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(回答先: Re: 奥山真司著 「地政学」 --- 地政学が分からないと国際戦略が分からない(『株式日記と経済展望』より) 投稿者 FormerFrontrunnerDean 日時 2004 年 1 月 31 日 23:39:36)
佐々木敏オフィッシャルサイト 週刊アカシックレコード Web版 より
http://www.akashic-record.com/
http://www.akashic-record.com/tasuki.html
●戦後日本のタブー、消された地政学
このレッテル貼りの威力はすさまじく、日本の大学の授業では軍事問題、とくにその基本理念である地理政治学(略して地政学)は、まったく講義されることがなくなってしまった。数年前、筆者が※大学(※学部)在学中、毎年恒例の「特別講義」に行うべきテーマのアンケート調査があったが、その際、希望の一番多かったのが「軍事戦略論」だった。が、大学当局からは「日本には教えられる人がほとんどいない」ので第二位に変えるとの発表があった(なさけない話だ(>_<;)。当時はまだ冷戦構造が存在していたから、(他大学はどうだったか知らないが)わが母校では、学生の側のニーズは強かったのだ(これは自慢できる話だ。世間には軍事のイロハも知らんで平和や軍縮を語りたがるミーハーが多いのに、わが母校はさすがだ(^_^)。
●現在も続く『広辞苑』への検閲
占領時代あるいは安保条約締結当時の、アメリカのスパイ機関による、軍事問題への「言論弾圧」のすさまじさを示す「痕跡」が、日本を代表する辞書に残っている。岩波書店発行の『広辞苑』(第二版補訂版)で「地政学」を引いてみるとよい。まず(地理政治学でなく)「地政治学」の略だとある(すでに、この段階でけちくさいウソをついている。おそらく「略称地政学」でなく「地理政治学そのもの」についてウソを書くことに良心の呵責を覚えたのだろう)。
次にその「地政治学」を引いてみると、
「政治現象と地的条件との関係を研究する学問。ドイツの学者ラッツェルの政治地理学に基づいてスウェーデンの学者チェーレンが首唱。主にドイツにおいて第一次大戦後の政治的関心と結びつき、ハウスホーファーによって発展、ナチスが支持した。地政学」
というウソだらけの記述になっている。これでは、まるでナチスの政治思想のごとき邪悪で狂信的なものという誤解を与えるではないか。アメリカもソ連もフランスも国をあげて、研究し実践している重要な学問を、こんなふうに矮小化してよいのか。
アカを入れて明白な間違いを校正し、筆者の推理によって、検閲される前の状態に戻してみよう。
「政治現象と地理的条件との関係を研究する学問。一国のとりうる外交・防衛政策はイデオロギーなどとは無関係に、その国に与えられた地理的条件で(ほぼ自動的に)決定されるはずであるという考えに基づく。イギリスの学者マッキンダーが唱えた「ハートランド理論」に始まる。
これは、ユーラシア大陸の心臓部を支配する国(モンゴル帝国等)は、そこがいなかる海軍の攻撃も受け得ない「聖域」であることから世界を制することができるという理論である。大陸国家であるソ連はこの考えに基づいて東欧とアフガニスタンを侵略したし、同じく大陸国家であるドイツは、この考えをドイツ流に修正したドイツの学者ハウスホーファーの理論に基づいて、やはり東欧に侵攻したとされる。
しかし、海洋国家であるアメリカは、ハートランドの支配は不可能なので、そのまわりにある大陸周縁地域「リムランド」(極東、西欧など)を支配するための方法論を構築した。
アメリカの学者マハンが著書『海上権力史論』で首唱し、アメリカがこれに基づいてパナマ地峡の侵略(パナマ運河の獲得)、ハワイ、フィリピンの侵略を行って制海権の拡大などの成果をあげたことから、理論的に確立された。アメリカの第二次大戦における日本占領、沖縄、韓国などへの米軍基地建設や台湾への軍事援助はすべて、根本的にはこの理論に基づいており、自由主義思想や民主主義思想は二義的な役割しか果たしていない。
今年(97年)春、フランスのシラク大統領が来日した際、日本の経済人を前に「フランスの知識人のあいだでは、文化や芸術や地政学の話は高級とされる反面、経済やビジネスの話は下世話なものとされています(が、これからは、それを改めて経済に尽力したい)」と演説した。
NHKの衛星放送の同時通訳はシラク大統領のgeo-politiqueを「地政学」と訳したが、なんと翌朝の朝日新聞の記事では、この言葉は抹殺されていた。岩波書店と朝日新聞は、日本を代表するメディア企業なので、おそらく戦後、アメリカのスパイ機関によって、検閲のための脅迫や買収が徹底的に行われたに違いない(ウソだと思うなら、Niftyの朝日新聞記事検索で「地政学」を含む語がどれくらいあるか調べてみるとよい。本来「地政学」というべきところが「地理」だの「地勢」だの無意味なものに置き換えられている事例が実に多いので、極端に少ないはずだ。もちろん他媒体との比較対照が必要だが、それをやると数万円かかってしまい、失業中の筆者の財力ではきついので、ここでは勘弁してほしいm(_ _)m)。
逆に、中央公論社や日刊工業新聞社や原書房は、アメリカのスパイ機関に「日本を代表するメディア」と認定されなかったと見えて、地政学や軍事問題に関する本を何点か発行している(中央公論社の曽村保信『地政学入門』は穏当な入門書である)が、その影響力が岩波書店や朝日新聞より、はるかに小さいことは言うまでもない(筆者は、これらの出版社の本で地政学を独学したが、こういう会社の本に触れたというだけで、一部の人々からは右翼よばわりされたものだ)。
こうして戦後日本において、学問としての「軍事問題」や「地政学」は、その概念の存在自体を抹殺するという、空前絶後の大弾圧を受けたのである(戦前の日本の軍国主義者は共産思想の弾圧を行ったが、けっして「概念の抹殺」ほどのすさまじいことはしなかった)。この結果、これを研究する学生はどんどん減っていき、いつしか日本には、とくに日本のマスコミ界や左翼陣営内部には、非武装論のばかばかしさを見抜ける「常識」を持った者がほとんどいなくなった(国際法では「中立国」には、自国の領土・領海・領空を他国の軍事行動に使わせない義務がある。もし、非武装の日本の大阪湾に勝手にアメリカの空母がはいってきて、そこから飛び立った艦載機が中国を爆撃したら、その瞬間から日本は中立でないとみなされる。当然中国には大阪を爆撃する権利があるし、この場合中国の爆撃で大阪市民が死んでも、国際世論は絶対に同情しない。したがって、中立国は、自国を他国の空母やミサイルが通過できないようにするための迎撃能力を持った「重武装国」でなければならない。現にスイスもスウェーデンも重武装中立国である)。
左翼の非武装論者を使ったアメリカのスパイ工作(世論操作)を背景に、安保条約締結以降、非武装論は安保反対論と結び付いて一人歩きを始め、どんどん増殖する。日本国民のあいだに少なからずあった反米感情や民族主義は、「非武装中立論」という、まったく実現性がなく、下劣下等なゴミのような思想に引きずりまわされ、無力化していくのである。