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9月22日 ◇◆ 外遊の合間をみて片手間に開かれるこの国の国会 ◆◇ 安保条約を超越した構想を米軍が外務省に説明していた! ◆◇
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□★□ 天木直人 9月22日 メディア裏読み □
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◇◆ 外遊の合間をみて片手間に開かれるこの国の国会 ◆◇
9月22日の産経新聞は、公明党の東順治国対委員長が福岡市で講演し、小泉首
相が10月上旬にアジア・欧州首脳会議に出席するので臨時国会は10月11日以前
は物理的にどう考えても開けないと述べたと報じていた。なんという総理外遊の頻繁
さであろうか。外遊と夏休みの合間に片手間に国会を開いているようなものだ。年金
法案、増税改革、経済改革、景気対策、在外米軍再編成など国民生活に直接に響く
問題が山積しているというのにである。
10日以上に及ぶ今回の小泉首相の外遊が終わった。私は主要各紙を連日読み続
けたが、およそ意味のある記事はなかった。それもそのはずである。21日のブッシュ
大統領との首脳会談と国連演説ぐらいしかまともな外交はなかった。しかも、その外
交さえも最初から結論が見えているのだから書くほうも簡単である。「大儀なき戦争」
が証明され、すっかりはしごを外された今でもブッシュ大統領を支えるしか小泉首相
には外交の選択の余地はない。「イラク戦争は正しい」と言うほかはなく、イラク全土
が混乱の極みになっているのに「自衛隊の一年延長」を決めるしか道はないまでに
「対米追従」の泥沼にはまってしまった小泉首相である。そして唐突に豹変した小泉
首相の国連安保理常任理事国入り演説にしても、いくら外務官僚が自画自賛を繰り
返しても、皆が冷めた受け止め方しかしていない冷厳たる事実がある。
各紙が外務省のブリーフィングに従って同じような報道を垂れ流すのであるから、
新聞だけでは真実は殆ど伝わらないが、それでもよく眼を凝らして読めば結構面白い
記事があった。
9月22日の毎日新聞は、小泉首相の一般討論演説を初日に行うためパオラという
国に経済援助を与えて順番を譲ってもらったと報じていた。私も経験があるがおよそ
国連の一般演説ほどつまらないものはない。初日は出席率も高く皆が我慢して聞くが、
190カ国を超える演説などどれも同じようなもので、そのうち誰も聞かなくなる。出席
者もぐんと減る。目立ちたがり屋の小泉首相の顔を立てるためにゴマすり外務官僚が
援助という名の税金を使って裏工作をし、めでたく初日演説を実現したのだ。
この期に及んでどんな理由付けで日本は「イラク攻撃」は正しかったと言い張るのか
と見ていたら、「イラクが国連決議に沿って大量破壊兵器がないと証明していれば戦争は
起こらなかった。日本は国連決議にのっとって攻撃を支持した。日本の判断は正しかっ
た」(首相の邦人記者懇談―各紙)、「イラク攻撃を支持した最大、唯一の理由は、安保理
の度重なる決議にイラクが一度も従わなかったことで、日本政府の決定になんら問題は
なかった」(高島肇久外務報道官―9月22日付け東京新聞こちら特報部)。
外務官僚の作成した詭弁である。
安保理常任理事国に関しては、やはり中国の発言に注目せざるを得ない。中国外
務省の孔泉報道官は21日の定例記者会見で「国際社会で責任ある役割を発揮する
ならば、歴史問題ではっきりとした認識をもたなくてはならない」と牽制した。
その他にも「常任理事国になって何をやりたいのかメッセージが伝わってこない」(国連
職員)、常任理事国各国は現状変更に非常に神経質だ」(デニソフ・ロシア国連大使)、
「国連総会に実効性を持たせることの方が重要だ」(カナダ国連代表部報道官)、「米国の
大統領選挙が終わり、新政権が本格始動する来年夏まで国連改革論議は停滞する」
(日本外交筋)と冷めた反応が目に付く。
それにしても常任理事国入りに否定的であった小泉首相が突然常任理事国入りに
積極的になったことについて、どう弁護しようと変節(9月22日付け毎日新聞)したの
に「小泉さんが変わったわけではない。安保理に期待される役割が変わったのだ」と
力説する外務官僚は見苦しい。
ところで私は知らなかったのだが、国連総会の前日の20日に国連本部で「貧困・飢
餓対策の首脳会議」が開かれて約50人もの首脳が参加したという(9月22日、朝日)。
この会議はテロの手に大量破壊兵器が入る事を最大の脅威とみなす米国などに対し、
貧困や疾病といったソフトな脅威を重視する国家元首の集まりで、ブラジルのルラ大
統領が呼びかけフランスのシラク大統領が賛同して実現したものという。対テロ戦や
安保理改革を最優先する国々への異議申し立てといえるものである。なんとフランス
のシラク大統領はこの首脳会議に出席した後、国連総会に出席することなく、ブッシ
ュ大統領の演説を聞かずに、さっさと帰国したという。他方日本はこんな首脳会議な
どどうでもよいと言わんばかりに、国連代表部の職員を出席させただけでお茶を濁し
ている。
主要紙はまったく書かないけれど22日付けに日刊現代は、「小泉始球式に大ブー
イング」と見出しをつけて次のような裏話を書いている。こういう記事こそ真実を伝え
ているのだ。
「ヤンキースタジアムで行われた小泉首相の始球式はブーイングの嵐であっ
た。・・・そもそも日本サイドのたっての願いで実現したもので、グラウンドには小泉と
松井の二人だけという異様な光景だった・・・カメラマンがいない時は誰とも口を聞こ
うともしない小泉首相だが「カメラ、こっち、こっち」とわざわざ呼び寄せ「俺が着て
いるジャンパーはマツイからもらったものだ。このグラブはブッシュからのプレゼント
なんだ」と喋りまくる。小泉の大はしゃぎはまだまだ続く。始球式のためマウンドに向
かう途中、360度まわって観衆に手を振る。・・・ダッグアウトに引き揚げる途中にわざ
わざホームベースに戻り審判団ひとりひとりに握手、近くにいたポサダ捕手のところま
でいって握手をせがむ始末だ。はやく練習を始めたいポサダは、グラウンドから去ろう
としない小泉に不快そうな表情をしていた。
小泉同様随行記者団も顰蹙を買った。早くからグラウンドにでて「ウォォ、芝がきれ
いじゃん」と警備員の制止を振り切って記念撮影。始球式が終わってもまた記念撮影
で、試合予定が9分も遅れてしまった。「・・・始球式が終わったらすぐ退場するのが礼
儀だ。未練がましくグラウンドにとどまっていたのにはびっくりした。ダッグアウトの貴
賓席にいたジュリアーニ元ニューヨーク市長に挨拶もせず引き揚げていったのには驚
かされた。失礼だ。自分のパフォーマンスだけしか考えていないのだろう」(地元記
者)。ヤンキースファンにとっては優勝がかかった大事なレッドソックス戦の開始を遅
らせた迷惑な政治家としか映らなかったのだ。別の米人記者が不思議そうな口調で
聞いてきた。「お前の国の首相の名前を英語で書いてくれ。本当にプライムミニスター
なのか?あの小泉という男は。」
◇◆ 安保条約を超越した構想を米軍が外務省に説明していた! ◆◇
9月22日の朝日新聞は一面トップで米軍再編の構想をスクープした。それによれば
1)アフリカやバルカン半島から中東を通って東南アジアにいたる広範な「不安定の
弧」が、テロや紛争のあらたな脅威の多発地帯となっているにもかかわらず、米軍
配備が手薄い
2)冷戦時代の軍の編成を抜本的に見直しこのあらたな脅威に柔軟に対応する
3)日本を最も重要な海外米軍基地の「戦力展開拠点」のひとつに位置づける
ということである。
日米安保条約は、米軍の在日基地を使用した活動範囲を極東までと明確に定めて
おり、「米国案を実現させるには、安保条約の改定かその解釈を変更せざるを得ない
が、国内政治を考えればそんなことはできない」(外務省幹部)のだ。だからこそ外務
省はこのような米側の要求を国民にひた隠し、無策のままに対応を引き伸ばしてきた
のだ。しかし米国の苛立ちは限界に達しつつある。「外務省が邪魔をしてきた」と米軍
関係者が怒るほどにまでになってきた。無条件に米国に従う小泉首相に圧力をかけ
て一気に日米安保関係を改変したいと米国が考えても不思議はない。
思えば日米安保条約をめぐる日本の外交は、次々と変化する米国の要求を、条約
の強引な解釈や、時として密約までして、米側の要求を満たしてきた歴史であった。
しかし今度の「テロとの戦い」に対する米軍再編は、いかなる意味でも既存の日米安
保条約の下では対応不可能である。
小泉政権はどのような対応を見せるのか、我々は徹底した情報公開を求め、国民
の利益にかなう政策を日本政府が米国との間で合意するよう監視していく必要があ
る。さもなければ憲法改正論議の前に、既成事実として憲法9条が放棄されてしまう。
憲法を護るという運動がまったく茶番になってしまう。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm