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(回答先: 講演内容(4) 自爆テロの背景/はじめに戦争ありき/後ろめたさか、士気が低下 投稿者 なるほど 日時 2004 年 3 月 22 日 18:35:12)
最終更新日:2004/03/22
『吉田茂の自問』
これに反論する意見が最近外務省のOBから出ました。昨年10月に『吉田茂の自問』(藤原書店)という本が外務省OBで小倉和夫という私よりも7年ぐらい先輩により出版されました。彼は外務省で偉くなって最後はフランス大使までやった人です。
その本は吉田茂が若い課長に命じて、なぜ日本はまちがった太平洋戦争に突入したのか、外務省の責任はどこにあったのか調べさせたのです。そして当時の課長が集まって、3カ月間で日本の外交のまちがいを書いたのですが、その調書が50年ぶりに公開されて、それを小倉さんが検証して本にしたわけです。
その調書が言っていることは、結局、当時軍部が統帥権干犯(とうすいけんかんぱん)という誰も抗えない特権を持ち出したため外交の余地がなかったということを認めた上でそれでも当時の課長たちは外交そのものが軍部と一緒になって太平洋戦争に突入していったのではないかと自己批判しているのです。
そのこと自体が興味深いのですが、もっと興味深いのは、小倉さんがそれを読んだあと、自分の意見を述べているくだりです。ここまで戦後の外交が日米同盟一辺倒になってしまったことは間違いではないか、これしか選択がないということで正に太平洋戦争に突入していったその誤りを再び繰り返すおそれはないのか、理想を忘れた外交は戦前の外交と同じまちがいを繰り返すのではないかということを言っているわけです。外務省を辞めたといえども枢要なポストを歴任したOBの言葉です。外務省は衝撃を受けていると思います。
地位協定は重要課題
私は昨日、日米地位協定の改定のシンポジウムに参加させてもらって聴いていました。
私は、実は沖縄には1974年の海洋博覧会に来て、それ以来のことです。今こういう形で自由な身になって、日本のこれからのいろいろな外交について考えていきたいと思っている時に沖縄に来て地位協定の問題を考えるのは非常に有益だと思いました。
日米安保条約、そしてその中で一番重要な日米地位協定というのはこれからの日本の外交を考える上で最優先のテーマであると思います。
普天間基地の移転問題、15年問題も含めてまちがいなく政治問題になっていくと思います。
イラク戦争、あるいは拉致問題、この二つにずっとここ1〜2年の外交は終始してきましたけれども、これからはまちがいなく日米安保条約の是非が真剣に問われるようになってくるでしょうし、またそうあらねばなりません。この問題こそ、一体いつになったら変わるであろう日米同盟至上主義の政策の是非の問題であるからです。突き詰めて言えば、それが変わる時は日本外交が変わる時だという認識で私はいます。地位協定の改定を回避し運用の改善で済まそうとする限りこれまでの外交がやってきたごまかしなのです。
本当に外務省が、先ほど申し上げたように国民の方に顔を向けて、アメリカに対して本気で向かい合っていくのかということです。
大田昌秀前沖縄県知事やいろんな方が言っておられるように、アメリカは日本の政府が言ってくれば検討するのです。日本政府が本気で要求すれば、そしてその要求に理がある場合は米国としても取り上げざるを得ないのです。それを日本政府自身が要求を放棄しているのです。
さらに言えば、アメリカのメディア、アメリカの国民を通じてアピールすることが重要であると思います。米国政府がもっとも耳を傾けるのは米国民の声です。もし米国民がおかしいと考えれば米国政府は検討せざるを得ないでしょう。米国民に日米地位協定の不合理性を訴えるのです。アメリカ国民が問題意識を持って意見を言うようになれば、必ずアメリカの政権にも影響を与えていくと思います。
国民が外交を変える
私は拉致問題をめぐる最近の外務省の動きを見てつくづく思うのですが、おそらく初めて国民が、外務省が独占してきた外交を変えつつあるのではないかと。外務省は動きが取れなくなっているわけです。
外務省は、北朝鮮に拉致家族の一部返還を認めさせた見返りに国交正常化を進めようと目論んでいました。しかし国民の感情的反発を読み間違えたのです。これだけ国民が関心を持つと、いま当面は家族の返還の問題ですけれども、まだ存在が分からない横田めぐみさんとか有本さんなどがいるわけで、当然放っておくわけにはいきません。
さらに言えば、100人〜200人という(拉致されたのではと推測される)人達も出てきました。これらの解決無しに北朝鮮との関係を進展させることは難しくなってきました。外務省は困難な外交を迫られていますが、これこそが本来やるべき外交であったのです。やはり情報公開は必要なのです。
最後に、今後日本は政治が変わっていくのかということですが、これには私は悲観的にならざるを得ないのですが、しかしやはり政権交代が国民の手で一度は実現しないと駄目だと思うのです。その意味で民主党を応援しているのですが、どうも民主党はいまだ自民党を倒すだけの力が無いような気がします。しかしだからといって、今のように自民党と公明党によって日本の政策が決められていってよいのか、これは多くの国民の等しく抱いている感情であると思います。これから先は私の話すことではないと思いますが注意深く見ていきたいと思っております。今は国民の選挙への関心が恒常的に低下していますが、本当にこれでよいのか、国民が目覚める日が来ることを期待しています。(拍手)
http://www.ryukyushimpo.co.jp/ryukyu_forum/lecture05.html