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国家経済政策の限界性とそれを突破できる可能性
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/896.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 4 月 04 日 15:29:46:Mo7ApAlflbQ6s
 


「国家破産板」のhouさんの『「国家政策のマクロ経済学の限界性について思うこと。」』( http://www.asyura2.com/0403/hasan34/msg/691.html )で提起された、

「○地球規模のマクロ統計は実現可能か?

地球規模にみますと、資源は有限であるのに、国は何個にも分かれており、その国が必要とするインフラやストラクチャーは同じ物であることが多い

のに、その国ごとに規格がちがい。かなり不経済です。

それは、国家という枠組みがあるからで、マクロ統計もそのうえで完全雇用という政策を考えていきますが。

これが、ひとつの地球という規模の国家になった場合、マクロの統計は役に立つ物なのでしょうか?

●60億近い人口がいるなかで、完全雇用に近い数字をたたき出せるでしょうか?
わたしには、想像もつきませんが、雇用状態がよくなり、人口の増加にも歯止めがかかるのではとおもいます。」

へのレスです。
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houさん、どうもです。


最後の問いに、最初に応えます。


houさん:「●60億近い人口がいるなかで、完全雇用に近い数字をたたき出せるでしょうか?
わたしには、想像もつきませんが、雇用状態がよくなり、人口の増加にも歯止めがかかるのではとおもいます。」

結論を言えば、「近代経済システム」の価値観と制度において、世界規模の完全雇用が達成されることはありえません。
(企業(ミクロ)が競争環境で利潤追求を目的として経済活動を行い、資本増殖が企業存続の絶対条件である「資本の論理」においては無理だということです)

世界規模で完全雇用を実現するためには、現在30億人が週6日労働で雇用されているとしたら、週3日労働にして60億人を雇用するかたちにしなければなりません。
そして、経済成長を持続させたいのなら、一人当たりの賃金は、30億人が雇用されているときの水準をそれほど下回らないものでなければなりません。

日本的国家社会が60億人が生きている「世界」だと想定します。

失業者には雇用保険が給付され、それも年金も給付されない生活困窮者には公的生活扶助がある「世界」です。
そして、公的生活扶助が「赤字財政支出」によって行われていると考えます。

何を言いたいかと言えば、「生きているひとは雇用を得なくても何らかのかたちでお金を手に入れ生きるために必要な財を手に入れており、それがある部分の経済活動を支えている」ということです。

このモデルで得をするのは、自分のところに余剰人員を抱え込まなくて済むマクロ(企業)です。自分はお金を負担しないで(「赤字財政支出」だから)、自分が供給する財やサービスを購入してくれる(間接的であっても)ひとたちがいるのですから。

(もちろん、「赤字財政支出」をファイナンスして利息を得ているひとたちが最大の受益者ですが、その問題はここでは脇におきます)

公的生活扶助が「赤字財政支出」によって行われていると、そのツケが後世の勤労者や企業(ミクロ)に回ることになります。(増税です)

じゃあ、こうすればどうでしょう。
国家が、「赤字財政支出」で負担している公的生活扶助に相当するものを“無利子無期限”で企業に貸し出し、企業は、そのお金で活動が可能な公的生活扶助対象者を雇用する。(仕事は草むしりでもかまいません)

企業負担分の福利厚生費が考慮されていれば、企業の収益はそれまでと変わらないはずです。マクロの需要規模も変わらないはずです。
現在の供給力と需要が変わらないのですから、他の条件も変わらないのなら、「デフレ傾向」も変わらないことになります。(政府の放漫政策でハイパーインフレになるわけではないという趣旨とご理解ください)
政府は、企業にお金を貸している債権者ですから、現在のように債務を履行するために増税を行う必要はありません。

このモデルでネックになるのは、政府がコインを除く通貨発行権を中央銀行にほぼ委ねていることだけですが、発行差益が少ないながらもコインで“無利子無期限”で企業に貸し出しことはできます。

もう一つ別の手法もあります。
中央銀行(日銀)が、「赤字財政支出」の範囲内で企業が発行する“無利子返済無期限”の債券を買い続けるというものです。
これは、そんな無価値とも言える資産を中央銀行が抱え込んでいいのかという“観念”がネックになります。
それには、これまでにいろいろ書いてきていますので簡単に、政府が債務を積み上げ国民の公的負担が増大するよりは、日銀券の信用力維持に資すると回答します。


「人口の増加にも歯止めがかかる」というお考えには、資源の有限性や完全雇用の無理性から、人口は増加しないほうがいい(もしくは、減少したほうがいい)という見方があると推察します。

歯止めでは分かりにくいので思い切って人口削減策がほんとうに効果があるのかを考えてみます。

先ほどの「生きているひとは雇用を得なくても何らかのかたちでお金を手に入れ生きるために必要な財を手に入れている」現実を考えれば、人口削減策は需要の減少を招きミクロ(企業)の収益を悪化させることになります。
収益の悪化を改善しようとしたら、雇用を削減しなければなりません。
(需要一定下での生産性の上昇は、給与削減を含む雇用削減しか達成手段はありません)

「人口削減」は、有限な資源の消費を抑えるという意味では効果があるとしても、経済成長には逆にマイナスになります。

これはちょうど、「デフレ不況」を克服するために“企業処理”を行えばいいと考える愚なのです。

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