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ネット社会の情報リスク:「ネットでの誹謗・中傷への対応」(その2)【日経BP】
http://www.asyura2.com/0406/it06/msg/958.html
投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 12 月 03 日 22:44:54:WmYnAkBebEg4M
 

(回答先: ネット社会の情報リスク:「ネットでの誹謗・中傷への対応」(その1)【日経BP】 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 12 月 03 日 22:43:26)

ネット社会の情報リスク:「ネットでの誹謗・中傷への対応」(その2)【日経BP】
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/rep02/344625

2004年11月18日 13時03分
信用毀損罪と業務妨害罪


前回に引き続いて、企業やそこに勤める個人への誹謗・中傷問題について、何回かに渡って書いていきたいと思う。


先週第1回では、会社の真実を告発する意図から出ていたとしても、書き込まれた文面、文字面から直ちに犯罪となるケースとして、名誉毀損や侮辱罪、そして脅迫罪について紹介した。第2回の今日は、直ちに犯罪となるケースとして、会社の信用毀損や業務妨害について書く。


ホームページ、ネット掲示板、ブログを利用した信用毀損

「○○会社は経営状態が危ないから、取引先は早く取引を停止した方が良い」

「○○店で買ったパンにはカビが生えていた」

「○○社は、クレーム隠しをしており、告発されれば倒産は免れない」

などのような書き込みを発見した場合、これをどうみればいいだろうか。


誹謗中傷なのか、それとも告発なのか、見分けるのは容易ではない。ただ、こうした書き込みの文面が明らかに「嘘」の場合、どうなるのだろうか。


刑法233条の「信用毀損及び業務妨害罪」では、(会社などの法人を含む)の経済活動に関する能力(企業としての支払い能力、商売・営業能力等)への社会的評価を低下させることを行った場合は、刑事犯として処罰されることになっている。「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」としているからだ。


ここで言う「虚偽の風説を流布し」とは、不特定又は多数の人に対して虚偽のうわさを流した場合にあたる。よって、掲示板やホームページ、ブログなど不特定多数が目にするネット上の書き込みは、これに当たると考えてよい。


次に「偽計を用い」とは、例えば、ネット掲示板への書き込みで、発信者名を実在の他人の名前に変え、問い合わせ先としてその人のメールアドレスなども記載した上で、虚偽のうわさを広めるような場合のことである。他人を騙す、他人の思い違い・不注意につけこむ「なりすまし」はこれにあたる。


「フィッシング」にみる信用毀損・業務妨害と詐欺の関係


社会問題になっている「オレオレ詐欺」も典型的な「なりすまし」であるが、金銭的な被害が生じるため詐欺罪として立件される。


日本でも今後大量発生が予測される「フィッシング」の場合はどうなるだろうか。信用毀損・業務妨害罪と詐欺罪を考えるいい機会なので、ここで見ておこう。


「フィッシング」とは、有名な会社のホームページとそっくりの偽のホームページを立ち上げ、それを見た個人に買い物代金を支払わせたり、クレジット番号などの個人情報を詐取する手口のネット犯罪である。詐取された個人に被害が生じていれば詐欺罪となる。また「なりすまし」された側の会社は信用を失い業務に影響を受けたわけだから、信用毀損・業務妨害罪となると考えられる。つまり被害者の立場によって犯罪の種類が異なってくるわけだ。


「信用」とは、その人・会社が社会から受けている支払い能力などの経済的な信頼やその人・会社に対する一般社会で認められている社会的な評価を指している。そしてそれを「毀損する」とは、そうした社会的信頼を低下させる行為をすることである。信用を現実的に失わせなくても、その恐れのある状態を生じさせれば当該法規が適用されると判断されている。


なお、偽計を用いて信用毀損を行なうことは実際のところほとんどない。むしろ現在はネット掲示板への書き込みや、報道機関などに対して虚偽のうわさを流布して行なう場合が多い。しかしながら欧米で大量の被害が出ている「フィッシング」などの手口が、今後日本でも一般化してくると、そうとも言い切れなくなる時代がやってくる。


なお、名誉毀損罪が、個人のプライバシー、社会的な信用・名誉自体を保護しているのに対して、この信用毀損罪は、経済的・財産的な信用を保護するための法律だから、主に法人や団体などの組織が対象となる。信用毀損罪は、名誉毀損や侮辱罪と違い、親告罪(被害者が告訴することで犯罪として認められる)ではなく、告訴がなくても警察は捜査を開始する。


ただ実際は告訴しなければ警察は動くことはないので、弁護士と相談し適切な証拠保全を行うことが重要である。


威力業務妨害罪が適用される条件


刑法では、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の業務を妨害する行為を偽計業務妨害罪(233条後段)、威力を用いて人の業務を妨害する行為を威力業務妨害罪(234条)として区別している。


「偽計を用いて」については、前述したので省くが、次の「威力を用いて」とは、他の人に対して暴行を加えることや、何らかの立場や暴力以外の手段を用いて、その人の意思決定の自由さを阻むこと、業務遂行のための設備等を破壊することなどがこれに当たる。しかし現実には、「偽計」と「威力」の区別をつけにくいケースもある。


「業務」とは、組織の日常的・経済的な事業活動を指している。それが事業として営まれていれば、営利を目的としない事業でも継続的に行なわれるものはすべて含まれる。「妨害する」とは、その運営等に支障を生じさせることである。これは業務の正常な遂行を不可能にした場合はもちろんのこと、その運営に支障を与える恐れのある状態を生じさせれば、業務妨害となる。


インターネットの世界でこの罪が問われた近年の事例としては、日本テレビの「24時間テレビ25 愛は地球を救う」のホームページに爆破予告の電子メールを送信した女子大生の例(2002年10月)があげられよう。


事件の概要としては、その女子大生が日本武道館で開催中の「24時間テレビ」の募金活動を妨害しようとして、番組のホームページ宛てに携帯電話から「武道館爆破 今、武道館の女子トイレに爆弾をしかけた。あと5分で爆発するようにした。ざまあみろ」といった内容の電子メールを送信した。そしてそのことで、 15分間にわたり入場制限を行わせた事件である。このことで女子大生は威力業務妨害容疑で逮捕された。


次回からは発見した場合の対処法について、読者諸兄と一緒に考えていきたいと思う。それまでごきげんよう。

■田淵 義朗(たぶち よしろう)

1980年 (中央大学法学部法律学科卒)大手メディア関連企業(出版、ソフトウエア、映画)でコンテンツビジネスを長く経験する。

2003年 ネット情報セキュリティ研究会(NIS)設立。企業の情報リスクマネジメントについて、形にとらわれない現場での経験を踏まえたわかりやすい語り口が好評。

2004年より東洋学園大学国際コミュニケーション学科講師。政府関連、地方自治体、経済団体、大学などで、講演多数。朝日新聞、毎日新聞、週刊アエラのコメンテータ。

日経BP社SmallBizに「どうする?IT時代の人事管理」を2年近く連載。

NPO学校法人経理研究会「田淵のわかる!情報セキュリティ講座」執筆連載中。

著書に「インターネット時代の就業規則」 「ネット(攻撃・クレーム・中傷)傾向と即決対策」(明日香出版社)がある。

プライバシーマーク取得支援、ISMS構築支援にとどまらず、企業広報(掲示板書き込みや違法メール、ネット上の顧客クレーム対策)および企業総務・人事(時代にあった就業規則、業務管理規定の作成支援)まで、企業の抱える情報リスク全般のコンサルタントとして、企業の相談にのっている。

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