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(回答先: 阪神大震災 被災者自立支援金支給「対象外」の9人、差別不当と提訴/兵庫[毎日新聞] 投稿者 なるほど 日時 2005 年 1 月 15 日 21:32:48)
六千四百人余の命が奪われた阪神大震災から十七日で十年を迎える。いまだにその傷跡は残り、教訓もすべてが生かされているとは言い難い。その一つが住宅の再建問題だ。震災では二十五万棟近くの家屋が全半壊した。戦後日本が経験した最大の“住まいの破壊”。しかし国は「住宅は私有財産」として再建の直接支援を拒み、被災者は自力再建を余儀なくされた。兵庫県は今、住宅再建にポイントを絞った共済制度を創設しようとしている。失われた家屋の再建という課題に一石を投じる試みだ。 (大阪編集部・三田村泰和)
●住宅置き去り●
住宅ローン制度が一九五〇年に創設されて以来、初めて大都市を襲った阪神大震災で、国の支援策は住宅再建という難題を避けて通った。
震災後の九八年にできた「被災者生活再建支援法」は全壊や居住不能の世帯に上限百万円の支給を定め、初めて被災者へ現金が届く道を開いた。行政措置で阪神大震災の被災者も支給対象となり、一応の救済をみた。だが、使途は洗濯機などの物品購入費や移転費に限られ、住宅再建は置き去りだった。
二〇〇四年の改正で同法に「居住安定支援制度」が追加され、住宅の再建、補修に上限二百万円を支給することが決定した。ただ、対象は住宅の解体撤去や整地費、住宅ローンの利子まで。阪神大震災では公費でがれきが撤去されており、同制度は大震災の後追いとも指摘される。
神戸市の市民団体「『公的援助法』実現ネットワーク被災者支援センター」の中島絢子代表(64)は「居住安定支援制度は名ばかり。生活の土台である住居を元の地域に再建でき、被災者が再び尊厳を持って生きられるようにしてこそ居住安定だ」と批判する。
「自然災害から国民を守る国会議員の会」会長を務めた相沢英之・元衆院議員(85)も「政府は『個人財産の補償はしない』と昔ながらの理屈を唱えているが、税を負担しているのは国民にほかならない。頭を切り替えるべきだ」と語る。
●義援金前払い●
兵庫県は自然災害に対応する共済づくりに〇三年から取り組んできた。目指したのは県民が資金を持ち寄り、今後の災害時に被災者が住宅を再建しやすいように資金を給付するシステムだ。
「住宅再建には地震保険など住民の『自助』や居住安定支援制度など『公助』だけでは限界がある。すき間を埋める助け合いの『共助』が必要」と県復興推進課は意義付ける。
昨年十二月末に公表された共済の素案は、住宅調達費を一千二百万円と仮定し、住宅が全壊した加入者が再建・購入する場合、半額の六百万円を給付するとうたう。このほか▽全壊の補修に二百万円▽大規模半壊の補修に百万円▽半壊の補修に五十万円▽全半壊で再建せずは十万円−と五区分で制度設計した。掛け金は住宅一戸あたり月四百−五百円。加入は強制ではなく任意とする。
あらゆる自然災害を対象に誰でも加入でき、年齢や所得などの給付条件をはずすことで、シンプルに被災者にお金が届く制度を念頭に置いた。県は早ければ二月議会に条例案を提案、夏までに制度をスタートさせる。
自宅が全壊した西宮市の男性は「六百万円あるなしで、再建できるかどうかに雲泥の差が出る」と期待する。だが同時に、任意加入で巨額給付を要する大災害に持ちこたえられるだけの加入者を獲得できるかを危ぶむ。相沢氏も「事務費倒れになる」と厳しい。
同県は、震災の年に強制加入の共済創設を全国に呼びかけたが、賛同を得られなかった苦い過去を持つ。「兵庫モデルとして実績を示し、全国的制度につなげたい」と思い入れは強い。
「共済は義援金の前払いシステムだと考えてほしい」と訴えるのは、素案をまとめた県被災者住宅再建支援制度調査会座長の室崎益輝・消防研究所理事長(60)。「助け合いが阪神大震災の教訓。教訓は制度として残すことで生きる。共済が市民運動として広まってほしい」と兵庫モデルの行方を見守っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050115/mng_____kakushin000.shtml