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こんにちは、山崎久隆@たんぽぽ舎/福島原発市民事故調です。
[aml 40663]の続きの考察の2号を送ります。
【8月11日1時29分記】
いつ指摘をしたのかが大問題?
そろそろ責任のなすりあいとも思われる事態が始まったようです。今回破断し
た配管の検査をめぐり、関電は11月に検査漏れになっていることを下請けから
指摘されたと説明しているようですが、下請け企業の「日本アーム」総務部の担
当者は「今回の破損個所を含む未点検個所を昨年4月、関電に指摘した」と説明
しているようです。
共同通信の取材に日本アーム側は「過去の点検データなどに基づいて未点検場所
はそれぞれが把握しており、現場担当者レベルでは、破損場所が未点検であるこ
とは分かっていたはずだ」と話しています。
この「6ヶ月の空白」にはどのような意味があるのでしょうか。
それは、昨年の美浜原発3号機の定期検査状況を見れば歴然とします。
昨年つまり「第20回定期検査」は2003年5月8日から2ヶ月の予定で始ま
りました。そして予定通り6月16日に原子炉を再起動、7月15日に定期検査
終了となっています。
もし4月の段階で検査漏れを指摘されていたことを関電が認めれば、この定期検
査中に検査をしなかったことは「重大な過失」となります。しかし関電がいうよ
うに11月だったとしたら、そのときに指摘を受けて今回の定期検査中に検査を
することにしたという説明に合理性があるということになります。
日本アームがわざわざ関電を窮地に落とすようなウソを言わなければならない理
由は考えられませんから、関電がごまかそうとしているのだろうと感じます。た
だ、問題は日本アームの主張を認めても、現場担当者に責任を押しつけてしまう
危険性が相当高いだろうということです。願わくは、もう犠牲者は出さないでく
ださい。
また、この原発を作った会社であり、定期検査の元請け企業でもある三菱重工の
話も伝わっています。
三菱重工本社広報グループは89年から96年まで美浜3号機の2次冷却水系配
管の点検台帳の作成を受注していたが、当時の記録をみると破断箇所が台帳の中
の点検対象に掲載されていなかったというのです。「台帳は関西電力と技術的な
協議をしながら作成した。なぜ点検の対象から漏れたのか調べている」というの
が公式のコメント。
ただし、台帳に載っていなかったのに日本アームが検査が必要と関電に伝えてい
たということになり、その間のいきさつについてはまだ不透明です。
さて、この事故で各電力会社や立地自治体の動きや声が伝わってきていますが、
一番情けないのが東電の柏崎刈羽原発の千野所長。「美浜原発の原因追究の結果
を踏まえて、必要なら追加点検をしていく。点検はやっており、美浜のようなこ
とは起こらないと思っている」と述べたというのです。
起こらないように徹底した検査を行うというのだったらわかりますが、工学的な
意味合いで「起こらないと思って」しまえば、もうおしまいです。
起きるかもしれないから検査をし、安全を確保するのでしょう。必要なら追加点
検などと、最低限のこともしようとは思っていないらしい姿勢にぞっとします。
中部電力は検査を行うといったようですが、東電はしないとしたら、過去の経験
が何も生きていないことになります。
なお、「美浜のようなことは起こらない」という言葉を「サリー原発のようなこ
とは起こらない」と主語を変えると、1998年当時の通産省の調査報告と同じ
になります。当時通産省は、86年のサリー原発二次冷却系ギロチン破断につい
て調査を行い、日本の原発のレベルならばこのような事故は起こりえないとした
報告書を出しました。
この責任はいったい誰がとるのでしょうか。それともまさか時効だというのでは
ないでしょうね。
すなわち東電の姿勢は、事故を繰り返すことを準備しているとしか言いようのな
いレベルだということです。
最後に原子力委員会の反応です。
説明を行ったのは原子力安全・保安院。
近藤駿介委員長「事故は誠に残念。徹底した原因究明をしてほしい」
「2次冷却系は放射能を扱わないので軽く見られていた。海外の原発などでの
類似事例がどうして生かされなかったのか」「これほどの減肉が予測されていな
かったのは信じ難い」このあたり発言委員の名前は報道されていません。しかし
政府報告書に「日本では起こりえない」と書いていたことくらいは知っていな
かったのか。どうしてこうもまた他人事のように発言できるのかと思います。
木元教子委員「この事故を『原子力事故の評価としては軽微』と言っていいの
か。そういう神経は、社会的な安全と相いれない」と保安院に言ったそうですが、
そのくら言うのは当然でしょう。
【8月11日12時56分記】
大規模電源に頼ることがリスクを増やす
危機管理とやかましく言う割りには、本当の意味の「危機」を回避しようという
努力はごくささやかなものです。全く無いとは言いませんが、「危機を回避する
ために」というには効果がほとんど感じられないのです。
結局のところ、国策だとか国家主義的な「滅私奉公」のくびきに市民をつなぐた
めの口実としてしか、危機が語られていないことがよくわかります。
「停電が怖いから原発に反対するな」そんなでたらめな論理はまともに考えれば
まかりとおるわけがありません。「公益のため」ならば、まず原発を直ちに止め
るべきなのです。
一基当たりの出力が大きい発電所が、夏場のピークに同一理由で一斉に止まる。
これまでさんざん市民団体が指摘をしてきた、供給に与える最も大きなリスクが
現実になるかもしれない事態になってきました。
昨年の東電事故隠しに伴う原発一斉停止でも、この危険性を指摘し、大規模発電
所に依存する体制の危うさを繰り返し指摘したことがこんなにも早く現実のもの
になりました。
しかも今回は、PWRという固有の設計上の問題でもなく、原発特有の設備でも
なく、一般火力も持つものであることから、場合によっては火力原子力全体に及
ぶ可能性が指摘されています。
すでに経産大臣は「まず安全性が第一」と、同型炉を持つ北海道、関西、四国、
九州の各電力会社に2次冷却系配管の点検指示を出しました。これ自体は当然の
ことですが、停電が怖くて停止点検に踏み切れないまま、次の事故が起きたらど
うするつもりか。というくらいの気概で臨む必要があります。
大きな発電所は脆弱です。こういった事態をあらかじめ想定した上でこれからは
電力供給を考えていかなければなりません。基幹電源を大規模な電源に頼ること
が、いかに危険であり、不安定であり、無謀なことか。
つまり、火力も含めて大型電源の時代ではないということなのです。
一度大規模停電を経験しなければ、この国の人たちはわからないのでしょうか。
美浜事故を受けて、各電力会社がいっせいに「自分のところは安全」と言い始め
ました。たしかに直前に配管の同じ場所をの肉厚を調べていたのであればそうい
えるかもしれないが、そんなに簡単なものではないだろうと思います。
それにしても、各電力が出してきたデータの一部をみると、ぞっとするほど速い
スピードで腐食が進み、急激に肉厚を失っていく様子が見て取れることがわかっ
てきます。
例えば九州電力玄海原発2号機は2000年検査の時点でもともと12ミリあっ
た厚みが5・9ミリに減少しており、あと3年しかもたないと判断してステンレ
スに交換したというのです。玄海原発2号機の運転開始時期は81年3月ですか
ら、20年でほとんど半分になっていたことになります。
美浜3号の必要最小肉厚は4.7ミリだとされていますから、これにせまる勢い
だったわけです。
他の5基については「必要な肉厚の約1・5−8倍の厚さが保たれ、
21−852年は持つ」などと説明をしているようですが、具体的な数値が示さ
れていません。だいたい「8倍」「852年」というのが何なのか理解できませ
ん。同じ場所の話だとすると、必要最小肉厚4.7ミリの「8倍」では37.6
ミリにもなってしまいます。何の数値の話なのか、記事にするときにはわかるよ
うに書いてもらわないと、こんなものかと読んでいる側が思いこんだら困るでは
ないですか。もとより、このような数値に何の意味もありません。
800トンの冷却材は二次系の7割以上
冷却材喪失事故として最大級の喪失となった美浜事故ですが、800トンという
のは二次系の冷却材全体の7割以上になるとのことです。
美浜原発3号機には3系統の二次系冷却系がありますが、3系統は独立している
わけではなく、タービンでいっしょになりますので、その一系統が破断をし、破
断部分を隔離できなければそこから全体の冷却材が抜けてしまいます。
もちろん、完全に抜けると極めて危険ですから、補助の給水ポンプを起動して二
次冷却材を補充しますので、対策がないわけではありません。しかしこの補助シ
ステムは通常使用するものではないので、信頼性に大きな問題があります。
過去にもECCSを起動したら十分冷却材を注入することができなかった例が、
この美浜原発の2号機で起きています。(92年の美浜原発2号機細管破断事
故)補助給水システムの停止という、次の段階に進んでいたとしたら、原子炉
の安全性にとって極めて重大な事態となっていたことでしょう。補助給水ポン
プの停止というのはスリーマイル島原発事故とほとんど同じストーリーなので
すから。
04/8/13(Fri) 11:32pm SDI00872@nifty.com Yamasaki Hisataka
http://www1.jca.apc.org/aml/200408/40696.html