★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 議論20 > 261.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
日本のとるべき戦略 その5 (最終回)
http://www.asyura2.com/0411/dispute20/msg/261.html
投稿者 岩住達郎 日時 2004 年 12 月 30 日 04:05:15:TcNSd0ZB71Ujg
 

22.失業者対策と富の再配分

どの国の政府でも失業者対策は政治家にとって最大の関心事であるが、如何なる政府も失業対策の決め手になる方法を発見していない。景気を一時的に上げたり、戦争で総動員法を発令して、短期間の間失業率を下げる事は可能であるが、その反動として不景気が到来し、失業率が更に悪くなる。失業者が出る根本原因は分かっており、それは摂理2に述べられている。どんなに実力も才能もある人でも運に恵まれず生存中は不幸な人生を送り、死後にその人が偉大な人物であった事が分かった例は枚挙に暇がない。それでは摂理に反しないで失業者を完全に無くす方法はあるのだろうか。

結論を先に述べれば、摂理2に述べられている様に、人間には生まれつきの才能の有無と後天的な運の善し悪しがある為に、失業者を完全に無くす方法は存在しないが不幸な人達の痛みを和らげる方法は存在する。それは既に述べた与点制度である。与点制度は、天与の才能が無くても、努力する人達を救済する様に考案されたものだが、才能があるのに運が悪くて芽が出ない人達にとっても有効な制度である。その理由は与点制度は人の努力を測り、努力をする人には何度でも挑戦の機会を与えるからである。

与点制度を維持する財源は保険の掛け金だが、普通の失業保険と根本的に違い、与点保険掛け金が収入に応じた累進制になっており、最大掛け金率を総収入の50ー70%くらいに採る。勿論、所得税は与点掛け金及びその他の手当を控除した残額にかける。これは高所得者に取ってべらぼうな出費だと思われるだろう。しかし与点制度の原理から強い人ほど沢山の与点を出すのが当然なのであり、しかも税金と違って政治家や官僚が恣意的に使う事ができないから、集めた掛け金全てを与点を貰っている人達に与点に応じて分配されるので、最も有効に不幸な人達を助ける事になる。

即ち、与点保険金の分配に政治家の関与を許さない事により、国民自身が直接に相互に助け合う事が出来る。与点制度を税制に組み入れると政治家や官僚は必ず、予算割り当ての際に、自分達の利権を拡大する為に利用しようとするから、結局国民の手に渡る与点がそれだけ減少する事になる。又、与点保険金は集めたお金を直ぐに与点保持者達に分配するのであるから生命保険金の様に保険会社が請求のあるまで預かって運用する必要もない。そして、掛け金率は与点の需要に応じて4半期毎に改訂する。与点保険金の分配は政府の仕事であり、絶対に民間保険会社にやらせてはならない。民間保険会社にやらせると必ず外資保険会社が参入し保険金の詐取を始めるからである。これはアメリカの大保険会社全部が今までに例外なしに何らかの詐欺に関わっている事実から100%確実に起こる。

企業にとっても、与点制度は従業員の会社に対する貢献度に応じて給与を決める事が出来るので、現在習慣的に行われている、会社への貢献度が極めて低い、全く経験の無い新入社員に高い初任給を払う必要が無く、人件費が大幅に節減され、従って会社はもっと沢山の新入社員を雇う事ができる。地方政府は被雇用者からの申請があれば訓練必要度に応じて新入社員に与点を提供し、その分企業は給料を下げる事が出来る。例えば、給料を半額にして与点を50点与える。従って、企業は従来の2倍くらい新入社員を採用できる様になる。新入社員は与点を50点貰えば給与全額の四分の一を無税で貰えるから、税引き後の手取りは与点ゼロの給与の手取り額より少し少ないだけである。

会社が不況に陥り、社員整理の為に失業者になった場合は先ず与点を100点貰うので、失業前の給料の半分を無税で貰える事になる。そして新職業の訓練を受けて就職すれば新入社員と同様に扱われる事になる。勿論、特殊技能や才能を持っていて直ぐに転職が出来る人達は与点を貰う必要は無い。与点は政府から自動的に与えられるのでは無く、あくまでも生存競争に当たって援助が必要な人達が地方政府に申請して貰うのである。前にも述べたように、政府は与点を提供できるが与点を下げる事は出来ない。与点を下げる事が出来るのは職業訓練を施した民間企業のみである。

企業が新規雇用に躊躇するのは、新規採用した人が会社にとって貢献度が低くても貢献度の高い人と殆ど同じ給与を払わなくてはならないからである。与点制度の御陰で会社は遠慮無く給与に差を付ける事が出来るようになり、従業員も給与が下がっても地方政府に与点を申請して生活の保障を受けながら仕事を学ぶ機会が与えられる。前にも述べた様に、与点を貰った人は訓練を受けて与点を下げていく義務が生じる。向上努力をしないで一年以上与点の下がらない人は競争階級から福祉階級に編入される。

上に述べたように、与点制度は失業者を完全に無くす事は出来ないが、企業は与点制度の御陰で今までより遥かに多くの雇用をして人材の選り取りをする事が出来る様になる。これは取りも直さず失業者が殆ど居なくなるという事である。被雇用者にしても地方政府から与点を貰ってから努力すればするほど与点が下がり給料も上がるので新しい技能を獲得する励みがつく。国の経済を国民が最も幸福に感じる状態に保つ必要条件は働く意志のある国民全てが能力に応じた収入を得て衣食住に困らない事である。それには与点制度の様な富の再配分法が絶対に必要なのだ。

与点制度を使って富の再配分を行うのは今までにない制度である。今までは金持ちに累進税を課して貧しい人達に福祉を与えるやり方だった。今までの方法の最大の欠点は重税を掛けられる金持ち達は政治家を買収して税金逃れの抜け道を造らせた事にある。その結果、福祉を支えるのは中産階級で、金持ちは益々富を増やすことになった。与点制度では、金持ちだから税金を沢山納めろと、いう国が収奪する意識では無く、金持ちは強いのだから不運な人達に与点をあげて生存競争力を付けてあげよう、という考え方に変わる。これは与点保険金は他の用途には全く使われないからである。税金として一度国庫に納めると後はどうしても政治家と官僚の裁量で彼らの利権の為に税金を使われてしまう。又、保険金として民間保険会社が間に入ると、必ず保険金の一部を搾取されてしまう。それに引き替え、与点制度で富の再配分を行えば、税金の用途は福祉階級の人達の保護と、今までより遥かに小さくなった政府の運営、それに国防と治安と国のインフラ整備に使われる事になる。競争階級に属する市民は家族構成に応じた控除後の収入に対し一定比率(累進的ではない)の税金を納めるので税制も今より遥かに簡単になる。
(続く)

 次へ  前へ

議論20掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。