現在地 HOME > 国家破産38 > 734.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: イベントリスク解消し底堅い相場へ (モーニングスター 調査分析部) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 2 月 06 日 21:53:34)
2004年中に最も多くの運用益をあげたファンド
投資信託協会の統計によると、2004年末の日本の公募投資信託の純資産残高は40兆9,967億円と前年末にくらべて3兆5,610億円増加しました。投信の種類別に見ると、株式投資信託が6兆959億円の増加、公社債投資信託が1兆7,908億円の減少、MMFが7,440億円の減少となっており、株式投資信託の増加で投信全体の残高が押し上げられています。
新規資金の流入と運用益で純資産残高が増加
投資信託の純資産の増加は2つの要因によってもたらされます。1つは新規資金の流入です。つまり2004年中に新規または追加設定された流入金額から、解約や償還によって投資信託から流出した金額を差引いた純資金流入額(純増額)が純資産残高を増加させます。もう1つはファンドが保有している株式や債券の値上り益や配当・利子収入などの運用益で、これがファンドの価額(純資産額)を高めます。
2004年の投資信託についてみると、純資産残高の増加分3兆5,610億円のうち、資金の純流入による分が2兆4,094億円、運用によって獲得した運用益が1兆1,516億円となっており、2004年は、1999年以来6年ぶりに新規資金純流入と運用益の両方がプラスとなって、純資産が大きく増加しました。この運用益は全額、株式投資信託が稼いだものです。内外の株式市場が上昇基調であったことから、株式投資信託は2003年、2004年と大きな運用益をあげ、投資信託の残高増加に寄与しています。
大手の主力アクティブファンドが運用益を稼ぐ
では、どのようなファンドが1兆1,516億円の運用益の獲得に貢献しているのでしょうか。モーニングスターのデータによって具体的に見てみましょう。
投信全体の運用益の算定と同様、個々のファンドの2004年中の純資産増加額から同年中の設定・解約による純増額を差引いた額を運用益とみなして算定し、運用益の大きい順に20ファンドを揚げたのが表‐1です。
表-1 大きな運用益をあげたファンド(2004年)
(単位:億円、%)
順位 ファンド名 投信会社 カテゴリー 運用益 2004末
純資産 2004年中
リターン 備考
1 TOPIX連動型上場投信 野村 大型ブレンド 1,374 12,940 11.11% ETF
2 上場インデックスファンドTOPIX 日興 大型ブレンド 628 4,444 11.37% ETF
3 ノムラ日本株戦略ファンド 野村 大型グロース 459 3,632 12.56%
4 日経225連動型上場投信 野村 大型グロース 361 5,612 8.39% ETF
5 グローバル・ソブリン(毎月決算型) 国際 国際債券(F) 346 36,270 7.17%
6 フィデリティ・日本成長株・ファンド フィデリティ 中型グロース 276 4,470 7.04%
7 日興エボリューション 日興 小型グロース 251 924 35.01%
8 フィデリティ・ジャパン・オープン フィデリティ 中型グロース 183 3,496 7.05%
9 インデックスファンド225 日興 大型グロース 183 2,411 8.07% インデックス
10 ダイワ上場投信・トピックス 大和 大型ブレンド 150 3,283 10.97% ETF
11 日興ジャパンオープン 日興 大型グロース 132 1,377 9.68%
12 小型ブルーチップオープン 野村 小型バリュー 125 617 21.05%
13 日興グローイング・ベンチャーファンド 日興 小型グロース 118 241 48.50%
14 上場インデックスファンド225 日興 大型グロース 117 2,499 8.37% ETF
15 三菱外国債券オープン(毎月分配型) 三菱 国際債券(F) 111 3,073 8.35%
16 ダイワ上場投信・日経225 大和 大型グロース 111 2,070 8.38% ETF
17 ユーロランド・ソブリン・インカム 国際 国際債券(F) 100 1,203 13.47%
18 (パワーSF)ダブル・日本株P 大和 株式ブル型 100 753 11.90% インデックス
19 株式インデックスファンド225 第一勧業 大型グロース 98 1,442 8.07% インデックス
20 さわかみファンド さわかみ 中型バリュー 94 817 15.21%
2004年はTOPIXが年間10.15%上昇するなど国内株式市場が好調であったことから、上位には純資産規模の大きいETF(株価指数連動型上場投資信託)やインデックスファンドが並んでいますが、大手投信会社の主力アクティブファンドも健闘しています。トップ10までのファンドの運用益は合計4,220億円で、2004年の投資全体の運用益の38%を占めており、20位までのファンドで全体の48%、5,320億円を稼いでいる勘定になります。
アクティブ株式ファンドで最も多くの運用益をあげたファンドは、野村アセットの「ノムラ 日本株戦略ファンド」で、年間459億円の運用益をあげています。資産規模3,600億円を超える巨大ファンドながら、2004年中のリターンは12.56%とTOPIXを2%強上回る好成績をあげ大きな運用益を獲得しています。そのほか、「フィデリティ・日本成長株・ファンド」、「フィデリティ・ジャパン・オープン」、「日興 ジャパンオープン」など各社の旗艦ファンドも総額では大きな運用益をあげています。また、着実に受益者を増やしている独立系の「さわかみファンド」も大手投信の旗艦ファンドに迫る運用益を獲得しています。
アクティブ株式ファンドでもうひとつ注目されるのは、小型株投資ファンドが運用益上位にランクされていることです。「日興 エボリューション」、「小型ブルーチップオープン」、「日興 グローイング・ベンチャーファンド」など、昨年の内需小型株相場をうまく捉え1口当りの基準価額で高いリターンをあげたファンドが、総額でも大きな運用益を残しました。
外債ファンドも株式ファンドに劣らぬ運用益
債券に投資するファンドでは、為替ヘッジを行わない外債ファンドが株式ファンドに劣らぬ運用益をあげました。国際債券型のファンドには国際投信の「グローバル・ソブリン(毎月決算型)」をはじめ「三菱 外国債券オープン(毎月分配型)」、国際投信の「ユーロランド・ソブリン・インカム」など純資産規模の大きいファンドが多く、2004年は欧州の債券への投資が多いファンドが好リターンをあげ運用益を積み上げました。
ただ、この表で算出している運用益は純資産の増加額から設定・解約による純増分を差引いたものですが、上記の3ファンドは毎月あるいは2ヵ月ごとに運用益から収益分配金を受益者に支払っていますので、その分だけ運用益が小さく表示されることになります。従って、収益分配金を全額運用益から支払っていると仮定すれば、表記の運用益に収益分配金支払額を加えたものが実質的な運用益と見ることができるでしょう※。グローバル・ソブリンの場合、年間の分配金支払総額は推定1,800億円に達するものと思われます。この金額を考慮すれば、グローバル・ソブリンの実質的な運用益は2,000億円を超えることになるでしょう。同様に三菱外国債券オープン(毎月分配型)、ユーロランド・ソブリン・インカムもそれぞれ70億円程度、運用益が加算されるものと推定されます。
※厳密には分配準備積立金からの充当額を差引く必要がありましょう
主力ファンドのパフォーマンス向上こそが投信拡大の原動力
純資産規模の小さいファンドは、規模の大きなファンドにくらべて高いパフォーマンスを上げやすいと言われます。比較的小型の少数の銘柄に集中投資して、弾力的に売り買いを行ってキャピタルゲインを稼ぐことも可能でしょう(反面、値下りのリスクも大きいですが)。しかし、規模が小さいファンドでは、受益者の数も少ないでしょうから、高いパフォーマンスをあげても大きな利益を手にすることの出来る受益者の数は限られるものと思われます。
一方、規模の大きいファンドは、投資銘柄の流動性の観点やファンドの投資制限の問題などから、小型株などへの集中投資を行いにくく、組入銘柄数も多数にならざるを得ません。また、組入銘柄の売買も小規模ファンドほど弾力的にはできません。それだけに、大規模ファンドが高いパフォーマンスをあげるためには、運用に、より多くのアイディアとすぐれた戦略が必要となるでしょう。規模の大きいファンドは受益者の数も多いことでしょうから、そうした大規模ファンドが高いパフォーマンスをあげてこそ、多数の受益者が投資信託保有の利益を実感することができ、それが投信市場の拡大につながっていくと思うのです。
(田村 威)
http://www.morningstar.co.jp/fund/anl_view/index.htm