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「国の規制」ではなく「国を規制」が憲法の本旨:「戒める」相手は国家機構である
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 17 日 23:40:21:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 自民党 憲法改正草案策定に向けての「論点整理」 (毎日新聞より) 投稿者 レイ 日時 2004 年 3 月 17 日 13:18:56)


憲法というものが国家と国民の関係においてどういう性格のものかあまりわかっていない人たちが、政治家(国会議員)やメディアにいるようだ。

憲法は、国家機構がどういう制度を通じて正当性を付与されるのか、国家機構はその権力を使ってどこまで国民を規制できるのか、さらには、国家機構は最低限国民になにをしなければならないのかを定めたものである。
憲法は、国民を律するためのものではなく、国家機構を律するためのものである。
(国民の義務を表現した条文も、国家機構に国民を規制できる範囲やそのための立法権限を与えるためのものである。義務教育なども、それを可能にする行政行為を国家機構に求めるものである)

「私だって、権利ばかりを主張するような身勝手な風潮はあしきことだと思っている」のはかまわないが、憲法は、権利ばかりを主張する国民ということを前提に、国家機構はそれをどこまで制限できるかを具体的に提示するものである。
逆に言えば、憲法で制限できないとしているものを制限するような立法や行政行為を行ってはならないということである。


記事:「今の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則は堅持しつつ、新憲法の前文には、「わが国の歴史、伝統、文化、国柄」「健全な愛国心」「誤った平和主義、人権意識への戒め」などを盛り込むべきだという。底流にあるのは「戦後民主主義の否定」なのだろう。」

抽象的な理念を謳う前文が必要かどうかも問題だが、それはそれで意味があるとする。
「わが国の歴史、伝統、文化、国柄」は、国民多数派によって決められた憲法条文そのものがそのような性格を持つはずのものだから、ことさら前文に含める必要はないだろうが、あってもかまわないと思う。
問題は、「健全な愛国心」や「誤った平和主義、人権意識への戒め」という表現である。
現憲法というか「基本的人権の尊重」を基礎に置く限り、“愛国心”を抱くかどうかは個人の思想・信条の問題になるから、「健全な愛国心」だろうが「愛国心」だろうが、そのような文言を含めるのは
国家権力の“作用”は、愛国心の有無に関わらず、法の下の平等として全国民ないし万人に及ぶものである。「健全な愛国心」があるからどうするとか、ないからどうするということは国家権力に認められていないのだから、意味のない文言を含めることは避けるべきである。

「誤った平和主義」も、第9条を変更するとしても、国家機構が戦力を行使する条件を具体的に定めればいいことであり、どういう平和主義が正しく、どういう平和主義が誤りかは、思想・信条の問題だから無用の表現である。

「人権意識への戒め」は、最初に書いた憲法の本旨を理解していない文言であり、そのようなことを本気で挿入しようと考えているのなら大笑いである。

このようなおかしな論議が出てくるのも、欽定憲法や占領軍が議会に改正させた憲法しか知らず、国民自らが憲法を制定した経験がないことが影響していると思われる。

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