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http://www.sankei.co.jp/news/031127/morning/27int002.htm
平成15(2003)年11月27日[木]
「親米」確保へ巧妙 石油戦略要衝…ブッシュ大統領「最大限の支援」
【ワシントン=近藤豊和】米国は、グルジアの暫定新政権に対し、医療物資を緊急支援することなどの協力方針を早くも打ち出した。シェワルナゼ前大統領の腐敗ぶりに見切りをつけ退陣を後押しした米国は、エネルギー戦略上の必要性などから、引き続きグルジアの「親米外交」姿勢を確保する構えで、ブッシュ大統領は二十六日、ブルジャナゼ暫定大統領と電話で協議し、グルジアの安定へ「最大限の支援」を約束した。
国務省のバウチャー報道官は二十五日の会見で、グルジアへ三百万ドル相当の医療物資を支援し、公正な選挙実施などについて暫定政権と協議するため、代表団を来週にも派遣すると表明。「グルジアの石油パイプラインをめぐっては、暫定政権も方針を変えないとみている」と強調した。
報道官が言及したパイプラインとは、カスピ海の石油をトルコ経由で欧州方面に輸出する「BTCライン」と呼ばれるもので、グルジアを通過する。米国が一九九九年にグルジア、トルコ、アゼルバイジャンとの間で建設に合意し、来年の完成を目指している。
カスピ海の石油は、中東の石油に対する依存率を下げたい米国にとってエネルギー戦略上極めて重要だ。
このため米国は、グルジアには九一年の旧ソ連からの独立時から積極的な支援を展開。歴代米政権の援助総額は十億ドル以上にのぼる。
また、米中央情報局(CIA)はシェワルナゼ前大統領の周辺警護を指導し、チェチェンのイスラム過激派の出撃拠点となっているパンキシ渓谷の過激派を掃討するため、米特殊部隊の軍事顧問団も派遣。前大統領の安全保障担当顧問の補佐官六人の給与は米国務省が支払っていたとされる。
そこまで緊密な関係を維持していた米国だが、前大統領の利益誘導や蔓延(まんえん)した汚職、非民主的な政治運営、インフラ整備の遅れ、国民のモラル低下は著しく、米国企業が進出してもビジネスが成立せず相次ぎ撤退を余儀なくされていた。前政権の腐敗は末期症状で、イラク、アフガニスタンでの民主化を進める米国はグルジアの状況を懸念し、見切りをつけることになったものとみられる。
ブッシュ米大統領は七月、シェワルナゼ前大統領とも親交が深いベーカー元国務長官をグルジアに派遣。公正な選挙の実施などを要請した。これが、ブッシュ政権の“最後通告”となった。
米メディアは、シェワルナゼ前大統領の退陣をめぐり、パウエル国務長官ら国務省メンバーが「舞台裏で巧妙な役割を展開した」と論評。米国からの全面支援が支えとなっていた前大統領に引導を渡す結果となったと指摘している。