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開門調査を求め海上デモをする有明海沿岸の漁業者=2002年3月
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/isahaya/2004/kikaku1/01.html
「最初のお約束ですから」。定例記者会見で金子知事はこう言ってほほ笑んだ。農相発言に対する見解を問われ、明確な評価は避けたが、表情には明らかに余裕が漂った。
二年前の二〇〇二年四月、農水省はノリ不作など有明海の環境変化と諫干事業の関係を探るため短期の開門調査を実施。五年ぶりで調整池に海水が入った。調査に強く反発した本県側に、〇六年度事業完成の約束を「担保」として差し出した上での開門だったからだ。
吉次邦夫諫早市長も「約束」を持ち出して農水省の姿勢を「当然のこと」と話した。無投票三選を果たし初登庁でもあったこの日、市長はにこやかだった。
苦渋の決断で短期開門を受け入れた以上、中、長期は容認しない―。こう言い続けた県と地元市町だが、この間も有明海の漁業者が工事差し止めを求め提訴。公害等調整委員会に対し原因裁定の申請も出され、海上デモもあった。事業見直しを求める側の動きは活発に続いた。
それだけに「方向が固まり安堵(あんど)している」(田中克史・北高森山町長)との感想は、推進派の本音に聞こえる。
この日、最終判断を示さなかった亀井農相だが、〇六年度完成なら中、長期調査は現実的に困難では、と記者団に問われると「調査による漁業被害も考えられ、慎重にならざるを得ない」と、調査より事業完成を優先させる立場をにじませた。
だが、本県側に配慮しようとする農水省の姿勢は、調査を求める側の不信感を、いやが上にも増幅させた。
開門調査を提言した農水省のノリ不作対策関係調査検討委員会(第三者委)の委員だった東幹夫・元長崎大教授(水域生態学)は「潮受け堤防ができて以降、有明海の環境は明らかに変わった。研究者がそれを裏付ける科学的データを次々に出したが、農水省はことごとく無視し、調査実施も退けようとしている。最初から結論を決めていたからだ」と厳しく批判する。
2004年4月28日長崎新聞掲載