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Re: あっしらさんなら、どのような戦略で、郵貯・簡保を掠めとりますか?
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 9 月 28 日 23:47:52:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: あっしらさんなら、どのような戦略で、郵貯・簡保を掠めとりますか? 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 9 月 28 日 20:33:39)


ジャック・どんどんさん、どうもです。


まず、郵貯・簡保は日本政府にとって「国債引き受けマシン」ですから、そうやすやすと“一人立ち”させることはないと思っています。

政府部門(国と地方)の債務残高は1000兆円に近い額ですから、郵貯・簡保の残高350兆円の3倍近い“金融資産”が政府部門に対する債権として固定化されています。
(このような数字を考えるだけで郵貯・簡保を民営化する意味がないことがわかるはずです)

郵貯・簡保の残高が減少するだけでも、「国債サイクル」の維持や財政投融資の後始末に重大な支障が生じます。(郵貯が払い戻しされたり簡保が解約される事態には、国債の売却か新規国債発行で応じなければなりません)


少しは物事を考える官僚であれば、03年度の資金循環統計でフローの家計資金収支が赤字であったことに衝撃を受けているはずです。(これは、国債引き受け原資となる貯蓄が減少することを意味するし、将来の社会保障給付の増加を予感させるものです)

フロー収支が黒字の企業は基本的に借り入れ需要者であり、企業が一時的に余剰(内部留保)を貯蓄に回したからといって、それが安定的に増加するとも、貯蓄として固定化され続けるとも考えにくいものです。

日銀が100兆円を超える国債を保有していますが、財政規律や経済理論を考える財務官僚は、日銀の国債保有を野放図に増加させていいとは思っていないでしょう。


財務官僚の真意は、民営化された郵貯・簡保が預け入れを増加させて「国債サイクル」の維持に貢献して欲しいというものだと推測しています。
民営化された郵貯・簡保の資金が他の債券や民間向け貸し出しに動くという事態は悪夢のはずです。
このようなことから、官僚の狙いは、道路公団の民営化と同じように、郵政民営化政策を換骨奪胎することにあると思っています。
郵政民営化が、小泉首相の持論的政策の実現として行われるのか、米国筋の差配で進められようとしているのか(両方のマッチングということもあります)わかりませんが、例によって面従腹背で巧妙に換骨奪胎していくんだろうなと思っています。
(郵政民営化は道路公団民営化以上に助っ人政治家が多いのでやりやすいはずです)

貸し出し審査や回収業務を考えれば、これまで政府に貸し付けるか国債を引き受けるかしかやってこなかった郵政金融部門が民間向け貸し出しを行う条件に欠けていることは自明です。(そのような陣容を整えることはできるかもしれませんが、そうなると経費が膨大になります。政府向け貸し出しと違って不良債権も発生しますから、経費増加と収益減少ですぐに赤字企業に転落するでしょう)
地価やGDPが右肩上がりであった時代なら、「信用創造」利得でリスク分散しつつ担保を取っておけば民間向け貸し出しで利益を上げることもできましたが、デフレ不況の時代に貸し出しで利益を上げるのは至難のワザです。それこそ、ちまちまサラ金(家計向け貸し出し)で稼がなければならなくなるでしょう。(融資業務経験が長いメガバンクがそのような動きをしているくらいです)

政府部門の債務残高が郵貯・簡保残高の3倍近くもあるのですから、右から左に資金を動かすだけで公的債務に対応する郵貯・簡保を民営化する必要はありません。
(「国債貯蓄」と銘打って維持すればいいのです(笑))


話を質問レベルに移します。

「郵貯・簡保を掠め取る」方法としては、郵貯や簡保に流れ込むお金を自分たちの金庫(運用原資)に呼び込むものと、郵貯や簡保をまるまる自分たちのものにしてしまうものがあります。

たぶんですが、掠め取りたい連中は、長期に固定化される簡保から攻めるのではないでしょうか。
日本の生保も同じでしょうが、経営条件の“平等”化や取り扱い商品の限定化を強く求めるはずです。運用予定利率や経費が国策で優遇されていることを声高に批判し、民営化で拡大策を取ることを牽制するでしょう。
もう一つは、郵政の窓口機能を自分たちの商品の販売経路に使う要求です。全国津々浦々にある民営郵便局で取り扱ってもらえば、TVCMを媒介としたダイレクトセールスでカバーできない層を取り込むことができます。(手数料を民営郵便局に支払ってもおいしい)

郵貯については、民営化された企業が政府べったりなのはおかしいと叫び、国債引き受けを含む政府部門向け融資比率の上限を求めるかもしれません。
民間向け融資に引っ張り出すことで高コスト構造に移行させ経営基盤を崩していけば、身動きができなくなり新しい“展望”(まるまる自分たちの運用資金にする)が開けてくる可能性があります。
(民間向け融資の“強制”は、簡保にも打撃を与えます)

郵貯・簡保を本当に掠め取りたかったら、お仲間への貸し出しなどで“失敗”して、後始末は預金保険機構や政府にお任せというパターンになるのでしょうか。


幸か不幸か「財政危機」の状況で行われる郵政民営化は、政府の「国債サイクル維持マシン」の強化につながっておしまいになるのではと思っています。
国士を自負し自己保身のための悪知恵が枯れることのない官僚の対応ぶりを見てみたいと...

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