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【今週号】週刊文春:田中元外相の長女記事で販売差し止め命令 東京地裁 [毎日新聞]
http://www.asyura2.com/0403/bd34/msg/404.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 17 日 03:05:05:Mo7ApAlflbQ6s
 


 元外相の田中真紀子衆院議員の長女が「掲載予定の記事はプライバシー侵害」として、17日に発売される週刊文春の出版禁止を求めた仮処分の申し立てについて、東京地裁(鬼澤友直裁判官)は16日、発行元の文芸春秋(東京都千代田区)に販売差し止めを命じる決定を出した。プライバシー侵害を理由に、小説や単行本などの出版差し止めを命じる判決や仮処分決定は相次いでいるが、週刊誌に対しては極めて異例。これに対し、文芸春秋側は地裁に異議を申し立てる方針。出版されれば、長女側は損害賠償を請求するとみられる。

 長女の代理人の森田貴英弁護士によると、仮処分を申し立てたのは、週刊文春3月25日号。関係者によると、記事は3ページにわたって、長女の私生活について記載しているという。記事について決定は「切除または抹消しなければ、これを販売したり無償配布したり、第三者に引き渡してはならない」としてた。長女側は「公人の政治家の家族でもプライバシー権がある」と主張している。

 文芸春秋によると、今週号約77万部のうち、約70万部は既に取次店に販売しており、7万部の出荷を止めたという。また17日に東京地裁に対し、異議の申し立てをする。

 雑誌をめぐっては、最高裁大法廷が86年6月、販売予定の月刊誌「北方ジャーナル」の記事について名誉棄損の成立を認め、販売禁止を命じた仮処分決定を支持した。また、小説では最高裁が02年9月、芥川賞作家の柳美里さんのデビュー小説「石に泳ぐ魚」のモデルになった女性の主張を認め、「出版されれば、重大で回復困難な損害を被る恐れがある」と判断し、柳さんと発行元の新潮社などに出版差し止めなどを命じた2審判決が確定した。このほか、サッカーの中田英寿選手が「勝手に半生記を出版された」として出版社と争った訴訟でも、東京地裁が00年、発行差し止めと385万円の支払いを命じており、芸能人に関連した出版物に対しても、同様の仮処分決定や判決が出されている。【小林直】

 ▽文芸春秋の浦谷隆平・社長室長の話 人権には十分な配慮をしたが、訴えには誠意をもって話し合いを続けたい。しかし、言論の制約を意味する今回の仮処分決定は、わずか一人の裁判官が短時間のうちに行ったもので、暴挙という他なく、とうてい承服できない。

[毎日新聞3月17日] ( 2004-03-17-01:50 )

http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20040317k0000m040123005c.html

週刊文春:販売差し止め仮処分に懸念の声 [毎日新聞]

 田中真紀子元外相の長女の記事を掲載した週刊文春に対して東京地裁が16日、販売差し止めの仮処分を決定したことについて、専門家からは懸念する声が相次いだ。全国的な雑誌を対象にしたこうした決定は極めて異例。言論・出版の自由と「プライバシーの侵害」をめぐり、関係者に波紋が広がった。

 上智大の田島康泰教授(メディア法)は「裁判所は、田中真紀子議員の長女が純粋な私人で、プライバシー性の高い内容と判断して差し止めを認めたのだろう」と推測する。一方、「最高裁はプライバシーの侵害だけを理由とする差し止めはまだ認めていない。検閲につながりかねない問題であり、重大な要件を課さない限り、差し止めは認めるべきではなく、今回のケースも詳細な検証が必要だ」と問題点を指摘する。

 立教大社会学部の服部孝章教授(メディア法)は「東京地裁がどういう理由で差し止めを認めたのか分からないが、記事の内容がプライバシーの侵害であることは間違いなく、出版後に裁判で争っても、文春側は負けると思う」と指摘する。その一方で「ただ、これで差し止めを認めるのは疑問が残る。原告側にとっても、今週号は流通ルートに乗っているうえ、大手出版社の週刊誌の差し止めとして話題になることで、訴えの利益はあまりないのではないか」という。

 販売や出版の差し止めをめぐっては、最高裁大法廷が86年6月、北海道知事選の立候補予定者が月刊誌の中傷記事の事前差し止めを求めた「北方ジャーナル訴訟」で、「表現内容が真実でなく、被害者が著しく回復困難な損害をこうむる恐れがある時、例外的に認められる」との初判断を示した。

 同年9月には、清掃会社を脅して現金を受け取ったという記事を東京都内の地域新聞に掲載された東京都葛飾区の区議が、地域新聞の発行責任者を相手取り新聞発行の差し止めを求めた仮処分を申請し、東京地裁に認められている。92年11月には三重県の鈴鹿市長が怪文書に基づく新聞記事の事前差し止めの仮処分を申請し津地裁に認められた。

 中央大の堀部政男教授(情報法)は「北方ジャーナルに対して差し止めの仮処分命令の正当性を最高裁が容認した判例以来、地裁レベルでは数件の命令が出ていると思う。今回の記事を裁判所がどう判断したのかは不明だが、真紀子氏は公人でも娘は私人であり、プライバシー権が出版の権利より優先すると判断したのかもしれない」という。「しかし、こうした出版の差し止めは、極めて限定された条件で認められるべきだ。直前に販売を禁じられた文芸春秋側の損害も無視できない。結論を急ぐ仮処分の申し立てでは、被害事実を必ずしも厳密に証明することが要求されないから、結果として拙速な命令が出る恐れもある。文芸春秋側がおとなしく従うとは考えにくく、今回の命令が妥当だったかどうかが広く議論される必要がある」と語った。

[毎日新聞3月17日] ( 2004-03-17-01:52 )

http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20040317k0000m040138001c.html

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