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「銀行に財産を預けるかって? そんな危ないことはできないわ」。バグダッド中心部で二軒の電気製品店を経営するサニア・アルアムバキさん(45)はこう言い切る。
混乱が続くイラクでは、一時期、銀行が略奪の対象となった。顧客の預金データが消失し、戦禍で預金通帳をなくしたため、全財産を失った人も少なくない。
戦後一年以上たち、預金の払い戻しが進んでいるが、銀行不信はぬぐえない。サニアさんは「タンス預金の方が安心」と、生活に必要な最低限の費用を現金で保有。しかもイラク通貨ディナールと米ドルに分けて持っている。
というのも自国通貨への根強い不信があるからだ。戦時中、ディナールは暴落し、サダム・フセイン元大統領の肖像画の入った「サダム紙幣」は紙くず同然となった。サニアさんは資産のほとんどを金など宝飾品に換えて有事に備えている。
サルマン・ダウードさん(58)は戦後、資産を土地に投資した。復興需要の見込める家を建てて販売する目的だ。「お金よりモノの方が資産価値が安定している」とサルマンさん。転売が容易な中古車や家具に投資するイラク人も多い。
イラクではもともとお金でなくモノの形で資産を保有するのが一般的。中古品市場やオークション市場が発達し、換金性も高い。長引くイラク情勢の混乱で、モノに換えて財産を守る傾向が一段と強まっている。
(バーレーン=岐部秀光)
【図・写真】中心部の市場では庶民が参加する中古品の取引が盛んだ