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(回答先: マクロ指標は、GNPからGDPへなぜ変わったのか? 投稿者 hou 日時 2004 年 10 月 29 日 06:31:06)
>なぜ、GNPがGDPになったかを、ご存じであれば簡単でもよろしいので、教えて
>頂けないでしょうか
多国籍企業の活動が高まり国際金融取引も活発化したことを背景に、経済活動の成果を“無人格化”し、営業余剰が海外に流出する実状を見えにくくするという隠された意図を指摘することもできますが、国連がGNPからGDPに基準を変えた理由は知りません。
>そのような、複雑な資産形成をもう統計的にチェックすることが不可能になったために
>GNPを廃止したのでしょうか?
現在でもGNP(国民総生産)は、GNI(国民総所得)という名称で統計上は存続しています。
基礎データは共通でそのサミングアップ基準が違うというものですから、複雑だからというより、国民経済の実態を把握する視点の違いと考えたほうがいいと思います。
GDP(国内総生産)とGNP=GNIに違いがそれほどあるわけではなく、ある領土範囲で行われた経済活動(付加価値生産活動)で捉えるのか、国民が経済活動で得た付加価値で捉えるかです。
GDPは領域での付加価値の生産(実際は支出ベース)を捉え、GNP=GNIは生産された付加価値を誰が所得とするかを捉えるというものです。
外国資本企業も「居住者」として“国民”扱いされるので、そこが生産した付加価値で“国民”が受け取る分はGNP=GNIの加算対象になります。
二つのマクロ統計の違いは、外国からの受け取り利息・配当や外国への支払い利息・配当が考慮されたり、勤労者の所得が発生国に加算されるのか居住国に加算されるのかということくらいです。
(海外子会社の本社への支払い配当と本社の海外子会社からの受け取り配当の差し引きが行われるだけで、雇用者所得などそれ以外の付加価値はGDPもGNPも同じ国のマクロ統計に帰属します。日本企業が海外子会社から受け取る配当はGNP=GNIには加算されるがGDPには加算されない。外国で納税する外国人が日本で手にした所得は、GDP上は日本のものでGNP=GNI上は外国のものになる)
>もし、そうだとすれば、GDP換算での米国の「双子の赤字と」
>GNPでの「赤字」というのはずいぶんかけ離れた数字が出てくるとおもいます。
>仮に、アメリカの経済をGNPで換算すると。
>米国のGDPだけでの、数値だと赤字が目立つが、GNPだと赤字が目立たなくなる
>のではとおもいますが
まず、「双子の赤字」とGDPやGNP=GNIは基本的に無関係です。
(GDPやGNPが大きくても、膨大な財政赤字や巨額の経常収支赤字は発生します)
政府部門は付加価値を生産する経済主体ではないので、そこがどれほど赤字を発生させていようがマクロ統計の数字に影響を与えません。
(前回説明した借金で支払われていようが自前のお金で支払われていようがリアル経済には無関係ということと同じです)
米国は企業部門が黒字で政府部門が赤字という構造ですから、政府部門の赤字が民間にシワ寄せされない限り(増税・金利引き上げなど)、ミクロ的にもマクロ的にも“良好”と言えます。
(日本政府がファイナンスするなどスムーズに維持が可能ならば、財政赤字はマクロ統計の拡大要因です。逆に、財政黒字はマクロ統計の縮小要因になります)
貿易収支赤字はほぼ赤字財政支出に見合う程度なので、それで安い財を輸入して低所得者の生活費給付を抑えつつ、貿易黒字国に向けの輸出が増加するのなら問題がないと言えます。(経常収支の赤字は、見合う資本流入があれば問題にはなりません)
赤字自体が問題ではなく、赤字が維持可能かどうか、維持するために増税や金利引き上げなどマクロの縮小要因が必要かどうかが問題です。
米国及び世界経済の行く末は、「双子の赤字」構造をスムーズに維持できるかどうかにかかっています。
そして、現段階でその鍵を握っているのが日本だと言っても過言ではありません。
>反対に日本をGNPに換算すると、今のGDPより額が減るのではないでしょうか?
企業の海外からの受け取り利息・配当が増加しているので、日本経済はGNP>GDPになっています。