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(回答先: バグダッド――銀行・通貨不信で、金や不動産で保有(マネー悠覧)2004/06/27, 投稿者 hou 日時 2004 年 6 月 27 日 10:36:46)
闇組織の買い占めも背景に
歯止めがかからない治安の悪化をよそにイラクの通貨ディナールの対ドル相場が堅調に推移している。首都バグダッドの両替商では現在一ドル=一四六〇ディナール程度で取引され、昨年十月の水準をも上回る。そこには世界二位の原油埋蔵量を握る同国の将来に向けられる大きな期待が映っている。
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二〇〇三年に前年比で三〇%落ち込んだイラクの国内総生産(GDP)は今年、前年比六〇%増える見通しだ。二〇〇三年に三六%だったインフレ率も三〇%程度に低下する見込み。電力供給が戦前のレベルを回復するなどインフラ復旧は着実に前進している。
フセイン政権下では一ドル=〇・三一一ディナールが公定レートとされたが、実際には一ドル=二〇〇〇―三〇〇〇ディナールが相場だった。敵国通貨ドルの使用は禁じられていたはずだが、政権末期には国営ホテルでもドルによる支払いを要求された。今は廃券となったフセイン元大統領の肖像をあしらった「サダム紙幣」の価値は紙切れに近づいていた。
戦後のイラクでは対照的に通貨の安定が目立つ。背景にあるのが将来の相場上昇を見込んだ中東の組織によるディナールの買い占め・持ち出しの疑いだ。
今年初めには、レバノン当局が空港で大量のイラク・ディナールを不法に持ち込もうとした男を拘束。エジプトでもディナールの密輸が発覚した。
戦後、連合国暫定当局(CPA)による暫定統治下にあるイラクには、通貨持ち出しを取り締まる法はなく、厳密には違法行為とは言えない。だが、多額の紙幣流出にイラク中央銀行や統治評議会関係者が関与している疑いもある。
相次ぐ自爆テロに加え外国人の誘拐殺人事件続発で、復興の先行きには暗雲が漂う。にもかかわらず、中東の闇組織がイラクを「ブル(上げ相場)」と見るのは、日本などの資金を含む復興需要への期待が横たわるからだ。
その復興資金も、一皮めくれば一筋縄ではいかない思惑にからめとられる構図がちらつく。
五月下旬、カタールの首都ドーハでイラク復興支援国会議が開かれた。アラベスク模様がまぶしいリゾート・ホテルでの会議は日本が議長役。国連と世界銀行が設置した二つの基金(合計十億ドル)で、四億九千万ドルを拠出した日本の支援の突出ぶりが目立った。
昨年十月のスペインでの復興支援国会議で最大の百八十六億ドルの支援を表明した米国も基金への拠出はわずか一千万ドル。「顔が見えにくい」国際機関を通じての支援は、復興利権獲得につながりにくいようだ。
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ドーハ会議でこんな一幕もあった。ホスト国のカタールが支援の署名をしないとし、周囲があわてた。カタール代表は各国メディアを呼び、国連旗を前に署名する姿を撮影させたかったのだ。カタールの拠出金も一千万ドルだが、中心的な支援国との立場を印象づけるしたたかな計算がある。
これに対して日本の支援は見えにくい。日本は国連・世銀基金に拠出する四億九千万ドルとは別に十億ドルの無償援助と三十五億ドルの有償援助を実施するが、国際協力機構などは職員を現地に派遣できない。実際に有効に使われるかはひとえに治安回復にかかっている。
(ドーハで、岐部秀光)