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立川・反戦ビラ入れ弾圧 3人の意見陳述全文 [大沢ゆたか氏]
http://www.asyura2.com/0403/nihon13/msg/153.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 5 月 10 日 02:16:58:dfhdU2/i2Qkk2
 

(回答先: 参議院外交防衛委員会4月27日立川ビラ事件、齋藤勁議員、私もこんなことで逮捕されるのかね 投稿者 なるほど 日時 2004 年 5 月 10 日 01:13:14)

意見陳述書
<大西章寛さん>

私は本件裁判の被告人として、以下の通り意見陳述を致します。
私は、東京都立川市にある陸上自衛隊官舎にて、自衛隊員に反戦を訴えるビラを配布しました。
いま日本の自衛隊は、人道復興支援という名目でイラクに派兵されています。しかし、私は、米国により一方的に開始されたイラク戦争そのものが国際法的にも道義的にも不法・不当な暴挙であり、それに自衛隊を参加させるための派兵も明らかに日本国憲法に違反する行為だと考えます。イラク戦争は、大量破壊兵器をイラクが隠とくしているとして開始されました。しかし、現在、戦争の口実となった大量破壊兵器の存在自体が危まれていることは周知の事実です。
そもそも国際法上、他国に対しての武力行使が合法化される要件としては、@自衛権の行使と認められる場合と、A国連の安全保障理事会が承認した場合とに限られます。自衛権の行使と認められるには、他国から武力行使を受けたり、緊急避難的行為と認められる必要があります。しかし、今回のイラク戦争に際しては、イラクが米国を武力攻撃した事実は全く存在しておりません。よって米国のイラク攻撃は自衛権の行使とは到底言うことはできません。
では、一方の要件である国連の安保理による承認が得られたと言えるでしょうか。米国や日本政府は、湾岸戦争以来の16にのぼる国連決議を武力攻撃の根拠としていますが、その中でも最も有力な決議とされている昨年11月に採択された決議1441ですらイラクが大量破壊兵器の査察を拒否するなど「重大な違反」を犯した場合は「深刻な結果」を招くことになると、単に警告したにすぎず、明確に米国による武力行使を容認した訳ではありません。その他の国連決議は、湾岸戦争時に多国籍軍による武力行使を認めたものであり、今回のイラク攻撃の根拠とはなり得ません。
以上の事実に鑑みれば、米国が一方的に開始したイラク戦争自体が重大な国際法違反であったことは明らかです。
このような米国の戦争に日本政府は、世界の中でも一早く支持を表明し、50億ドルに上る経済援助や自衛隊派兵という形で積極的に協力しています。現在まで続く戦闘によりイラク人一万人以上が殺害され、多くの社会基盤が破壊され続けています。劣化ウラン弾による放射能被害も湾岸戦争時のものに加えて拡大することが懸念されています。最近のイラク人による米軍やCPA(連合軍暫定当局)への抵抗運動の盛り上りは、米国による軍事占領がイラクの人々の尊厳を踏みにじる行為であり、多くの家族や友人の命を奪われた人々の怒りに火をつける行為であることを物語っています。
私は、イラク戦争が国際法に反した武力行使であったということ以上に、米国の政治的利害によって引き起こされた戦争であることに注目します。2001年、9月11日の事件以降、米国は「対テロ戦争」という名の下に世界中で軍事行動を展開してきました。2002年に国防総省が発表した、いわゆる「ブッシュドクトリン」と呼ばれる「国家安保戦略」という政策文書では、小型核兵器の使用も含む「先制攻撃論」が堂々と唱えられました。この考えは、米国だけは世界の中で唯一、自由に軍事力を行使できるとする考えです。これは米国を中心とする現在の政治的・経済的体制を維持するためには、いつでも米国が軍事介入に乗り出し、不安的要因を力で除去することを目的に導かれた考え方です。
しかし、もしこのような考え方が世界で許されれば、世界最大の軍事力を有する米国の軍事行動だけは特権的に許容されることになってしまいます。
このような米国の戦争政策に無条件で従ってきたのが日本の小泉政権です。昨年6月、「イラク復興支援特措法」を成立させ、自衛隊がイラクに送られることになりました。現在、マスコミ等を通じて、病院や学校を修復する自衛隊員の姿が報じられ、自衛隊の活動が人道的なものであることが強調されています。しかし、イラク特措法では「人道復興支援活動」と並んで、「安全確保支援活動」という米軍等に対して武器の輸送や物資の提供を行うことも盛り込まれています。これらの活動は軍事上の「兵站」業務にあたり、純粋に軍事行動と呼びうる行為です。
このことが示すように、今回の自衛隊派兵とは、米軍を軍事的に支援し、日本を同盟国として軍事占領に参加させるための派兵なのは明らかです。
90年代以降、日本の自衛隊は海外に派兵され続けました。そこでは常に国際平和に貢献するために海外に行くのであり、戦闘行為に参加する訳ではないから憲法違反にはあたらないという論理が唱えられました。しかし、今回のイラク派兵では、日本は米国の同盟国としての応分の責任として自衛隊を送らなければならないという論理が前面に押し出されています。つまり、今回のイラク派兵を契機に、自衛隊を米軍とともに戦争に参加する軍隊へと変質させていくことが目論まれているのです。
自衛隊がイラクの地で行う活動はその危険性だけでなく、活動目的から言ってもこれまでの派兵とは質的に全く異っています。イラク戦争開始以降の米兵の死者は、今年4月が終わった時点で700人以上と言われていますが、その内600人近くが主な戦闘が終結したとされる5月1日以降の死者だとされています。しかし、今年3月の時点で、非戦闘中の死者の少なくとも約14%(23人)は、戦闘による極度の緊張から来るストレス等により自殺した者であるとされています。また、ブルガリア兵士の間では70人以上が任務拒否の意思表示を行ったとも伝えられています。これらの事実は、戦争という行為そのものが、時に加害者の立場に立つ兵士たちの精神を破壊するという、もう一つの事実を示しています。国家の軍隊に所属する兵士たちにも当然、基本的人権が保障されるべきです。政府自身も国会答弁で、「当該職務上の命令が憲法や国際人道法に反し無効である場合には、当該命令を受けた自衛隊員は、これに従う義務はない」と述べています(2003年10月10日・内閣衆質157第20号)。イラク戦争の違法性・不当性が明らかになりつつある中で、自衛官もイラク戦争反対の意思を表わしても、何ら不思議ではありません。また、国家や組織の不当な命令を拒否し、自分自身の判断で行動する権利が兵士たちから奪われるべきではありません。
 私は、今回、自衛隊官舎にビラをまいたという行為が住居侵入罪にあたるとして逮捕・起訴されました。しかし、私は、自衛隊員たちと同じ社会に住む一人の市民として、自衛隊員たちに戦争の実態とその背後にある米国や日本政府の政治的意図を知ってもらう必要があると考えます。戦場に行って生命の危険にさらされるのは自衛隊員たちです。政府の一方的な主張だけではなく、それに反対する多くの市民の声を彼ら・彼女らに届けるのは、言わば私たち市民の義務です。また、それは、草の根レベルでの市民相互の表現活動があって初めて民主的な社会が成立すると考えられるからでもあります。
 戦後、日本は侵略戦争を行ったことへの反省から、戦力を保持せず、交戦権を否認する日本国憲法を採択したとされています。このことから私は、日本国憲法の特色は、国家の基本原理を定める憲法そのものの内に現実の国家のあり方を反省し、批判する契機を内在させている点だと考えます。つまり、日本という社会は、内在的な自らへの批判原理を制度として保持しているはずの社会なのです。
 そして、私は、相互に自由に意見を表明する現実の市民の存在こそ、この批判的原理を具現化させている主体なのだと考えます。そして、重要なのは、こういった市民の活動は憲法に規定されているから正当な活動として保障されているのではなく、現実としての活発な市民の存在が理念としての憲法を逆に実体として具現化させているのだということです。すなわち、「民主制」下の憲法を憲法たらしめているは、現実の市民の存在なのです。自衛隊員も含めた市民相互が自由に意見を交換できる現実があって初めて、日本国憲法は「民主憲法」と呼びうるのです。
以上の考えにより、今回の私の行動には違法性がないと、私は考えます。


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<大洞俊之さん>

 一、はじめに

 最初に今回の不当弾圧を強行した警察・検察とそれを認可した裁判所に強く抗議しておきたいと思います。
 私は2名の仲間とともに、2月27日、警視庁公安二課の刑事に逮捕されました。全部で合計6ヶ所もの家宅捜索が同日に強行され、事件とは直接関係のないパソコン・PDA・携帯電話などが多数押収されました。これらの事件立証とは無関係の押収物の即時返還を強く求めます。
 以降、私達は2ヶ月以上の長期間に渡り、立川警察署と警視庁多摩分室の留置場に分散留置されたままになっています。最近、本当に接見禁止が必要なのかどうか疑わしい事件でも無制限に裁判所は許可を出しているようです。私達に対しても同様に接見禁止がつき、しかも起訴後に一度ははずれたのに、検察側が抗告して、再度接見禁止になるという有様でした。抗告理由が「黙秘しているから」というのも全く不当です。憲法、刑事訴訟法において黙秘権は被疑者・被告の当然の権利として認められており、私達は自己の権利防衛のためそれを行使したのにすぎません。接見禁止を要求した検察及び認めた裁判所を強く批判しておきたいと思います。
 逮捕後22日間の間、警察・検察による取調べは一日に朝、昼、晩合計6〜8時間にもなりました。詳しくは高田さんの方からあると思いますが、人権侵害と言える差別的な暴言も刑事から投げつけられています。私に対しても、大声を出す、机をたたいたり、けとばして脅す、机を押しやって足にぶつけるなどの不当な行為がありました。
 「職場をクビになるぞ」「その年で家庭も持てずお前は何をやっているんだ」「職場や実家に対しても家宅捜索は可能だ」「再逮捕もありうる」など屈服させるために様々な脅し、いやがらせが行われました。明らかに転向を強要するために精神的苦痛を与えようとするものでした。
 こうした長期間に渡る不当な取調べ後、私達は起訴されました。その後保釈請求も出されていますが、黙秘を続け人定にも応じていないことなどを理由に却下され、私達は今だ獄中にあります。くり返しになりますが、黙秘権は被疑者・被告の人権を守る当然の権利であります。私達は基地の町立川での反戦平和運動を担ってきたものであり、その継続のためにも立川に踏みとどまる必要があります。またこの不当弾圧の内容を、民衆に公開されている法廷の場において正面から批判し、闘い抜いていく必要があります。従って「逃亡の恐れ」などまったくありえません。また、すでに公判の開始されたこの時点で、どこに隠滅すべき証拠があると言うのでしょうか。もはや勾留を続ける何の理由もありません。私たちの即時釈放を要求していきたいと思います。

 二、立川での自衛官への呼びかけ

 立川基地は戦後米軍に接収され、基地北方の砂川では1950年代に滑走路の延長をめぐり有名な砂川闘争も起きました。その後、在日米軍基地再編計画に伴い、立川基地は返還されましたが、1972〜73年にかけて自衛隊が全市的反対運動を押し切って強行移駐、この反対運動の中で生まれたのが立川自衛隊監視テント村です。
 テント村の活動は、基地反対運動の他、労働運動、反天皇制運動など様々な分野に渡っています。日常的には基地の監視を中心に、講演集会やデモ、自衛官への呼びかけなどを行っています。
 戦争国家体制化、派兵国家化とも言える動きが強まる中で自衛官自身がそれについてどう考えるか、不当と思える命令に抗していけるかは大きな問題です。反戦運動の側からの自衛官への働きかけは極めて重要な課題と言えます。
 テント村では70年代〜80年代初めにかけて「積乱雲」という自衛官向けの新聞を発行、基地前で手渡したり、ダイレクトメールで送ったりする他、自衛隊官舎の各階新聞受けに配布するという方法で自衛官に渡してきました。集合ポストではなく、新聞受けに入れたのは確実に自衛官に読んでもらうようにするためです。
 また、90年代に入って自衛隊の海外派兵が始まってからは「海外派兵に反対する立川市民の会」という市民団体が、まったく同じ方法でニュースを自衛隊官舎に配布しています。それぞれ数年間にわたるこれら官舎のチラシ入れで、自衛官から反戦運動についての相談、問い合わせが入ることはありましたが、抗議や今回のような弾圧の動きは一切ありませんでした。

 三、表現の自由との関係

 さらに憲法で定められた表現の自由との関係を考えてみたいと思います。憲法とは何のためにあるのでしょうか。その成立過程を見れば国家権力の横暴を食い止めるための防波堤といえるでしょう。憲法は国家の自由を制限していくわけですから、人権に関する規定が多いのもうなずけるところです。
 さらに民主主義の原理とは何かを考える必要があります。一般には「多数決」と考えられているようですが、多数派が歴史的に見て常に正しかったとは言えないのが現実です。戦前の日本の軍国主義もナチス・ドイツも民衆の多数の支持があったからこそあれだけ大きな戦争を起こせたわけですが、それが今日では誤った政策と主義であったことは明らかです。つまり民主主義においては少数派の主義・主張も平等に伝えられる言論の自由の保障こそが何より大切であり、国家の脱線を食い止めていくような内容が憲法には必要だということです。
 イラク戦争やイラクへの自衛隊派兵といった問題では国論が二分されるほど意見が分かれました。こうした時にこそ、より一層言論の自由が保障されるように司法機関は慎重に対応しなければなりません。国家によるそうした言論の規制にこそ、目を光らせるべきなのです。
 今回のような集合住宅へのチラシ入れや、地域住宅への各個チラシ配布はあらゆる政党・労働団体・市民団体が行っています。そのチラシに書かれている主張内容は様々ですが、配布行動そのものが今回のような住居侵入で弾圧された例は過去にほとんどありません。わずかにオウム真理教に対する弾圧などの例があるのみです。いわば、チラシ入れそのものは社会的に広く認知された行為であると言えるし、憲法で定められた言論の自由を守る上でも欠かせない行動だと言えます。

 四、チラシ迷惑論について

 こうしたチラシに対して迷惑だ、という意見があります。そのチラシに反対の意見を持つ住民が受け取る可能性は充分あります。しかし、その程度で住民の日常生活の平穏は侵害されたとは言えないとおもいます。今回の事件について、「サンデー毎日」がチラシの配った自衛隊官舎を取材した記事によれば、「捨てればいいんだから」と大半の住民はチラシを気にしていなかったことがわかります。実際、地域の住宅のポストや新聞入れに入るチラシもそのほとんどは捨てられてしまうと思います。しかし、少数にせよ、その中から情報を選択して活用する住人もいます。自衛官にしても、あらゆる情報を知り、選択する権利があります。もし、今回のような弾圧が認められるなら、自衛官に対する情報の流れが大きく制限される可能性があります。それは、日本の民主主義そのもののレベルを下げ萎縮させる方向へとつながってしまいます。

 五、外界との通路として

 ポストや新聞受けには毎日様々なチラシが入り、外界と内をつなぐ通路の役割を果たしていると言えます。これは、今回の弾圧を批判した法学者の声明に出ている考え方ですが、私を調べた検察官は「通路というのは決め付けだ。ポストは郵便物を入れるためのものだ。」と反論していました。要するにチラシを入れるためのものではない、と言いたいようでした。しかし、その同じ検察官も「独身時代にアパートを借りた時、出前をたのむ先が解らなくて困った。そのうちお店のチラシも入るだろうと待っていたら、数日のうちにそば屋やピザ屋のチラシが入り一通りそろった。」と、自らが郵便物以外の情報がポストに入ることを期待していたことを述べています。つまり、社会一般で、ポストや新聞受けがこのような使われ方をすることは広く認められていると言えます。
 検察官は、この自らの体験に基づく実例を、ピザ屋やそば屋のチラシは「推定的承諾」がある、ということの証明に持ち出してきたようです。しかし住民の多くが賛同しているかどうか、どうやって判断するのでしょうか? ここで場合によっては管理者の個人的判断で特定のチラシが排除される可能性も出てきます。一般に「迷惑チラシ」の例では、アダルトビデオのチラシが挙げられますが、これとても少数であれ活用している住人もいるから配布されているわけです。「推定的承諾」が単に多数の人々に受け入れられているという意味であるなら、その有無を口実に一部のチラシ入れを排除していくことは、言論の自由な活動、民主主義そのものを排除していくことへとつながっていきます。
 さらに、同じ検察官は、「ピザ屋のチラシでも、一日百回入れられれば迷惑。敷地に入ったことは同じだから違法性はある。」と実際にはありえそうにもない例を挙げています。一日百回入るなど現実にはありえない話ですし、そば屋やピザ屋のチラシ入れが弾圧された例は過去にまったくありません。結局のところ、反戦運動など特定の運動体のチラシ入れのみが「住居侵入」で弾圧されているわけで、その政治的ねらいは明らかだろうと思います。

 六、本弾圧の政治的ねらい

 これも検察官の取調べ中の発言ですが、「今回の件は双方にとって大きい。全国の自衛隊官舎へのチラシ入れが増えているか、減っているか調べてみると面白いだろう。」と述べています。明らかに今回の弾圧が全国の反戦平和運動に対する予防弾圧としての効果を持ち、自衛隊官舎へのチラシ入れが減ることを期待した発言であると言えます。
 またこの弾圧について地域の住民が立川署へ電話して抗議し、他のチラシと反戦ビラの違いを聞いたところ「反戦ビラは士気が下がるとかいろいろな都合がある」と電話に出た警官は答えています。やはり政治的なねらいをもった弾圧であることを裏付ける発言です。
 さらに今回の事件に類似した弾圧も起きています。私たちの逮捕された直後の3月3日には社会保険庁の職員が国家公務員法違反の容疑で逮捕され、在宅のまま2日後にスピード起訴されています。昨年11月中の休日に、「赤旗」を地域に配布したことが、国家公務員法で禁じられている政治的活動にあたる、という理由でした。しかし、勤務時間を離れ、国家・地方公務員420万人が、あらゆる政治的活動を表明し、参加できないというのなら、これはもはや憲法で保障されている思想・信条の自由や表現の自由に対する侵害ということになってしまいます。この弾圧も法の一方的な曲解により行なわれた、イラク反戦運動に関わる特定の政治団体をねらったものであると言えます。
 派兵に逆の考え方を持つ保守的な団体・政党の活動を手伝ったり参加した公務員も多数いたことが推測されますが、そうした人々や団体に対する弾圧はまったく起きていません。イラク反戦・反派兵を訴えるもののみが弾圧された点では、私達の反戦ビラへの弾圧と極めて類似した事件であると言えます。

 七、イラク戦争をめぐる動き

 イラク戦争と自衛隊派兵の不当性については大西君の方からあると思いますので、簡単にここでは触れておきます。
 現在イラク国内の情勢は極めて不安定になっています。自衛隊の派兵は強行されましたが、6月末の政権移譲までに国内の治安が安定しそうな気配はありません。イラク国内での対日感情は決して悪いものではなかったのですが、ここへ来て日本人の人質事件も発生しました。自衛隊の派兵がなければ、この人質事件は起こらなかったことでしょう。人質となった人々はイラク国内でボランティア活動や、劣化ウラン弾の被害を問題にする運動に関わっている人々でした。こうした活動をにない、イラクの人々の深い信頼関係を築いていたことが彼らの命を救ったと言えます。今回の弾圧は、こうしたますます不安定化したイラクの情勢と強行された自衛隊派兵という状況に密接に関連しています。日本国内でこうした派兵に異議を唱える声を根こそぎにし、戦前同様の派兵国家を作り上げるためにかけられた弾圧だということができます。
 日本国内においても「対テロ」を口実に自衛隊の増強・部隊新設が行なわれたり、治安管理の強化が行なわれる動きがあります。共謀罪のような治安強化のための法新設の動きも、戦時型の司法へと転換していく動きの一つと言えます。
 国外に目を転じますが、すでにスペインはイラクへ派兵した軍隊の撤退を開始しました。前アスナール政権が総選挙で破れた原因は、列車爆破事件そのものではなく、この事件をETAの犯行と言い張り続けたためでした。ETAを犯人にすることで事件とイラク派兵を無関係のものにしようとしたことが、逆にスペインの民衆の信頼を失わせることになったのです。そもそもイラク派兵そのものに対して、圧倒的多数が反対していたのがスペインの国情でした。今回の撤退は遅ればせながら正しく民意を反映した結果とも言えます。
 今、日本にもこうした勇気ある撤退が求められています。米国は9・11事件以降、世界最強の圧倒的な軍事力をもって、アフガニスタン・イラクで大きな戦争を起こし、現地の政権を打ち倒してきました。タリバーン政権にせよ、フセイン政権にせよ、独裁政権であり、国内に多くの人権問題などを抱えた政権ではありましたが、これを外国の軍事力で打ち倒しても、真に安定した民主主義が打ち立てられなかったことは明らかです。大量の多国籍軍や、米軍の駐留によっても首都の治安すらまともに保てない両国の状況がそれを証明しています。こうした暴力に対する暴力、軍事力ですべてを解決しようとする流れを断ち切っていくことが今求められています。
 民主主義を支える根幹は言論の自由であり、私達はイラク戦争や自衛隊派兵の問題についてより積極的に議論を今行なっていく必要があります。まともに民衆に対して情報公開の開示を行なわず、ウソをつき通そうとしたスペインのアスナール政権は民衆にあいそをつかされました。私達もそもそもイラク戦争開戦の口実だったはずの大量破壊兵器が結局見つからなかったことを踏まえ、再度その戦争の意味と自衛隊派兵のもたらす害について考えていく必要があります。
 日本政府にしてみれば自衛官自身がこうした問題に疑問をもつことこそもっとも恐ろしいことです。今回の弾圧は、そうした動きを封殺するために反戦運動からの自衛官への働きかけを断つためにしくまれたことは明らかです。

 八、終わりに

 私達は住居侵入罪で起訴されましたが、そもそも本罪の保護法益は「事実上の住居の平穏」です。「侵入」が法益との関係で平穏を侵害するものでなければならないという客観的な制約があり、この点に照らしてみても、無罪は明らかです。
 長期の勾留により私達は経済的・精神的に多大な被害を受けました。この不当な逮捕・起訴・長期勾留により、最大の人権侵害を受けたのです。検察側はただちに起訴を取り下げ、裁判所は私たちを即時釈放すべきであることを最後に訴えて私からの意見陳述とします。


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<高田幸美さん>

 私は、立川の自衛隊の官舎に反戦を呼びかけるビラをポスティングしました。しかし、その行為の何が「犯罪」なのか全く理解できず、激しい憤りを感じております。はじめに申し上げておきたいことは、この「事件」は立川で30年以上に渡って反戦運動を続けてきた立川自衛隊監視テント村の正当な活動に対する、不当な刑事弾圧事件であり、それと同時に、全国あるいは全世界で上げられるイラク戦争反対の声を圧殺する為の、国家権力による攻撃に他ならないということです。私は、この弾圧に負けることなく反戦の声を上げ続けることを宣言すると共に、以下、この弾圧の不当性とその狙うところについて明らかにしたいと思います。

一,逮捕・起訴の不当性について
 勾留理由開示公判でも述べた通り、立川は基地の町です。戦前には旧陸軍第5連隊の基地があり、戦後1970年代前半までは米軍立川基地があり、1973年には市民の広範な反対の声をけちらして自衛隊が移駐を強行したという歴史を持っています。その中にあって市民は常に、基地、すなわち軍隊による暴力にさらされ、それに抵抗しながらも、兵士たちに呼びかけることを続けてきました。
 自衛隊官舎へのポスティングは、私たち立川自衛隊監視テント村を含め、多くの個人や団体が日常的に行ってきた表現活動のひとつです。私たちは、強烈な思想教育によって「自衛隊」という殻の中に閉じ込められがちな自衛官やその家族に、地域の声や反戦運動側の視点を届け、自衛官やその家族が人権や憲法の問題にぶつかった時に、自分自身で考え判断する材料が提供できればと願って、活動を続けてきました。
 今回の突然の刑事弾圧が、イラクへ自衛隊の先遣隊が出発した翌日のポスティングに対して真先に起こったということは決して偶然の出来事ではありません。寿司屋さんのチラシでもピザ屋さんのチラシでもなく私たちのビラが標的になったことは、国家が地域市民と自衛官の間での、異論や反対意見も含めた自由な議論に暴力的に介入したという事実を示しているにほかならないのです。

二、取調べの不当性について
 刑事による取調べは苛酷なものでした。朝、昼、夜と息をつく間もない取調べが連日6時間〜8時間にも渡って行われ、それがびっしり二十日間続きました。その内容は、被疑事実について調べるというよりは専ら、私をいたずらに疲労させ、支援者や弁護団への不信を煽り、転向を強要する為のものでした。その暴言を例にあげれば、「二重人格のしたたか女」「この寄生虫」「立川の浮浪児」といった人格を攻撃するもの、「運動をやめて立川から出ていけ」「運動を続けるなら、立川の街をフラフラ自転車で歩けなくしてやる」「立川テント村をつぶしてやる」など脅迫を含んだ転向要請、あるいは「他の仲間はみんな『俺はやってません』と言ったぞ」「おまえは鉄砲玉で、他のヤツらはお前に責任をなすりつけるつもりだ」といった支援者や仲間を誹ぼう中傷するものなど、許しがたいものばかりでした。これが、「正当な取調べ」だなんて、私は絶対に認めません。また、私の実家に対して刑事を名乗る者から「お宅の娘さんはヤクザの使い走りをさせられてる」といった虚偽の内容の電話があったことも付け加えておきます。

三、長期勾留・接見禁止の不当性について
 私たちは5月6日現在で60日を越える長期に渡り不当に勾留され、接見禁止という許し難い「処分」に処せられています。これらの「処分」の根拠は「逃亡の恐れ」と「証拠隠滅の恐れ」とのことだそうですが、これもはなはだ不当な判断です。まず、「逃亡の恐れ」についてですが、私たちは自衛隊立川基地に対しての働きかけを主な活動内容としている団体である以上、立川を離れて逃亡することは活動の放棄を意味するのであって、それはあり得ないことです。また、私個人の職場やその他の日常的な活動についても、立川近辺に生活基盤が確立している為、どこかに逃亡してしまっては生活が成り立ちません。
 次に「証拠隠滅の恐れ」についてですが、もう何ヶ月も前のビラ配布の「証拠」を、家宅捜索もとっくに終了し、取調べも終わった今になって、どうやって消せるというのでしょうか。消せる「証拠」とやらがどんなものなのか、具体的に示して欲しいものです。

四、家宅捜索の不当性について
 家宅捜索の際に押収されたものの多くが、ビラまきとは全く関係のないものでした。捜査員に「これはビラまきとは関係ないので持っていかないで下さい」と抗議しても「イラク戦争云々と書いてあるものは全部持っていく」「テント村の活動に関係あるものなら何でも持ってっていいんだ」などと強弁し、他団体の発行物や集会資料、更には住所録の入ったパソコンや、合宿のレジュメなどまで持ち去りました。これらの事実から、この捜索の真の目的が、テント村とその周辺の反戦運動の動向を調べ、介入し、最終的にはテント村を黙らせつぶすことにあるのだと思わざるを得ません。

五、基地の町で、自衛官への呼びかけや反戦運動を続けていくことの意義
 基地の町には、軍隊による有形無形の暴力に永年さらされてきたことによる問題が幾つもあります。立川の街もご多聞にもれずジェット機による市街地上空での危険な訓練や騒音の問題や、いわゆる「砂川闘争」以降、亡霊のように再浮上しては保留され続ける基地拡張問題などを抱えています。
 これらの問題は、アフガニスタンやイラクの地で起こっていることと無関係ではありません。自分達の足元で起こっている国家による人権侵害の数々を、遠くの空の下で「対テロ戦争」というかけ声のもとに殺されてゆく多くの人々と結ぶことで見えてくるのは、「軍隊は市民を守らない」という、私たち立川自衛隊監視テント村の基本的な認識にもなっている事実です。
 であればこそ、私たちは基地の町に暮らす者として、その「銃後」を支えることを拒否し、士官には部下に命令を下すことの重大さを認識させ、個々の自衛官や街ゆく人々には一緒に考えよう、戦争に反対しよう、と呼びかけることが責務であると考えられます。
 巷では、反戦運動の参加者に対する弾圧が急増し、マスコミは国家とは別の判断でイラクへ行き発言する人々へのバッシングを始めています。私達は、反戦運動に対して「黙れ」と言わんばかりの暴挙の数々を許すことなく、これからも基地の町で戦争反対・自衛隊のイラク派兵反対の声をあげ続けます。地裁八王子支部の裁判官の皆さんは、私たちの活動への国家による不当な介入に加担することを今すぐやめて、私たちを速やかに釈放し、私たちが「犯罪者ないことを認めるよう強く求めます。

http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-04.5.8tinnjyutu.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/



小泉改革と監視社会 岩波ブックレット斎藤 貴男 (著)(2002/07)より
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000092731/
批判精神を喪失したマスメディア(P29〜30)

 さまざまな世論誘導が<中略>進められいる。<中略>大手の新聞やテレビは、決して“監視カメラ”と呼ばない。警察が好んで発表する“防犯カメラ”の用語を、そのまま伝えてくるのがご愛嬌ではある。
 彼らには“神の目”を握った警察の行動をチェックできるだけの意志も実力も備わっていない。犯罪対策が旗印に掲げられているとはいえ、権力にこうも易々と利用されてしまうマスメディアとはいったい何のために存在しているのか。やがて顔認識技術と連動した監視カメラが街のあちこちに据えられるようになったら、こんな悪夢も容易に現実になってしまう。
 ―プロ野球の開幕戦。試合開始前に日の丸が掲揚され、君が代が斉唱された。警察の監視カメラは瞬時に、五万五〇〇〇人の観客を次の三通りに分類した。@起立して歌った善良な市民、A起立したが口は開けなかった要注意人物、B起立しなかった危険分子。
 ―二〇〇×年、アメリカがイラクへの総攻撃を開始した。有事法制に基づき、日本政府も自衛隊をペルシャ湾に派遣する。会社からの帰り道、酔ったAさんが、つい毒ついた。「戦争なんか始めやがて。ブッシュの馬鹿野郎、小泉の忠犬野郎」。翌日の夕刻、彼は人事部に呼ばれ、解雇を言い渡された。明確な理由は教えてもらえなかった。
 あり得ないとは言わせない。防衛庁が情報公開請求をしてきた人々の身元を洗い出し、個人情報リストを作成。庁内LANで閲覧していた事実が明らかになっている。



★関連

日の丸・君が代強制 広がる波紋(津京新聞)
http://www.asyura2.com/0403/senkyo3/msg/389.html
御投稿者 天地さん 日時 2004 年 5 月 05 日

内偵の道具としてのインターネット[No More Capitalism]
http://www.asyura2.com/0403/bd35/msg/364.html
これは平成版 国家総動員法!?「小泉戦時国家体制」総仕上げ「国民保護法案」の仰天内容[サンデー毎日]
http://www.asyura2.com/0403/senkyo3/msg/390.html

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