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(回答先: Re: も一度、テストしましょう!テストしましょう!も一度 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 6 月 29 日 19:10:56)
■ 中央構造線を境に石が変わる
中央構造線を境に、内帯の 領家帯(りょうけたい)の岩石と
外帯の 三波川帯(さんばがわたい)の岩石が接しています。
中央構造線・大鹿村北川露頭 |
■ 領家帯の岩石
瀬戸内海王子ヶ岳 | 六甲山 | 鈴鹿御在所山 | 矢作川の花崗岩 |
中央アルプス南駒ケ岳の花崗岩 | 大田切川の高温低圧型変成岩(片麻岩) |
領家帯の岩石は、
8000万年前ごろの白亜紀後期に、
マグマが地下10km付近でゆっくり固まった 花崗岩と、
マグマの熱を受けた 高温低圧型の変成岩です。
■ 三波川帯の岩石
四国別子の緑色岩 | 大歩危の砂質片岩 | 伊勢二見が浦の緑色片岩 |
大鹿村夕立神の緑色岩 | 長瀞の緑色片岩 |
三波川帯の岩石は、
緑色岩・石灰岩・チャート・泥岩・砂岩が、
1億年前ごろの白亜紀後期に、
冷たいまま地下30km付近へ引きずりこまれた
低温高圧型の変成岩です。
■ 中央構造線の両側の石は別々な場所で生まれた
領家帯の花崗岩は、
海洋プレートが地下100kmまで沈み込んだあたりで生じるマグマが、
地下10km付近まで上昇し固結したものです。
もとからあった岩石は、熱を受け、 高温低圧型の変成岩になりました。
三波川帯の低温高圧型の変成岩は、
冷たい海洋プレートが沈み込む付近の地下30kmで、変成作用を受けました。
このように両帯の岩石は、水平距離(プレート沈みこみ帯に垂直な方向)で60km、
深さの差で20km、離れたところにありました。
横ずれ方向にも、大きく離れていたと考えられます。
数千万年前の大規模な中央構造線の活動が、
遠く離れた領家帯と三波川帯をずれ動かし、
両帯は接するようになりました。
■ 鹿塩マイロナイト
領家帯の
中央構造線ぞいの岩石は、
地下深部で
断層のズレの力を受け
鹿塩マイロナイトという
断層岩になっています。
鹿塩(かしお)は
大鹿村の地名です。
鹿塩マイロナイトは、
埼玉県比企丘陵から
淡路島まで
露出しています。
鹿塩マイロナイトは
7000万年前、深さ15km、
温度350℃で形成されました。
長石結晶の形から、
当時の"ずれ"の向きが
分かります。
(左ずれを示す)
■ 中央構造線の“もと”になった断層
この鹿塩マイロナイトに
刻まれた証拠や
他のデータから、
恐竜時代末期(白亜紀後期)の
東アジア東縁に、
400〜2000kmにわたる
大規模な左横ずれを起こした
断層があったと考えられています。
(図は山北1997を改変)
この断層が、のちに
領家帯と三波川帯を接しさせた、
中央構造線に発展しました。
中央構造線の定義:
領家帯の南縁を画す大断層。
三波川帯変成岩類を覆う新期の地層と
領家帯を覆う新期の地層の間の断層も
中央構造線と呼ばれる。
新版地学事典(1996)田中・伊藤による
■ 「赤石時階」の再活動
領家帯と三波川帯の境界としての中央構造線ができてからも、
中央構造線は再活動をくりかえしてきました。
その動き方は、時代や地域によって異なります。
1500万年前ごろ、赤石山脈地域特有の「赤石時階」の再活動がありました。
1500万年前、アジア大陸の一部だった日本列島が
太平洋方向へ移動し、日本海ができました。
西南日本は右まわりに、東北日本は左まわりに回転しました。
その結果、西南日本の東部は伊豆・小笠原海底山脈と激しく衝突し、「ハ」の字型にめりこみました。
中央構造線も「ハ」の字型に曲がりました。
中央構造線が折れ曲がるとともに
中央構造線から遠州灘へ分岐する
「赤石構造線」が生じ、
中央構造線と「赤石構造線」を
一直線に結んだ断層線を境に
東側が北へ60km、ずれ動きました。
中央構造線の、この動きを、
「赤石時階」 の活動
といっています。
大鹿村の安康(あんこう)露頭では、
「赤石時階」の活動で生じた断層粘土帯が2列あります。
もとの中央構造線の構造はこわされ、
領家帯と三波川帯の岩石が、くりかえしあらわれています。
その後、「赤石時階」の断層群を切って、
外帯(写真右)から内帯(写真左)へのし上げる
低角の「衝上断層群」が活動しています。
■ 「活断層」としての中央構造線
今の日本列島の地殻変動は、およそ200万年前に始まりました。
中央構造線の古傷を利用して、多くの「活断層」が生じています。
それらを 中央構造線活断層系 といっています。
その活動のようすは、地域(区間)ごとに大きなちがい があります。
活断層区 | - | 長さ・km | 活動度 |
中部日本 | 杖突峠〜地蔵峠 | 50 | C |
- | 地蔵峠〜佐久間 | 50 | C |
- | 佐久間〜新城 | 30 | C |
伊勢湾〜紀伊半島東 | 豊川〜五条 | 180 | 不活動 |
紀伊半島西 | 五条〜紀淡海峡 | 70 | A |
淡路島 | 紀淡海峡〜鳴門海峡 | 30 | A? |
四国北東 | 鳴門〜伊予三島 | 106 | A |
四国中央 | 伊予三島〜小松 | 47 | A |
四国北西 | 丹原〜双海 | 35 | B |
伊予灘〜別府湾 | 伊予灘〜別府湾 | 110 | B |
九州 | 大分〜出水 | 200 | B |
岡田篤正(1992)
領家帯と三波川帯の
地質境界としての中央構造線と、
活断層としての中央構造線は、
ピッタリ重なるとは限りません。
図は和歌山県の例です。
ここでは、中央構造線は、
領家花崗岩を覆う
白亜紀の浅海堆積層の和泉層群と、
三波川帯の境界断層です。
けれども活断層系は、
段丘と山地の境界である
逆断層の菖蒲谷断層と、
和泉山脈中の
右横ずれの五条谷断層です。
中央構造線と五条谷断層は、
1500mはなれて並走しています。
中央構造線活断層系
近畿地域ストリップマップ
(通産省地質調査所1994)に加筆
[Last update 2000/04/25]