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(回答先: Re: 人間の身の丈にあった社会の仕組みに、どこから近づいてゆけばいいのですか。 投稿者 鼻曲がり 日時 2004 年 2 月 02 日 09:28:28)
鼻曲がりさん、レスありがとうございます。
今後も議論にどしどし参加していただければうれしく思います。
>私自身はマルクスが最初の段階で間違いを犯していたと考えています。それは不平等
>の出発点として、ルソーも「不平等起源論」の中で書いている不平等の起源を人間の
>私有欲、つまり私有財産からと解釈していたということです。ここに一つの本が発刊
>されております、題名は「人が人を使って利潤を得てもいいという権利、人はそれを
>誰に貰ったのか」という楢篠賢司氏の著作です。私なりにその本の内容がすべて正し
>いとは思っていませんが、考えさせられる本だと考えています。そこではマルクスで
>は解くことができなかった歴史的部分を、ミゴトに解いているというように見えます。>ともすれば解かっていることだと考えている言葉の持つ意味、ここでは「利潤」とい
>う言葉が簡単に使われていますが(上記引用文)利潤とは何かという意味を完全に理
>解しているのでしょうか、ここでも楢篠氏は、「利潤の定義付」から起こしています、
>それを要約しますと「利潤を得るとは他者の労働の一部を私有する行為」その発生を
>歴史(ここでは考古学)的に解いております。
楢篠賢司氏の著作は未読ですので的外れかもしれませんが、マルクスの最大の誤りは利潤=剰余価値であり、剰余価値は、「利潤を得るとは他者の労働の一部を私有する行為」に通ずる考えだと思っています。
「利潤を得るとは他者の労働の一部を私有する行為」は、どちらかと言えば、前近代における支配者の“収奪”を説明するのに適した説明ではないかと思います。
(労働成果を半分を領主に収めるといった)
近代における賃労働の特質は、活動力(労働力)をある時間譲り渡すことで“その時間に行う労働をすべて他者に譲り渡す”ことにあると考えています。
まず、工場制協業においては、個々の労働者の活動が即労働になるわけではなく、共に働く他者や生産手段と結合した活動が労働です。
次に、労働の成果はすべて雇用者(資本家)のものであり、一部たりとも活動力を提供した労働者のものではありません。活動力の再生産を可能にする賃金を受け取ることで、活動の仕方も活動の成果も放棄しているのです。
ひとが、機械や原材料と同じ手段とみなされる存在になっているのが「近代」だと思っています。
そして、これが、鳥の目虫の目さんが言われている「生産と消費の分断」の根源的所以だと思っています。
個々の企業経営者(資本家)にはそう思えるとしても、利潤の源泉は労働過程にあるのではなく、国際交易余剰にあるというのが持論です。
個々の企業は人件費を減らして同じ価格で生産した財を販売すれば人件費を減らした分だけ利潤(利益)が増加するのでそう思えるが、国際余剰(輸出超過)がなければ、人件費を減らした分だけ国内需要が減少するので、利潤(利益)は増加しません。
だからこそと言えるわけではありませんが、利潤の源泉が労働過程にないが故に、先進国の労働者は自動車や自宅を保有するまで生活水準を高めてきたと考えています。
労働者の賃金を引き上げて購買力を高めなければ、生産性が上昇した労働成果を国外で増加的に売り捌かなければなりません。
大多数が自分の活動力を他者に売って生存せざるを得ない社会状況であれば、生産性の上昇に応じてその活動力を高く買うようにしなければ、経済社会全体はうまく回りません。
「人が人を使って利潤を得てもいいという権利、人はそれを誰に貰ったのか」という楢篠賢司氏の問いは、そのような制度を作り上げるために人々を土地から排除し、貨幣がなければ生存そのものができない貨幣経済化を推し進めるとともに、それが進歩であり豊かさにつながるという観念を普及させ、国際余剰の獲得を通じてそれなりにそのような観念がもっともだと思う現実を維持してきただけで、それを制度的に作り上げた支配層が後から正当化するために権利と称しているだけであり、誰かに貰ったわけでもないというものになります。
※ 参照書き込み
『経済論理や剰余価値説について』
( http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/145.html )
『【世界経済のゆくえ】「競争モデル」から「独占モデル」へ − マルクス主義批判も若干 −』
( http://www.asyura.com/2002/hasan10/msg/940.html )
『近代経済社会の理解について』
( http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/207.html )
>また北一輝の考え方がどなたかの文章に載っていましたが、現在の社会で問えること
>は民主制的大統領制がいいのか、もしくは天皇制のような君主制がいいのかといった
>とき。やはり国民の総意が反映される大統領制ではないかと考えますが。そしていえ
>ることは、アジア主義よりも国連を中心とした真の意味での話し合い社会ではないか
>と考えますが。
国民の政治的意思が反映される度合いの差異であれば、大統領制も名目だけの君主制(現憲法的天皇制)も基本的に変わらないと思っています。
(政治的権力者と国家統合の権威者が分離されているほうが、政治的に穏和なものになるという見方もできます)
どちらがいいかは、選挙もない世襲的な人物が国家元首的地位になることが好ましいかどうかの問題に帰着すると思っています。
どちらを好ましいと考えるかも、国民の判断になるはずです。(ドイツやイタリアなどの大統領制は政治的権力者と国家統合の権威者を分離する考えに基づくものです)
私自身は、支配−被支配の関係性を解消していくことが重要だと考えているので、大統領制も君主制も不要な社会を築いていくべきだと思っています。
アジア的理念を見直すことは「近代」批判に資するとは思っていますがアジア主義を標榜する立場ではありませんが、アジア主義と国連中心(主義)は対立するものではないと思っています。
アジア諸国が他地域から“不当な”扱いを受けていたり、地理的歴史的に近しいアジア諸国との連携が重要だと判断するのなら、それをベースに国連外交を行うのは重要なことだと思います。(他の地域がブロック化し、アジアに対して共通利益になる条件を押し付けようとするのなら、アジア諸国もなんからの対応をしなければ各個撃破されてしまうことになります)
国連は、欧米的(世界支配層の)価値観を世界化するための機関だと思っています(笑)
※ 参照書き込み
『レス2:「開かれた地域共同体」についての粗雑なイメージ』
( http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/776.html )
『簡単なレスと『お金(マネー)の歴史全書』(大英博物館編・東洋書林刊)の紹介』
( http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/800.html )
★ 関連するあれやこれやの参照書き込みリスト
『“彼ら”とは議論できると思っています』
( http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/408.html )
『北 一輝:武士道は皇室を迫害せるものなり − 万世一系の鉄槌に頭蓋骨を打撲されて武士道とともに天皇陛下万歳を叫ぶ“土人の酋長” −』
( http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/118.html )
『「共産主義国家」の破綻原因 − 所有形態や計画経済にあらず −』
( http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/848.html )
『共産圏も「パックス・アメリカーナ」の手のひらの上 − 米国的「戦後世界」解釈からの脱却を − [Mr.Xさんへ]』
( http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/350.html )
『Re: 共産主義も資本主義も同じ「近代」の産物です』
( http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/549.html )
『質問に対する見解』
( http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/775.html )
『Re: 富の正当性について』
( http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/354.html )
『ネオコンでも左翼でも「世界革命」が生み出す世界は同じ − 宇佐大神宮さんへのレス −』
( http://www.asyura.com/0304/war30/msg/874.html )
『私と「近代知性」、「戦前の日本も象徴天皇制」、「イスラムや共産主義」 』
( http://www.asyura.com/2002/dispute3/msg/373.html )
『宗教に限らず価値観や世界観は人を“支配する”ためのもの − 個人の“わがまま”を規制するもの −』
( http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/398.html )
『簡単なレス』
( http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/874.html )
『「近代」日本と今後の世界:国際金融家(寄生者)には読んで欲しくないが、知ってることだからいいだろう』
( http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/901.html )