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(回答先: 土地収用裁決取り消しを命令 圏央道訴訟、住民側が勝訴【朝日新聞】あきる野インターチェンジ(IC)付近。 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 4 月 22 日 11:24:52)
東京都あきる野市の居住地が首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の建設予定地に指定され、土地収用の対象となった住民らが、国土交通相による事業認定と、都収用委員会による収用裁決の取り消しを求めた行政訴訟の判決が22日、東京地裁であった。藤山雅行裁判長は「騒音被害や大気汚染が予想され、交通渋滞の緩和も具体的な裏付けを欠く。事業の必要性は低く、事業によって得られる公共の利益の判断の過程には、社会通念上見逃せない過誤欠落があり、違法だ」と述べ、事業認定を取り消した。収用裁決についても「事業認定の違法が承継される」として取り消した。
行政側が控訴することは確実で、直ちに工事が止まることも、原状回復が求められることもない。しかし判決は、公共事業の公益性や適法性について行政側に挙証責任を厳しく課し、事業を進める手続き面での欠陥も指摘した。公益性の程度と周辺住民に求められる「我慢」とのバランスを比較する司法審査の枠組みの中で、公益性そのものに疑問符をつけた今回の判決は、道路行政とその進め方に大きな課題を突きつけたといえる。
問題となったのは、あきる野インターチェンジ(IC)付近。判決はまず、収用の対象となった土地内の建物などに権利を持つ住民らについて、訴える資格(原告適格)があると認めた。
そのうえで、00年の事業認定の適否について検討。計画通りに建設された場合、周辺住民に受忍限度を超える騒音被害が出るほか、浮遊粒子状物質(SPM)により大気汚染が発生するおそれがあるのに、確度の高い調査をしていない点を指摘した。
行政側が主張する「都心部の交通渋滞を緩和する」という事業そのものの意義についても、「首都高速中央環状線と外環道さえ建設されるならば、圏央道までは必要がない」と断じ、「圏央道の建設にこだわることは、いたずらに人的物的投資を分散するもので、都心部の通過交通の解消という問題の解決を遅らせる」と言い切った。
さらに、隣接する日の出ICが約2キロしか離れていない場所にあることについて、「合理的な説明がない」と批判。代替案の検討もされておらず、事業認定は法が要求する要件を満たしていないと結論づけた。
事業認定と収用裁決は相まって道路建設の実現をめざす関係にあることから、事業認定が違法なら収用裁決も違法だと判断した。
最後に、計画の適否について事前に司法のチェックが受けられる制度が設けられていない現行法の不備についても言及。「法の支配を有効に機能させるためには、早期の司法判断を可能にする争訟手段を新設する必要がある」と付言した。
この土地収用をめぐっては、昨年10月に同じ藤山裁判長が「終(つい)のすみかとして居住する者の利益は重要だ」として、本裁判の判決が出るまでの間、都知事の代執行を停止する決定を出した。決定で裁判長は事業認定の適法性の主張・立証をしようとしない都側の姿勢を批判。「このままでは、住民側の勝訴に終わる」と予告していた。しかし、この決定は昨年12月に東京高裁で覆り、最高裁も今年3月に追認して決着している。
こうした経緯もあり、IC建設予定地では強制執行が迫り、住民側の退去が相次いで、残るのは1軒のみ。この1軒も来月には自主的な明け渡しを約束している。
判決を受けて、住民側は改めて代執行の停止を求めた。
◇
〈圏央道〉 都心から半径40〜60キロに計画されている総延長約300キロの環状道路。横浜市から千葉県木更津市まで1都4県にまたがり、東名高速や中央道、東北道などの放射状の道路と接続する。外環道、首都高速中央環状線と合わせて「3環状」と呼ばれ、交通渋滞の緩和を目指す。
開通したのは東京・日の出インターチェンジ(IC)―埼玉・鶴ケ島ジャンクション(JCT)の28.5キロと、茨城の常磐道接続部分。07年度に横浜から東北道までの区間などの開通を目指す。今回の取り消しの対象になったのは、東京のあきる野市と青梅市の計3.35キロ。
[2004/04/22 11:08]