった
としても、同システムは破たんすると予想する参加者もいた。同システムの「周
辺」地域にあるはずの韓国、タイ、シンガポール、台湾がすべてこれまで自国通
貨のドルに対する上昇を許容しているためだ。
一方、スタンフォード大学のロナルド・マッキノン教授は両氏とそれに対抗
する見方に対し、「為替制度の変更は米貿易赤字とアジアの貿易黒字を解消する
答えにはならない」と別の見解を示した。同教授は、中国はペッグ制を継続し、
生産性向上に伴って賃金が上昇するのを容認し、国際的な調整が長期にわたり起
こるようにするべきだと指摘した。そして、その過程が進行中だと付け加えた。
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。この
コラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Fed Officials Don't See China Dropping Peg Soon: John
M. Berry (抜粋) {NXTW NSN IBQEAD1A1I4H