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イラク復興特別措置法に基づき陸上自衛隊先遣隊約４０人が１６日夕、クウェートに向けて出発した。イラク南部サマワに陸自本隊を派遣する調査活動を行うため、数日後にサマワに入る。政府は先遣隊が１週間後にまとめる報告を受け、早ければ今月末に施設部隊、来月下旬に本隊を順次派遣する。戦闘状態の継続する「戦地」への自衛隊派遣は初で、戦後の安全保障の大きな転換といえる。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド（地上部隊の派遣を）」との米国の要請を受けて進んだイラク支援は、重要な局面を迎えた。
先遣隊員は１６日午後、防衛庁（東京都新宿区）で編成完結式と隊旗授与式に臨んだ。先遣隊は佐藤正久１佐を隊長に、北部方面隊（北海道）や陸上幕僚監部などで構成。隊旗授与式には、この日、訪欧から帰国した石破茂防衛庁長官らが出席。石破長官は佐藤１佐に隊旗を渡した後、先遣隊員や予備要員約１８０人を前に安全対策について「現地の人たちの信頼を勝ち得て、それを壊そうとする邪悪な意思を持った危険からいかにして身を守るか。そのことに私どもも全力を尽くしたい」と強調した。
先遣隊員は真新しい迷彩服で式典に出席した。服の左胸と襟には日の丸。右胸には「ＪＡＰＡＮ」と、アラビア語で「日本」の文字。佐藤１佐は「イラクの人々とともに汗をかいて、与えられた任務をまっとうし、全員無事に日本に帰ってきます」とあいさつした。隊員たちはスーツ姿で成田空港を午後７時すぎに民間機で飛び立った。空港でも家族や同僚らが見送った。通常より多くの警察官が配置された。
１６日は北海道・新千歳空港にロシアの大型輸送機「アントノフ」１２４型機が飛来、先遣隊が使用する軽装甲機動車８台などの装備を積み込み、出発した。
先遣隊は、中継地のクウェートで軽装甲機動車の砂漠でのテスト走行などをした後、サマワ入りする。現地では一帯の治安維持を担当するオランダ軍の宿営地を拠点に治安状況を調べるほか、本隊の給水、医療支援などの活動に備え、同軍や地元自治体と調整をする。一部はクウェートにとどまり米軍などの連絡調整にあたる。
政府は先遣隊に引き続き、宿営地を設営する施設部隊と本隊を３月下旬までに派遣する方針。先遣隊を含め総勢約５５０人となる。見晴らしのいい砂漠に宿営地を設け、サマワの住民への浄水・給水、病院での医療支援、学校の修理などの人道復興支援を行う予定。現地での活動が本格化するのは４月以降になる見通しだ。
だが、テロなどに対する派遣隊員の安全確保の観点から、当初は宿営地外での活動を最小限にする意向。このため浄水活動は宿営地内で行い、現地の業者などに取りに来てもらう方法が主流となる。サマワでの治安維持にあたっているオランダ軍と連携を取りながら、治安状況を見極め、宿営地外での活動を広げて行く方針だ。【平井桂月、宮下正己】
［毎日新聞１月１６日］ ( 2004-01-16-21:07 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20040117k0000m010063001c.html
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。