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陸自宿営地狙った攻撃か 近くに着弾 [毎日新聞]【評論家小泉首相「早く自衛隊を撤退させよう米英軍を追い払おうという脅し」
http://www.asyura2.com/0403/war50/msg/821.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 4 月 08 日 16:45:16:Mo7ApAlflbQ6s
 


 【サマワ(イラク南部)鵜塚健】7日午後11時10分(日本時間8日午前4時10分)ごろ、イラク南部サマワの陸上自衛隊宿営地近くで、大きな爆発音が3回聞こえた。迫撃砲かロケット弾による攻撃とみられ、宿営地の北側約300メートル地点で砲弾の着弾点とみられる跡2カ所を確認した。周囲に他の施設はなく、陸自の宿営地を狙った可能性が高い。サマワで復興支援活動にあたる自衛隊への攻撃は初めて。隊員や宿営地に被害はなかった。関係者によると、3発の砲弾のうち1発は不発弾だった可能性もあるという。

    ◇

 防衛庁に入った情報によると、爆発音がした後、宿営地は照明を落として厳戒態勢に入り、派遣隊員は宿営地内の車両や退避ごうに退避した。全員の無事が確認されている。陸自はオランダ軍や地元警察と協力し、夜明けから本格的な調査を開始する。

 同庁によると、宿営地の北側で爆発音が聞こえ、煙が上がるのを見た隊員もいる。現時点では迫撃砲によるものか、ロケット弾によるものかは不明で、破片などを回収して調べる。同庁は「自衛隊を狙ったものかどうかは確認されていない」と話している。

 イラク国内では今月に入り、各地で米英などの占領軍とイスラム教シーア派の反米指導者サドル師支持者との衝突が激化していた。防衛庁は11日に予定されている同派の大規模な宗教行事「アルバイン」にも配慮し、宿営地外の道路工事、学校補修などの活動を当面自粛していた。宿営地内の給水活動などは実施していたが「宿営地内の活動についても今後、状況をみて継続するか検討したい」(同庁)という。

 サマワでは、2月にも市中心部に迫撃弾が撃ち込まれる事件があった。【滝野隆浩】

 ◇首相「脅しの一環」

 小泉純一郎首相は8日、サマワの陸上自衛隊宿営地近くで爆発音がしたことについて「テロリストはかく乱するのが狙いですから。早く自衛隊を撤退させよう、米英軍を追い払おうという脅しの一環だと思う」と述べ、自衛隊を狙ったテロとの見方を示した。自衛隊の活動への影響については「安全には十分配慮し、訓練している」と述べるにとどめた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 また福田康夫官房長官は同日の会見で「従来、安全確保に十分な配慮をしてきたが、同様にやっていく。そういう状況のなかでできる限りの復興支援をしていきたい」と述べ、安全確保に万全を期す考えを改めて示した。

 ◇緊張一気に高まる

 イラク南部サマワの陸上自衛隊宿営地近くで日本時間の8日未明、爆発音が響いた。深夜の現地で、確認作業が続く。今のところ、けが人などの報告はないが、日本に残る家族に不安が募る。自衛隊を狙ったテロなのか。陸自の先遣隊が現地入りしてから約3カ月、緊張は一気に高まった。

 第1次派遣部隊550人の主力部隊である陸上自衛隊第2師団(司令部・旭川市)には8日午前6時すぎ、「宿営地周辺で大爆発音があった。宿営地内にいる隊員は全員無事」と北部方面隊から連絡が入った。これを受け、派遣隊員の家族に、生活や悩み事の相談に乗る「サポート隊員」が派遣され、「全員無事」と連絡を入れたり、問い合わせに応えた。

 現地の同僚から「宿営地の中にいる限り不安はない」とのメールが7日に届いたある隊員は「宿営地は周囲5、6キロ先が見渡せる砂漠の真ん中にある。迫撃砲の射程は2、3キロなので、警戒すれば大丈夫」と祈るように話していた。

 一方、陸自北部方面総監部(札幌市中央区)は、現地の治安状況や隊員の安否など情報収集に追われた。広報室によると、一報は8日午前5時すぎ、陸上幕僚監部から入った。同室の隊員10人は、情報収集のため陸幕と連絡をとる一方、報道陣からの問い合わせに応じた。同室の幹部隊員は「隊員にけがなど異常はないと聞いており、通常通りの体制で勤務を続けている」と話した。【渡部宏人、武内亮】

 ◇防衛庁、確認に追われる

 東京・市ケ谷の防衛庁では8日朝、事実関係の確認と情報収集に追われた。サマワとの時差は5時間あり、現地はまだ夜が明けていないことから、着弾地点の十分な確認は出来ておらず、発射場所も不明だ。陸自は、9日のフセイン体制崩壊1周年や11日のイスラム教シーア派の宗教行事「アルバイン」での混乱を警戒して宿営地外での活動を一時休止しており、情報が少ない状況という。防衛庁は現地の夜明けを待って、情報収集を進める。

 サマワでは、今年2月にも市街地で迫撃砲による攻撃事件が起きている。ただ、今回は市街地から車で約15分かかる、他には建物がない場所での着弾で、陸自宿営地が標的になった可能性が高い。部隊派遣の前提となる「非戦闘地域」という条件が崩れかねない事態ともいえる。防衛庁は「標的になったかどうか、詳しく調べてみないと分からない。派遣自体をうんぬんする段階ではない」としている。【藤生竹志、滝野隆浩】

 ◇強まる反米感情

 中東研究家の高橋和夫・放送大学助教授の話 イラク各地で米軍だけでなく、スペインやエルサルバドルなどの軍隊と衝突が起きており、自衛隊だから狙われたのではないと思う。ただ、サドル師の人気が高まる中、米軍のモスク攻撃でイラクの一般市民が多数死ぬような状況が続くと、反米感情がますます強まり、自衛隊を含む占領軍への攻撃がひどくなることは予想される。自衛隊が犠牲者を理由に撤退すれば、国際世論の非難を受けるのは間違いなく、引き揚げのスケジュールを事前に明確にしておくべきだ。

 ◇手製の迫撃砲弾か

 軍事アナリスト、小川和久氏の話 本物の迫撃砲弾ではなく、手製と思われる。旧イラク軍が使っていた一般的な迫撃砲弾は旧ソ連製の82ミリで、発射音はしない。被害から推定すれば、発射されたのは、旧イラク軍の武器を大量に持っているスンニ派の部隊ではなく、サドル師のグループではないか。オランダ軍や自衛隊が過剰な反撃によりイラク人に大量の死者を出すことで、比較的安定していたサマワを混乱に陥れることが攻撃の狙いだろう。

 ◇米軍と同一視か

 バグダッドで医療支援を続けるNPO日本国際ボランティアセンター(JVC)中東担当の佐藤真紀さん(42)の話 イラク人の対日感情は悪くないが、反米感情は急速に高まっており、米国に追随する存在として自衛隊も同一視され始めた兆候かもしれない。自衛隊は武器を持っているだけに狙われたら反撃せざるを得ず、紛争の火種に発展しかねない。人道支援ができないならば、自衛隊は撤退を考えるべきだ。

毎日新聞 2004年4月8日 11時31分

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040408k0000e030035000c.html

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