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【推奨書籍】:「ドル暴落から世界不況が始まる」(リチャード・ダンカン著・徳川家広訳・日本経済新聞社・税抜き価格1800円)
今日(土曜日)見つけてついさっき読み終えたばかりの新刊書籍で、米国の経常収支赤字の巨額化とそれを支えるために積み上げた対外債務の“清算”必要性とそれが世界経済に及ぼす影響が説明されている。
日本語版タイトルのイメージとは違い恐怖を煽るような内容ではなく、冷静な分析と論理を展開している。(英語版タイトルは「THE DOLLAR CRISIS :CAUSES CONSEQUENCES CURES」。序文によると英語版は1年3ヶ月前に書かれたものらしい)
最後には、来るべき世界不況の緩和策として「国際最低賃金制」を提言してもいる。
ダンカン氏は、アジア通貨危機のときにIMFのコンサルタントとしてタイに赴いた経験があるエコノミストで、現在はABMアムロ・アセット・マネージメント社の金融部門上級投資アナリストとのこと。
戦後世界経済が「世界の需要者」である米国の旺盛な“胃袋”に支えられてきたこと、そして、その旺盛な“胃袋”を支えてきたのが日本や産油国といった貿易収支黒字国であることが豊富なデータで説明されている。
(金本位制とちがって歯止めのない国際的「信用創造」を、ビー玉遊びに勝った子が遊びを続けるためにビー玉を貸してやる行為にたとえている)
2000年のバブル崩壊後も消費が衰えていない米国経済の“謎”も、住宅バブルと消費者金融であることが示されている。(米国民の債務肥大化状況や住宅バブルの実情も詳しく説明されている)
バブルと銀行危機の関係性やデフレについてもデータを示しながらの詳細な説明がある。
「構造改革」の下敷きになっているサプライサイド経済学(レーガノミックス)も失敗と断じ、「世界経済は自由貿易で壊滅する」と自由貿易主義も批判したり、マネタリズムの不合理性も指摘している。
米国経済データを見るだけでも価値がある書籍であり、日本経済の先行きに関心をお持ちの方に是非ともお読みいただきたい書籍だと思っている。
※ ごくわずかだが明らかな誤りや解釈の違いもあるが、それを超えて一読する価値がある書籍である。