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3人解放へ…新たな条件提示か、情報錯綜 --- 犯人側にも混乱
あの笑顔は再び戻ってくるのか。上から時計回りで、高遠菜穂子さん、今井紀明さん、郡山総一郎さん
【バグダッド12日=夕刊フジ特電】イラクのバグダッド近郊で日本の民間人3人が武装勢力に誘拐された事件は、発生から5日目の12日に入っても、連合軍暫定当局(CPA)を仲介にしたギリギリの交渉が続く。10日夜(日本時間11日未明)に全世界を駆け巡った「24時間以内の解放」。家族に一時浮かんだ安堵(あんど)の表情は、24時間をとうに過ぎて焦燥に。解放の遅れは、犯人側の新たな条件提示や拘束先とされる中部ファルージャでの一時停戦の調整の手間取りなど、各種の憶測を呼ぶ。3人はどこで、どうしているのか。解放への最終段階に向け、緊張感が高まる。
【上部組織が解放約束】
誘拐から5日目に入り、健康状態も心配される写真ジャーナリストの郡山総一郎さん(32)▽ボランティア活動家の高遠菜穂子さん(34)、市民団体代表の今井紀明さん(18)の3人。
解放への期待感が高まるなか、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラのバグダッド支局に11日夕(日本時間11日深夜)、イラクの反米武装組織「1920年革命旅団」を名乗る声明がファクスで送り付けられた。
1920年旅団は、日本人3人を拘束した「サラヤ・アル・ムジャヒディン(聖戦士旅団)」の上部組織だという。
「ファルージャに展開する連合軍との間で成立した一時停戦合意を順守し、人質の解放を約束する」と強調した。
【この前に、仲介者は殺害警告】
この声明が出されたのは、事件の「仲介役」を自称するイラク人権擁護団体代表、マズハル・ドレイミ氏のインタビューを、アルジャジーラが放映した直後だった。
ドレイミ氏は「武装組織は、24時間以内の自衛隊撤退と逢沢一郎外務副大臣のファルージャ入りを要求しており、受け入れなければ24時間後に1人、さらに12時間後に2人を殺害すると警告している」と述べた。
1920年旅団の声明はドレイミ氏の発言を完全に打ち消す形で送られてきており、犯人側にも、混乱が起きていることを示唆している。
イスラム聖職者連盟のモハメド・ファイディ幹部は「彼らは人質を解放すると約束した。イスラム教徒は約束を守るべきだ」と、武装組織に人質解放を求めた。
【聖職者連盟の要請で解放】
人質事件発生から初めて動きが見えたのは、11日午前3時。アルジャジーラが「24時間以内に人質3人を解放する」というムジャヒディン名の声明を報道したのがきっかけ。
武装組織は、イラク人の約6割を占めるイスラム教スンニ派のムスリム聖職者連盟の要請で解放を決めたとし、「かれら(3人)はイラク占領国に毒されていない」「家族の苦悩と日本の人々の姿勢を考慮する」と理由を並べていた。
【政治・武装組織の犯行か】
CPAの分析だと、犯人グループはスンニ派最大勢力であるドレイミ族の政治・武装組織の可能性が高い。
ドレイミ族は、中部のファルージャやラマディなどスンニ・トライアングルが拠点。かつては、フセイン政権を支え、治安情報当局や共和国特殊防衛軍など主に軍事部門を担当していた。
【停戦で軟化】
武装組織の軟化は、ファルージャを中心した連合軍とスンニ派の戦闘で、停戦に向けた動きが出始めてからだ。
双方は11日午前10時(同午後3時)から12時間の停戦で合意。さらに12日午前10時(同午後3時)まで延長された。
【条件闘争で外国人誘拐】
武装組織は続発する外国人誘拐を、連合軍との条件闘争に利用している可能性が高い。それを裏付けるように、武装勢力は11日、拘束していた外国人9人を次々と解放している。大半はCPAの運転手として働いていた。聖戦士旅団はメッセージビデオの中で「ムスリム聖職者連盟の要請」と述べているという。
中国の国営新華社通信は12日、イラク中部で11日、新たに中国人7人が武装グループに誘拐されたと報じた。
こうしたなか、ヨルダンのアンマンからバグダッドに向かう途中で行方不明となり、武装組織に拘束されたドイツ人男性2人の遺体が確認された。在イラク独大使館の警備担当職員で、ファルージャ近郊で武装勢力に銃殺されたという。
一連の誘拐事件は、ムスリム聖職者連盟と密接に関連しており、日本人3人の解放も同連盟に委ねられている。
【不快感の米政府】
ブッシュ米政権は、外国人を狙った誘拐事件に強い不快感を見せる。
パウエル国務長官は米CNNテレビのインタビューで、日本人人質事件について、「(実行犯を)我々が見つけ出し、イラク人の協力で公正な裁きにかける」と、事件の徹底解明を目指す姿勢を表明した。
ZAKZAK 2004/04/12