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「世界石油戦争」を読んで
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投稿者 兼好法師 日時 2004 年 5 月 03 日 07:32:48:acU4a.MboFiqc
 

阿修羅の掲示板で知った広瀬隆の著書「世界石油戦争」を読みました。
印象に残った要旨を以下にまとめました。
皆さん、私の認識に間違いがないか、コメント・御意見を頂けないでしょうか。

---------------- ● 生活に欠かせない石油

石油はあらゆる分野で役に立っている。
映画フィルム、自動車のガソリンとディーゼル燃料と部品、
道路のアスファルト、電線、電話線、パソコン、携帯電話、
エレクトロニクス製品、テレビ・掃除機などの家庭電気製品、
染料・塗料、建材、家具、医薬品・義歯、
重油燃料、ストーブの灯油、衣類まで、
石油なしにはこれらの何も製造できない。
身近には、サンダル、傘、バケツから電卓、潤滑油、ライター、
タッパーやボトルなどの台所用品、包装材、スキー・スケート用品、防寒具、
メガネのレンズ、ボールペンやファイル、フォルダーなどの文房具に至るまで、
住まいのすみずみに入り込んで原料として使われている石油。

石油の量をバレルの単位で表すが、1バレルは159リットル。
1.8リットルの一升瓶では88本になる。

日本の原油輸入量は、16億バレルで、一升瓶を1400本並べた量。
赤子から高齢者まで国民一人当たり、平均1000本以上毎年消費している。
毎日1人当たり一升瓶3本の石油を使っているという驚くべき数字。
これを夜寝るまでに使い切るとは到底信じられないが、
われわれはそうした生活を送っているのだ。
全世界から非難されているアメリカ人は、
1人平均一升瓶6本、日本人のちょうど2倍を毎日使っている。
アメリカの原油輸入量は、34億バレルで、
全世界の石油の4分の1をアメリカが消費している。

石油の大部分は中東に埋蔵されている。

---------------- ● イギリスとアメリカの支配の系図

石油は富であり、これを手にした者が権力を持ち支配権をにぎる。
この支配権を持つ国は、代々アメリカとイギリス。
石油会社、運輸会社、銀行と政府の要人をよく見ると、
代々つながった系図になり、これが富豪や支配階級となっている。

産業革命のワットに始まり、
アルキメデスの法則と蒸気機関の発明により、石油を運ぶタンカーが生まれ、
銀行が石油の売買で使われる。

2つの世界大戦と植民地支配で、支配される側は、常に搾取される側だった。
第二次大戦後、中東の各地は植民地支配から独立をするが、
独立といっても、事実上、力関係は変わっていない。

---------------- ● 赤線協定

もともと中東のアラブは、商業を中心とした部族社会で、
国家という概念に乏しく、国とその国境がもともとあいまいだった。
しかし、油田が国境の中にあるか外にあるかは石油の採掘権にかかわるので、
欧米諸国の利権配分の都合で、国と国境を作る必要があった。
第二次世界大戦後、欧米諸国が地図に赤線で国境を引き、
その線で区切りで、国と国家が作られた。
そこで、石油の利権に関して密約が交わされた。これを赤線協定と呼ぶ。
この密約は後に、アメリカによって破られる。

中東諸国の立場で国境が引かれておらず、欧米の都合で国が作られたので、
中東諸国は、ひとつの国の中に異なる部族が混在し、混乱のもとになっている。
中東諸国の独立年をみると分かるが、最近まで、
石油の利権争いで、一部地域で国境の引き直しや新国家建国が行われている。

---------------- ● 軍需産業

欧米諸国は、中東諸国から石油を買うだけでは、富が中東に集中してしまうから、
その富を回収する手段を考えた。
その手段とは、戦争に使う武器を買ってもらうことだった。

中東諸国を不安定にし、戦争が絶えないようにし、
武器が必要となるように仕向け、武器を買わせる。
これによって、中東諸国に流れた富を欧米が取り戻す。
この流れが、現在まで脈々と続いている。

---------------- ● イスラエルとパレスチナ

イスラム圏の中東のど真ん中に、イスラエルという国が、
第二次世界大戦後に国連決議を経て建国された。
イスラエルは、アラブ諸国との約束を破り続けて領土を拡大した。
もともと千年以上住んでいたパレスチナ人は、家を追われ、
住む国がないという状態になった。

イスラエルのやり方が、あまりにも酷かったので、
パレスチナ人の中に、武装してイスラエルに抵抗する人々が現れた。
しかし、高度な武器をアメリカから買っているイスラエルにかなうすべもなく、
劣った武器で抵抗するには、自爆テロぐらいしかできない。
命を捨てて攻撃しなければならないということは、
それだけ、パレスチナ人が追いつめられ、悲惨な生活を強いられていることを意味する。
この抵抗運動はテロではなく、自衛・正当防衛のゲリラ戦である。

イスラエルは、ユダヤ人の国家だが、アメリカ政府や富を握る富豪にユダヤ人が多数居る。
最近の戦争まで、戦争を計画して実行に移した張本人は、ユダヤ人であることが多い。
これに対し、パレスチナ人には国家がない。
パレスチナ人にもと住んでいた場所に戻り、パレスチナ国家を樹立することが、
国連決議で議決されているが、イスラエルはこれをことごとく無視し、
アメリカは、これを容認してきた。

イスラエル人のパレスチナ人に対する扱いは、
パレスチナ人を人ではなく、虫けらのように扱っている。
見るに見かねた国際世論にしたがって、イスラエルの行動をいさめる国連決議が成されるが、
アメリカが拒否権を発動して、これらをことごとくつぶしている。

---------------- ● アメリカ・イギリスの支配の構図

(A)
1 アメリカかイギリスが中東イスラム国家に油田を発掘する。
2 アメリカとイギリスが石油利権を獲得するために首長と採掘権協定を結ぶ。
3 アメリカとイギリスが石油利権を安定して確保するために、
王政か首長制のような独裁体制を経済的・軍事的に支援する。
4 石油収入によって国が豊かになるため、国民の不満は小さくなる。
首長が国民を顧みない場合でも、
外国に対して対等な外交関係と利益の分配を求める民衆、主に
労働者貧困層に対してアメリカとイギリスが弾圧を加えるため、
容易に首長を倒すクーデターが起こらない。
(B)
1 石油が発見されない国では、
利権の恩恵を受けない大多数の貧困層が
油田と製油所、貿易港などの労働者として出稼ぎに出る。
2 異なる国と地方から集まった労働現場の内部で、
アメリカとイギリスが利益を搾取する現実に直面し、
西欧への共通の反発と怒りが生まれ、
19世紀に胎動したアラブ民族主義の強い民族意識が芽生える。
3 民衆の支持を得て、共和制や民主制度を求めて、
武力で決起する人間が登場する。
石油が出ない貧困国では、アメリカとイギリスと対抗しても、
ほとんど失うものがないので、
贅沢三昧の生活を送る首長を倒すクーデターや革命が起こる。

---------------- ● 片寄った報道

先進国のマスコミに流れる情報は、基本的にアメリカ・イギリスの支配階級の
学者やジャーナリストによって行われ、欧米の立場を代弁していて、
アラブ諸国の立場を代弁していない。
イスラム原理主義や、イスラム過激派のテロについて、悪だとされているが、
アラブのイスラム諸国にとって見れば、
イスラム教の教えに厳格に従うイスラム原理主義は良いことで、
イスラム過激派のテロは、搾取と弾圧に耐え兼ねたゲリラ抵抗活動であり、
当然起こるべくして起こった事象である。
このゲリラ活動を力で押さえ込もうとすれば、さらなる弾圧を加えることになり、
永遠にゲリラ活動は終わらない。
イスラムのアラブ諸国の立場に立った情報に接し、
搾取と弾圧によって生じた貧困をなくして不満をなくすことが問題の解決に通じる。

---------------- ● イスラム金融のメカニズム

イスラム金融の最大の特徴は、
コーランで金貸しにおける利息を禁止しているところにある。
コーランが禁止する利息をリバーといい、
リバーは高利貸しだけでなく、普通の利息も対象になる。
利息がなくて銀行が成り立つのか、と驚く必要はない。
21世紀に入った日本では、ここ数年以上にわたって、
実質的に銀行と郵便局の預貯金を利息なしで金融を成り立たせている。
したがって宗教を切り離して無利子の制度を見れば、
イスラム法は、日本の産業界と経済学が学ぶべき商業ルールである。

ムハンマドの目的は、アラブ人社会の活性化にあった。
活性化するためには、金という交換手段を有効に流通させればよい。
それには、誰もが後生大事にかかえている金を社会に吐き出させなければならない。
そこでこの聡明な人物は考えた。
人間は必ず知恵を使い、よい道具を生み出していくので、
いかなる不況があろうと、闇夜の後には必ずまばゆい光が差し込む朝が訪れ、
全体的には物価が上昇していくインフレの原則の中に生きている。
インフレ社会で金を溜め込むなら、金の価値はみるみる目減りして損害を受ける。
それでも人間が金を溜め込むのは、利息があるからだ。
利子なしの金をかかえていれば損をするので、
誰もが金を投資する状態に追い込まれる。かくして社会が活性化される、と。
しかし、悪事への投資は、社会に害毒をまき散らすので、
善良な行為にのみ投資を誘導しなければならない。

ムハンマドが打ち出したイスラムの掟は、
まず第一に、実際の取引額を超える支払を「予め決める」ことを禁じた。
したがって貸手は、いかなる利息も課すことができない。
第二に、貸手は、金貸しによって生まれる事業から生じる「利益と損失」を
いづれも分担しなければならない、とした。
イスラム世界における貸手は、西欧で債権者と呼ばれる上位の存在でなく、
利益とリスクを分け合う事業パートナー、
つまり、利権者であって同時に債権者とみなされる。
日本の商業銀行では、約束された利息に基づいて借り手が金利を返済しなけばならず、
すべての負担は借り手にかかってくるが、
イスラム金融では、預金者と銀行借手が、金融ビジネスに関して
公平にリスクと見返りを分け合う仲間となる。
ただし、このようなルールが成り立つためには、
「社会全体が利益をあげる事業」に投資を促す必要がある。
そこでコーランは命ずる。
金によって金を作ることをイスラムは禁ずる、と。
「働かざる者、食うべからず」なのだ。
ユダヤ金融と現在のウォール街の投機世界の対極に立つ思想である。

ここ20年ほど世界を混乱に導いてきたのは、
金によって作られる金が、汗水たらして働く人の収入の
何百倍にも達していることにあり、
これが正直者を不利な状況に追い立てる元凶である。
本来は、農業・漁業と工業の生産者が大きな資金を得なければならないが、
いまや産業は金融の後塵を拝している。
911テロで破壊されたニューヨークの貿易センタービルが、
憎悪と破壊の目標にされた原因は、ここにあった。

コーランが金によって金を作ることを禁じたのは、
交換手段にすぎない金には価値を認めず、
重要なことは、生産的な行為において危険を恐れず人間が示す
行動力と勇気に価値があるとみなすからだ。
ムハンマドはここから一歩考えを進めて、
金を無駄に抱えていることは好ましくない、有効に投資せよと人々に奨励した。
では、いかなるルールのもとで金を社会に有効に役立てるべきか。
そこで彼は、将来不確かな投機行為を禁じた。
私利私欲のため相場を動かすおそれがある現代のインサイダー取引や
先物取引は、イスラムで厳禁である。

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日本の銀行は、イスラム金融に学ぶべきだと思います。

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