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【ロンドン=佐藤大和】欧州銀の収益力の回復が鮮明になってきた。業績低迷が顕著だったドイツの銀行の経費率が五年ぶりに七〇%を下回るなど、リストラ効果で主要国の銀行は軒並み経費率が低下した。攻めの戦略に乗り出す余力が生じるとの見通しから、停滞していた再編観測も台頭しつつある。ただ米銀に比べ収益力はなお見劣りし、一段の経費削減を優先すべきだとの慎重な見方も残っている。
大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが二〇〇三年度決算をもとに各国ごとの銀行の経費率(総収入に占める経費の割合)を集計したところ、ドイツは六九%と、前年度に比べ六ポイント低下した。九八年度以来の低水準で、ピークだった二〇〇一年度に比べると一〇ポイント以上下がった。
不良債権問題が一巡したうえ、人員削減や給与抑制、店舗の統廃合などのリストラ効果が出てきたのが背景。オランダ(六八%)、フランス(六七%)、英国(六四%)など、主要国すべてで経費率が改善した。今年一―三月期決算では独ヒポ・フェラインス(HVB)とコメルツが黒字に転換するなど、欧州有力銀はそろって大幅増益となった。
業績回復を踏まえ、市場ではリストラが一段落した大手銀が「業容の反転拡大のため新たな再編に動き出す」(英フィッチの銀行アナリスト、ロークリフ氏)との見方が広がっている。ドイツではシュレーダー首相自らが、独銀の失地回復のための銀行再編の必要性を強調。ドイツ銀行―ポストバンク(郵貯)、HVB―コメルツの組み合わせがくすぶっている。
英国では経営再建中のアビー・ナショナルについて、アナリストが「買収の標的になる」とみて軒並み買い推奨銘柄に挙げている。
再編観測が強まっているのは、米国でバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースによる巨大買収が相次いでいるため。情報技術(IT)バブルが崩壊して以降、欧州銀の目立った再編は仏クレディ・アグリコルとクレディ・リヨネ、英ハリファクスとスコットランド銀行の二件のみ。ユーロ導入で予想された国境を超えたM&A(合併・買収)は実現していない。
ただ米銀の経費率は五九%で、欧州銀との収益力格差はまだ大きい。ムーディーズの銀行アナリスト、セオドア氏は「単独での経費削減をまだ優先すべきで、政治家や市場におもねるような再編はむしろ格下げ材料になりかねない」と警告している。