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講演内容(4) 自爆テロの背景/はじめに戦争ありき/後ろめたさか、士気が低下
http://www.asyura2.com/0403/war49/msg/946.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 3 月 22 日 18:35:12:dfhdU2/i2Qkk2
 

(回答先: 講演内容(3)「あなたは辞める気ですか?」/拉致問題への対応/出版後のプレッシャー 投稿者 なるほど 日時 2004 年 3 月 22 日 18:32:28)

最終更新日:2004/03/22
自爆テロの背景

イラクはアメリカだけではなくフランスやロシアにも石油の権限を与えていますから、この際一気にイラクの石油を独占するという考え方はあったと思います。もうひとつはイスラエルの安全保障です。イスラエルのパレスチナに対する姿勢は9.11の同時多発テロ以降強硬になりこれに対してパレスチナの自爆テロも激しくなりました。

そんな中でサダム・フセインは今日の中東では唯一イスラエルに強硬な姿勢を見せておりパレスチナの抵抗組織にも支援をしていました。イラクを親米政権に変えることは米国、イスラエルの共通の目的でした。いわゆるネオコンとよばれるブッシュ大統領の取り巻き連中がユダヤ系であることも関係しています。

イスラエルはテロに対抗するためには何をやってもいいということで、ここ2、3年どんどんパレスチナ人を殺してきました。ヘリコプターからミサイルで直接殺すわけです。まわりの市民や子どもが巻き添えで犠牲になっています。パレスチナ人はアメリカから資金源を絶たれますから、なかなか武器の調達もままならない状況の中で、もうどうしようもなく自爆テロという形になるわけです。自爆テロというのは、2、3年前まではそんなに頻繁ではなく珍しかったのですが、いまや当たり前の状況です。女性の自爆テロも当たり前になってしまいました。男は警戒されますがまさか女性が自爆テロをするとは思わない。その盲点をついて女性が服の中に爆弾を持って自爆するということです。

ちょうど2年前に、17歳のパレスチナの女の子が、スーパーマーケットに入ろうとして係員に呼び止められた時に自爆テロを起こしたのですが、その時ちょうど同じ17歳のイスラエルの女の子とそのお母さんが買物から出てきて、すれ違った時に爆発してみんな死んだわけです。17歳の女の子が17歳の女の子を殺したというのがショックで、『ニューズウイーク』に大きく報道されました。二人の赤ん坊を残してお母さんが自爆テロを起こしたことも先日ありました。ここまで人間を追い込むイスラエルの政策はまちがっていると私は思います。

はじめに戦争ありき
そういうような中で起きた米国のイラク攻撃は、しかしまったく米国の都合で起こされたものです。あれは国益追及のためにはじめから戦争ありきだったのです。

いまでは明らかになりましたが、当時から大量破壊兵器の存在は疑われていました。しかしより重大なうそは、かりになんらかの大量破壊兵器を持っていたとしても、それをサダム・フセインが使うという差し迫った脅威はまったくなかった。国連憲章で認められている武力行使は真にさし迫った脅威があるときの自衛の為の武力行使です。しかもその差し迫った脅威は安全保障理事会の承認が必要である。いずれもあの場合はなかった。ブレア首相もブッシュ大統領もなかなか厳しい状況に今後は追い込まれていくと思います。

そんな大義のない戦争で始まった今、イラクに何故日本が自衛隊を派遣しなければならないのか。私は自衛隊のイラク派遣は本当に間違いだと思っています。日本が自衛隊をイラクに派遣することを望んでいる国はどこにもありません。あるとすればアメリカだけですが、そのアメリカさえも「日本も自衛隊を派遣して協力姿勢を示している、つまり米国だけがイラクを占領しているのではない」ということを世界に示したいだけで、今となっては自衛隊がサマワで何をやろうが米国は関心がありません。それどころかどうやってイラクを安定させようかということで頭が一杯です。

いまイラクは内戦状態に突入寸前といわれています。米国は早く政権を移譲したいのですがイラク人の間の主導権争いはますます激化しつつあります。選挙をして誰がこの国の主導権を持つのか。いま選挙をすると多数決でシーア派が政権を持つわけです。しかし、シーア派が政権を持つと、当然スンニ派が反発するしクルド人も反発します。そしてアメリカにとってもっとも重要なのは、どの政権であれ、その政権が親米政権でなくてはならないということです。反米政権ができてしまったら何のために戦争をしてきたのか、ということになりますから。

そんな状況の中でサマワでの人道援助なんてまるで的外れなことをやっているわけです。今のイラク情勢の全体から捉えてサマワでの支援活動は日本の自己宣伝の意味しかありません。377億円の予算をかけてすることはまず自分達の施設を作ることです。一部の部族に様々な協力をちらつかせてとにかく安全を第一にする。何のための援助かということです。その派遣も明らかに憲法違反ですが国会でのまともな議論がなされない。これが法治国家なのかと疑いたくなるような状況での強引な派遣です。

後ろめたさか、士気が低下
そのような中で外務省はどのような外交をやってきたのか。私が35年間外務省にいて内部からその外交を見てきてことごとく対米追随がすべての外交に優先されてきた。アメリカとの関係も重要ですけれども、時にはアメリカと違った政策を取った方が日本の外交にとって好ましいことがあったと思うのです。しかしながら米国の意向に逆らったことは無かった。それは何故だろう。私はこれは自己欺瞞の外交だと思います。自分自身でもおかしいと思うがそれでも対米追従を繰り返す。こういうことだから仕事そのものに充実感だとか達成感がまるでないのです。

いま外務省は非常にモラールが低下しています。それは結局国民を裏切ってまで対米追従外交をしてきた後ろめたさだと思うのです。これも驚きですが、最近日米地位協定の運用に関する外務省の考え方という極秘書類が出てきました。私はその書類のことは知らなかったのですが、私はある時のちに次官になった人が条約課長時代に作成した安全保障条約の解説書を読んでみろと渡されました。その調書は薄っぺらなものだったのですが、その中に「アメリカほど日本にとって重要な国はない。そのアメリカを、日本が攻撃された時にアメリカは本当に助けてくれるのかと疑うことは失礼だ」というくだりがありました。私は唖然としました。これが条約課長の書いた文章なのかと。そこには法的論理もなにもない、思い込みと言いますか、あらゆる議論がそこで打ち止めになっている。

今度の米国のイラク戦争について「米国を支持するほかに選択の余地がないじゃないか」ということとまったく同じ言い方ではないでしょうか。殺し文句になっています。思考停止です。

今の外務省の幹部の考え方、あるいはOB、御用学者、評論家、みんな彼らが一律に言うのは「アメリカは唯一の同盟国で、歴史的にアメリカ以外の国と関係を持とうとしてうまくいったケースはひとつもない。したがって日米同盟をなくした時点で日本の国益は失われる」と。

岡崎久彦という外務省のOBがいて、彼はいち早くそういうことを言ってきた人です。あの人が書いた『戦略的思考』という本は「要するに弱い者がいくら協力しあって何もならない。強い者と組まないと国益を損なう」ということに尽きます。実利主義、現実主義の極みであり、理想を求める外交を最初から放棄している。

http://www.ryukyushimpo.co.jp/ryukyu_forum/lecture04.html

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