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南の持続可能都市(2)交通システムと土地利用【JANJAN】
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投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 3 月 24 日 20:07:34:SoCnfA7pPD5s2
 

(回答先: 南の持続可能都市(1)サスティナブルな都市【JANJAN】 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 3 月 21 日 17:51:07)















[駅から急行バスへの乗り込みの仕組み
=ブラジル・クリティバ市提供]


 都市はさまざまな要素が複雑にからみ合う生きたシステムなので、要素どうしの相互関連をしっかりと捉えないと効果的な都市経営のプランはつくれない。クリティバ市政がうまくいったのは、マスタープランで要素どうしの関連の「ツボ」をうまく押さえた政策の柱を立てたからだ。

 クリティバの都市政策のもっとも重要な「ツボ」になっているのは、交通政策と土地利用計画の組み合わせだ。クリティバ市は、予想される人口増加によって都市域が無秩序に広がるのを防ぐために都市計画の見直しを行い、1966年のマスター・プランでは、そのための効果的な政策の要は交通政策と土地利用計画の組み合わせにあることを強調した。

 このマスター・プランを実行するための機関としてクリティバ都市計画研究機構(IPPUC)がつくられ、この機関の所長だった33歳のレルネルさんが1971年に市長に任命される。そして、レルネル市長は、マスター・プランを着実に具体化していく。

 V.パラスラム(Vidisha Parasram)さんの「クリティバの効果的な都市計画のための効率的な交通システム」("Efficient transportation for successful urban planning in Curitiba")に書かれているように、マスター・プランでは、それまでの放射状の道路に沿った都市構造ではなく、5本の幹線道路に沿った線状の都市構造を選び、都市機能の幹線道路沿いの立地を促す戦略をとる。

 この考え方を具体化するために、74年からクリティバは新たな交通システムを導入する。幹線道路の中央は急行バス専用のレーンとし、その左右を両方向の一般の自動車道路にした。この急行バスとローカルなバスを組み合わせたバス交通ネットワークをつくり、各地点間を円滑に移動できるようにした。

 そして、急行バスが走る幹線道路の駅に近い地区は高層ビルなど高密度の土地利用が可能で、駅から離れるとともに、密度を低くしていく「ゾーニング」の法律をつくった。この政策は、人口が増えるとともに、都市域がこの幹線道路沿いに伸びていくように誘導する。その結果、公共交通機関を利用しにくい地区に大きな住宅地ができるのを防ぎ、乗用車の利用を抑えることができた。

 このバス交通ネットワークをうまく機能するものにしていくために、さまざまな工夫が重ねられ、それを通じてクリティバらしいデザインが確立されていった。

 そのひとつは料金体系で、試行錯誤を通じて、1980年には通勤の際の距離や乗換回数に関係なく、バス・ネットワークを使うかぎり同額という単一料金が採用された。

 また、92年には、急行バスに関節部分のある長いバス(articulated bus)と円筒形の駅(tube station)が導入された。プラットフォームがバスの床と同じ高さなので、乗り降りがしやすく、駅に入る時に料金を払う仕組みなので、バスに乗り込むのに時間がかからず、通勤時にも定刻どおりの運行ができる。

 こうした使いやすいバス・ネットワークができたために、クリティバでは人口の4分3近くの人がバス通勤をしているという。公的な会社が枠組みを提供、バスの運行は民営会社が担当している。経営は黒字になっている。

 レルネル市長をはじめとするクリティバの都市プランナーたちの優れた洞察力は、モーダリゼーションの進行を不可避なことと見なさず、自動車利用の必要が低い都市構造をつくることができるという信念を持ったこと、また、100万都市には地下鉄が必要であるという通念を疑い、建設費は2ケタ安く、効率はほんとど変わらない新バス交通システムを創出できると確信したことによく表れている。

(編集部)

南の持続可能都市(2)交通システムと土地利用

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