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(回答先: 毒薬を握りしめて 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 7 月 23 日 06:37:55)
ジャックどんどんさん レスありがとうございます。
>『帰国し、日本軍の中にもいも、人を殺す命令をうけたら自ら死のうと毒薬を握り締めて
>いたかぎりで、鶴見も一人の亡命者だった。』
>鶴見の言葉を信用する限りでは、ホンマもんかもしれません。
この話になると暗澹としてしまうのですが、アナアキズムというのは「社会設計思想」でも
あるわけです。「他律」は排すけれど「自律」は信じている。あれこれちょっかい出さなくても
人間の理性でうまく回っていくんだというように。
鶴見は人間を見る眼が非常に冷酷なんです。まず自分に対して一番冷酷。
『戦争が残したもの』で当時の白人混血娼婦に対する視線やその後の「アジア女性基金」に
ついて上野千鶴子から猛烈に突っ込まれるのですが、開き直ってしまう。
設計思想としてのアナアキズム、他律は当然排すが自律も信じていないのではないか。
何度も書いていますが鶴見の「鑑定」に淫しないように自制しますが、「世界を異郷と感じる者」
虚無主義(陳腐ですが)というのが一番近いような気がします。
すこし誉めすぎたのでケチをつけると、転向したのは左翼だけではないので会田雄二もそうです
けどインテリの多くが情報、分析、宣伝とか「知的部門」で戦争協力した。いやいやというより
みんな真面目だから結構がんばったわけです。人民戦線事件に連座して大学を追われた宇野弘蔵
も三菱経済研究所(総研の前身)にいたし。鶴見のケースを特別視するわけにはいかない。
あと戦後の「思想の科学」の転向論とかの仕事は認めますが、マンガ評論とか百七人の
思想家と吉永小百合を並べる鶴見の「面白主義」なんですが、上記の「冷酷さ」がフトよぎると
「どうだ、面白いか」という冷笑が聞こえるようで、あんまり「面白く」ないんですよね。
これは私の考え過ぎかもしれませんが。
>日本軍のなかにいて、白人高級将校用の慰安婦を調整する仕事。戦後同じ、京都大学の
>人文科学研究所にいて、英軍の捕虜収容所で、英国人将校の支配者としての狡猾さと
>エグサを冷静に描写した会田雄二「アーロン収容所」(中公文庫)がいたのもおもろいですね。
大岡昇平と柄谷行人の対談で大岡の『俘虜記』と対比して「アローン収容所」について、「イギリス軍
の女性兵士は日本兵の前で堂々と裸になる。犬猫と一緒、人間に似た動物だと思っているから恥ずかし
くもなんともない。ところがアメリカ軍はメシを食わしたり、毛布をやったり、あれこれ世話
を焼く。敵であるのにこんなにしてもらって良いのか」と困惑するわけです。
「アメリカ的正義」ですかね。
上官からビンタ張られて、滅茶苦茶な作戦指揮に振り回された日本兵は感激して、何でもしゃべる。
聞かれていない事まで全部しゃべるわけです。アメリカ軍は「日本人はファナティックな軍国主義者」
だと思っていたからさぞびっくりしたんじゃないか。「組みやすし」ですね。『菊と刀』のような
高尚なものはいらん、とか(笑)
>ノリノよい、バルタン節、楽しませてもらってます。
てらいもなく、あり難く受け止めて精進いたします。