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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040605-00000009-san-int
「再評価に備え」の声
【北京=野口東秀】中国の民主化運動が武力弾圧された天安門事件(一九八九年)について、中国共産党宣伝部は当時の経緯を映像記録でまとめたCD−ROMを作成した。幹部向けの内部資料として回覧されているが、資料作成の真意をめぐっては、弾圧正当化の公式見解を若手幹部に刷り込むものか、あるいは事件後総書記に抜擢(ばってき)された江沢民中央軍事委主席が事件の再評価に備えて自身の生き残り工作を始めたのかなど、評価が二分されている。
ロイター通信などによると、この資料は天安門事件の日付をとって「六・四風波の経過」との題名で約四時間に及ぶ。党内では文書のほか、要人の秘密演説を収録したビデオ映像などが内部資料として作成されているが、これだけの長さのものは異例だ。資料管理も「個人所有、持ち帰りは禁止」と厳しく、学習後はその場で資料が回収されているという。
資料の主眼は、デモや座り込みの映像ではなく、党指導部が武力鎮圧の決定を下した過程におかれている。ナレーションでは「党内には二つの指導部が存在した。趙紫陽(当時・総書記)グループとトウ小平(最高指導者)を後ろ盾とした李鵬(当時・首相)のグループだ」と学生運動への対応をめぐり指導部内で対立があったことを認めている。
資料作成の経緯について、香港誌「亜州週刊」は、消息筋の話として、江沢民氏が党宣伝部に指示して作成したとしている。
憶測を呼んでいるのは、事件から十五年を経て資料を作成した背景だ。幹部に対して「事件は政治的風波」に過ぎないと統一的見解を改めて示したとする解釈が多く、ロイター通信の報道などもこの解釈に沿う。当時デモ参加した学生からも、すでに中央官庁で課長級の幹部が出ているだけに、ここに来て公式判断をもう一度たたき込む必要があるというものだ。
しかし、「亜州週刊」誌は「武力鎮圧の決定者は当時の楊白冰・中央軍事委秘書長であり、江氏及び現政権の胡錦濤国家主席、曽慶紅国家副主席とは無関係である」と明確にすることに真の目的があるとの分析を伝えている。
事件後、上海市の党委書記から党総書記に抜擢された江沢民氏は、弾圧にはタッチしていないものの、趙紫陽氏の失脚によって政権を委ねられている。事件評価の行方は、江沢民政権の合法性にかかわる問題だけに、弾圧に「無関係」と訴えるだけでは事件再評価への江氏の備えはまだ薄弱とみることができる。
中国政府は現在も事件を「政治的風波」とし、「果断な措置で安定を守り人民の生活に良い影響を与えた」(外務省の劉建超報道官)としている。(産経新聞)