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(回答先: 「テロ先物市場を構想したペンタゴン」と類似手口 投稿者 愚民党 日時 2003 年 12 月 04 日 08:21:35)
既に阿修羅にも投稿がありますが、一応。
ワイアード ニュース と シジミさんの投稿から。
最後の投稿のスーパー珍米小泉純一郎さんのコメントも、覗いてください。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030731202.html
米国防総省、将来のテロ攻撃などについて賭け金を集める市場を構想
AP通信
2003年7月29日 11:02am PT ワシントン発――米上院軍事委員会のジョン・ワーナー委員長は、29日(米国時間)、米国防総省がテロリスト攻撃の予測を推進するために、いわば予測の先物市場を設立する計画について、これを破棄することになると明らかにした。
バージニア州選出の上院議員(共和党)でもあるワーナー委員長は、このプログラムを監督する国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)のトニー・テザー長官と電話で会見した結果、「これは中止するべきだということで、双方が同意した」と述べている。
その後のインタビューでワーナー委員長は、DARPAは「プログラムのもたらす副次的影響すべてを考慮していなかった」と語った。
「DARPA長官が私に電話で伝えた限りでは、長官は自らの判断により、この事柄に関し、率直な表現を使うなら本日限りでエンジンをすべて切ってしまうということだった」とワーナー委員長。
上院では少数派である民主党のリーダー、トム・ダシュル上院議員(サウスダコタ州選出)が、このプログラムは「実際にはテロ行為の実行を誘発する」と糾弾した。この告発を受け、ワーナー委員長は即座に、今回の決定を発表したことになる。
ワーナー委員長が計画中止を明らかにしたのは、米陸軍参謀総長に指名された退役陸軍大将ピーター・J・シューメーカー氏の承認手続きの公聴会においてだった。
「これはあやまちとしか言いようがない」とダシュル上院議員は糾弾した。
ワーナー委員長によると、上院情報委員会のパット・ロバーツ委員長(カンザス州選出、共和党)と上院歳出委員会のテッド・スティーブンス(アラスカ州選出、共和党)委員長に意見を聞いたところ「これは即座に廃止するべきだ」ということで意見が一致したという。
意見を求められた両上院議員は、このプログラムのためにすでに拠出された資金をいっさい使わないよう、国防総省に勧告するとし、今年度中に開かれる上下院予算協議会で予算の支出そのものを打ち切る意向を明らかにしたとワーナー委員長は述べた。
ほとんど表沙汰にされてこなかった国防総省の計画は、将来のテロリスト攻撃や特定の指導者に対する暗殺の起こる可能性について、投機家がインターネット上から賭ける方式の先物取引市場を設置する構想だった。同計画を促進するためのウェブサイトは、すでに運用を開始していた。
2名の民主党上院議員によってこの計画が明るみにされた28日、国防総省は、実行される可能性のあるテロの計画について情報を入手する新しい方法だと弁明した。
ワーナー委員長は29日、部下がプログラムについて調査中で当日中に報告を行なうと述べていた。ヒラリー・ローダム・クリントン上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、「死の先物市場」を開設する計画を耳にして愕然としたと述べている。
他の民主党議員も、同様の警鐘を発している。
「残虐行為とテロリズムに関する、連邦政府公認の賭博場というアイディアは馬鹿げており、グロテスクだ」と28日に計画を明かした議員の1人、ロン・ワイデン上院議員(オレゴン州選出、民主党)は語った。
このプログラムは『政策分析市場』(Policy Analysis Market)と呼ばれている。DARPAでは、「テロリストの攻撃を防止するためにできる限り幅広く、新しい諸方法を調査する」研究努力の一環だと説明している。
トレーダーは――ちょうどエネルギー資源を扱うトレーダーが現在や将来の原油価格に値を付けるように――先物契約を売買するはずだった。しかしこの場合の先物契約は、たとえば、経済、市民および軍の行動、あるいはテロリストによる攻撃のような特定の出来事といった条件を考慮して、中東で何が起きるかという予想シナリオに基づくものなのだ。
自分の予想が実際に起きた場合、その先物契約をしていた投機家は、市場に賭け金を出していたが予測が外れたトレーダーから上がりを集める仕組みになるはずだった。
28日に同市場のウェブページに掲載されていた図では、先物取引の例として、パレスチナ自治政府の指導者、ヤセル・アラファト議長が暗殺される可能性と、ヨルダンのアブドラ2世が国王の座を追われる可能性という、架空のシナリオが掲載されていた。ウェブサイトでは、このプロジェクトの市場は中東とすると謳っていたにもかかわらず、北朝鮮によるミサイル攻撃の可能性を示す図も含まれていた。
この図は、ワイデン上院議員とバイロン・ドーガン上院議員(ノースダコタ州選出、民主党)が政策分析市場について批判した記者会見の数時間後に、ウェブサイトから撤去されたようだ。
ドーガン上院議員は問題の市場について、「信じられないほど愚劣だ」と述べている。
「米国の政治界の要人の暗殺や、あれやこれやの組織を転覆させるといった筋書きに賭け金を張る……そんな賭博場を他の国が開設して人々に賭を勧めることなど、想像できるだろうか?」
しかし28日の声明でDARPAは、市場が「分散していた情報や、さらには隠されていた情報さえも」明らかにする可能性があると述べていた。「選挙結果を予想するような場合における先物市場の優秀性は証明されている。専門家の意見よりも優れている場合もしばしばある」
ウェブサイトによると、政策分析市場はDARPAと民間企業2社による共同プログラムだという。市場技術会社の米ネット・エクスチェンジ社と、『エコノミスト』誌の出版元のビジネス情報部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット社が協力している。
DARPAは、コンピューターによる監視システム、『テロ情報認知』(TIA)プログラムに関してもプライバシー面の懸念が寄せられており、議会からの批判を受けている(日本語版記事)。ワイデン上院議員は、政策分析市場は、退役海軍中将のジョン・ポインデクスター氏の監督のもとで実施されていると述べた。ポインデクスター氏はTIAプログラムの責任者で、1980年代にはレーガン大統領の国家安全保障顧問だった。
政策分析市場のウェブサイトは、投資家がどれほどの金額を市場に投じるか明らかにしていないが、「利益を得る可能性と、損失の痛手」があるため、アナリストたちは正確な予測を立てるよう、動機づけられるはずだとしている。
取引は10月1日に開始が予定されていた。市場は当初、トレーダーを1000人と限定し、来年の1月1日までには少なくとも1万人に増やす見込みだった。
ワイデン上院議員とドーガン上院議員は、ポインデクスター氏にプログラムの中止を求める公開書簡を出した。両上院議員はこの書簡の中で、下院に提出された 5月20日のDARPAの報告書について言及した。ここでは、イスラエルが生物兵器の攻撃を受けるかどうかを予想するために、市場の力を利用する可能性について述べられていた。
「このような脅威に対して、最も優秀な情報収集能力を使うべきなのは当然だ。インターネット上のウェブサイトで賭け事をする個人の手に委ねていいことではない」と両上院議員は主張している。
[日本語版:湯田賢司/長谷 睦]
日本語版関連記事
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・米国政府のTSWG、各種の「テロ対策技術研究」を支援
・米国防総省、テロ対策として「市民を監視する」システムを擁護
・イラク問題を賭けの対象にするサイト:はたして読みは当たるか?
・選挙の結果予想はギャンブラーにおまかせ?
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030801202.html
賭け金を集める「政府運営の政策分析市場」、支持派が反論
Noah Shachtman
2003年7月30日 2:00am PT テロ攻撃の予想に役立つとして先物取引市場を設立するという計画が物議を醸し、米上院が計画を破棄させたことに対し、29日(米国時間)、批判の意見が出はじめた。
ロン・ワイデン上院議員オレゴン州選出、民主党)をはじめとする議員たちは、米国防総省の『政策分析市場』(PAM)プロジェクトを「グロテスク」だと感じたかもしれない。しかしこの「アイディア市場」を支持する側は、計画の即時中止は、米国の情報機関から、正確に将来の出来事を予測することで定評のあるツールを奪いとることになると主張している。
今回の決定が「純粋に政治的な」ものだったと述べているのは、米ネオテリック・テクノロジーズ社のビル・アドキンス氏だ。同社は国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)から助成金を得て、ハイブリッド式電気自動車とSARS(重症急性呼吸器症候群)流行の行く末を予想する先物市場の設計にあたっている。
上院議員たちはPAMプロジェクトを知って、懸念を表明した。同プロジェクトは中東で想定される出来事――ヨルダン王政が転覆されたり、パレスチナ自治政府の指導者、ヤセル・アラファト議長が暗殺される可能性など――を、ちょうど株価を予想するように予想するという試みだ。理論的には、先物価格が高額になるほど、対象となる出来事の起こる可能性が高いと評価されていることになる。
「残虐行為とテロリズムに関する、連邦政府公認の賭博場というアイディアは馬鹿げており、グロテスクだ」とワイデン上院議員は憤慨している。
政策分析市場を発案したのは、プライバシーを踏みにじると悪名の高かった『テロ情報認知』(TIA)データベースを編み出した頭脳集団、DARPAの情報認知局(IAO)だった。この事実は、テロに関する先物取引市場を開くという試みに対する反感を、さらに高めた。
ワイデン上院議員とバイロン・ドーガン上院議員(ノースダコタ州選出、民主党)が同プログラムを非難する記者会見を開いた翌日、国防総省は計画中止に同意した。
しかし、このプロジェクトを支持する側からの指摘によると、機密情報の収集活動とは、多くの場合厄介なもので、いかがわしい人物に金を渡したり、敵対する可能性のある人物を排除したりすることもあるという。アイディアを取引対象とする先物市場というコンセプトをごく初期のころから支持しており、PAMプロジェクトにも関わっているロビン・ハンソン氏は、先物市場というと響きはよくないかもしれないが、このコンセプトには倫理を犠牲にする行為を強いられる要素は何もないと述べる。これは人々の叡智を結集するための、1つの方法にすぎないというのだ。
「われわれは諜報活動のためにさまざまなことを行なっているが、これはその中でもいちばん良心の呵責が少ない方法だ。よからぬことを教えてもらうために人々に金を払う。諜報活動のプロセスとは、本来そういうものだ」とハンソン氏は説明する。
また、取引市場を開くほうが密告者に金を払うよりも高い効果を得られる可能性がある。
PAMと似たプロジェクト、たとえば『アイオワ・エレクトロニック・マーケッツ』(IEM)では選挙結果を予測しており、次に起こる出来事を予測する指標としては、驚くほど高い信頼性を誇ってきた。
だが、IEMも完璧ではなかった――2002年の中間選挙では、実際の結果とは逆の、民主党が上院の過半数を占めるという予測を出していた。しかし14の選挙を通じて、同市場が付けた数値は平均して、最終世論調査よりも0.5%、実際の得票数に近かった。
米オーバーチュア・サービシズ社の上級調査研究員、デビッド・ペノック氏によれば、オレンジ・ジュースの先物価格が、正確に天候を予測している事実さえあるという。同氏はこうした市場の信頼性について、広く調査を行なっている。
『ハリウッド・ストック・エクスチェンジ』(HSX)サイトのトレーダーたちは昨年、40人のアカデミー賞候補のうち35人を正確に的中させたと『ニューヨーカー』誌は伝えている。
「市場のメカニズムは人に意見を求めるよりも、もっと正確だ。自分の金や評判をかけているからだ。自分の知っていることを明らかにするよう刺激する」と『フォーサイト・エクスチェンジ』のケン・キリッツ氏は述べた。フォーサイト・エクスチェンジでは、ヒトのクローニングから、ローマ教会の聖職者が結婚を許可されるようになる可能性に至るまで、将来のあらゆることを投機の対象にしている。
もちろん、市場が出来事や企業について誤った予測を立てることもある。ドットコム企業がブームだった時代、貧弱な企業にどれだけ大げさな株価が付いていたかを考えてみればすぐわかる。
しかし取引市場は、「誰一人として答えがわからない場合――情報が、異なった知識基盤を持つ多数の人々に分散している場合――には、非常に的確に出来事を予想できる傾向がある」とアイオワ大学のジョイス・バーグ教授は述べている。バーグ教授は、PAMプロジェクトの作成に協力した。「市場は、このように分散した情報を統合することにかけては、非常に優秀だということが判明している」
また、ハンソン氏によると、市場は、第一級の識者にも不可能な方法で、特定の主題に関する情報を持った人々を集めることもできるという。
「その題材について知識はあるが、発言の資格がない人たちを集められる。(中東内の)地域に実際に住んでいる人たちの意見も集る」とハンソン氏。
また、市場は政策に関する論議と比較して「空回りする傾向が少ない」とハンソン氏は指摘し、「人々が口にすることではなく、実際に考えている情報が手に入る」と語っている。
イラク戦争の正当性をめぐる昨今のやかましい議論を見る限り、空回りしない判断が求められていることは疑いない。
それでも、上院議員たちは懸念を寄せている。中東での事件に関する金融市場を作ることで、テロリスト本人が自分に賭け金を出して、自身が行なった攻撃から利益を手にする可能性が出てくるというのだ。
上院では少数派である民主党のリーダー、トム・ダシュル上院議員(サウスダコタ州選出、民主党)は、数人の同僚議員の感情を代弁して、PAMを「テロ行為の実行を誘発するものだ」と糾弾した。
しかし市場専門家のペノック氏によれば、これは全くの誤りだという。
「テロリストが(攻撃に金を投資する)行為に出るという事実そのものが、手の内を見せることになる」とペノック氏。テロリストが金を投じれば、先物価格は上昇する。その事実が指導者たちにテロ攻撃の可能性を警告することになる。
「市場によって、他の手段では知り得ない、何かが起きそうだという予兆がわかる」とペノック氏。
PAMシステムには問題もあると、ペノック氏は認めている。市場は、あらかじめ想定したアイディアに対してしか賭けられない仕組みになっている。誰も思い付かなかったようなテロの計画は、実行に移されない限りPAMの取引の場には登場しない。したがって、2001年9月11日の同時多発テロ攻撃で飛行機をミサイルとして使うというアルカイダの手口を、この市場のトレーダーが予測できた可能性は低い。
ペノック氏によると、匿名で案件を取引できることも、よくない点だという。自身が予定している犯行に値を賭ける愚かなテロリストがいた場合に捕まえられるように、実際の株式市場と同じように取引の記録をとっておくべきだという。
しかしこのような問題は修正可能だと、ペノック氏はすぐに続けた。
「この案は、深く考えずに即座に退けてしまうべきではないと思う」とペノック氏。
だが、もう遅かった。29日午前中には、すでに上院が決定を下してしまっていた。
[日本語版:湯田賢司/長谷 睦]
日本語版関連記事
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脳の著作権を獲得、ニューロンを先物取引―あるアーティストの企て(WIRED NEWS)
http://www.asyura2.com/0311/bd31/msg/217.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 10 月 16 日
★「持株会社を作って死後の脳の管理を任せる」そうです。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20031016208.html
2003 年10月10日 2:00am PT インターネットがブームになって盛り上がったころ、投資家たちは、ベイエリアの過激な起業家が考案し、結局は思いつきだけに終わった事業計画に何十億という金を注ぎ込んでいた。時は流れ、新しいアイディアも資金も乏しくなった今、サンフランシスコに住むあるアーティストは、アイディアではなく、自分の脳に対して投資家がお金を出してくれることを望んでいる。
ねらいはずばり、永続性を手にすることにある。
コンセプチュアル・アーティストで小説家のジョナソン・キーツ氏(32歳)は先ごろ、自身の脳にある60億個のニューロンを予約販売する計画を明らかにした。オークション形式で、脳の先物予約ということになる。キーツ氏はすでにこの春、脳に著作権を獲得している。この著作権は、物議を醸した1998年の『ソニー・ボノ著作権期間延長法』により、他のすべての著作権と同様、制作者の存命中だけでなく、死後も70年間保護されることになっている。
「ずっと生き続けることができればいいと思った」とキーツ氏(写真)は言う。「70年間余計に生きられるなら、著作権の申請費用20ドルの価値は十分にある」
キーツ氏は、自分の脳を彫刻作品として登録した。脳の構成は、自分が思索を通して作りあげたものだ、とキーツ氏は主張している。
10月23日(米国時間)に『モダニズム』ギャラリーで行なわれる株式初公開(IPO)パーティーでは、キーツ氏の死後にその脳のニューロン100万個分の権利を購入できるオプションがわずか10ドルで提供される。60億個のニューロンの権利をすべて売却すれば、キーツ氏は6万ドルを手にすることができる。
キーツ氏は、集めた資金の半分をギャラリーに渡し、残りの半分は自らの脳の育成に使い、これからも新しい発想を得て脳の価値をさらに高めたいと語っている。
キーツ氏の脳の価値は、今でもすでにたいていの人の脳より高いかもしれない。キーツ氏は、以前に行なった思考パフォーマンスでかなりの騒動を引き起こしているからだ。このパフォーマンスで同氏は、カリフォルニア州バークレー市に対して「A=A」という決して破ることのできない法則の立法化を試みた。
この法律は、バークレー市に存在するすべてのものがそれ自身と同一であることを要求するもので、バークレー市はこの法律をまだ検討中だ。
ニューロンの先物予約などというと、投資家から金を巻き上げる口実にしか聞こえないかもしれないが、キーツ氏が本当に欺こうとしているのはもっと狡猾で容赦のない相手、死そのものだ。
「自分が死んだ後も考え続けなくてはならないので、『持株会社』が必要なのだ」とキーツ氏。
キーツ氏が死亡すると先物契約が発効して、キーツ氏の脳、およびその脳に対する知的財産権は、ジョナソン・キーツ・ホールディング社に移る。その後、投資家はオプションを行使して、ジョナソン・キーツ・ホールディング社からニューロン100万個を1万ドルで買えるようになる。
通常のIPOの場合と同様、キーツ氏の脳の販売に先駆けて目論見書も用意されているが、これまたよくある文面をひねったものに仕上がっている。
たとえばこんな一文がある。「ジョナソン・キーツの脳が現在きちんと機能していることは多くの専門家が認めるところであるが、過去の働きは未来の機能を保証するものではない」
キーツ氏が用意した目論見書には、同氏の死後に調達される数千万ドルの資金は、「ジョナソン・キーツ・ホールディング社の運営資金になると同時に、同社がライセンス合意に基づき、著作権の継続期間中ジョナソン・キーツの精神活動を維持するための費用として使用する」と書かれている。
ほかにも目論見書には、「法人、個人を問わず、基礎的な算術計算から高度な哲学的思索まで、あらゆる目的のためにジョナソン・キーツの神経ネットワークを貸し出す」といった記載がある。
また、投資案件としての価値を確認するため、キーツ氏はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の記憶と加齢センターで検査まで受けている。同センターで、キーツ氏は脳の機能的MRI検査を受け、静かに座って芸術や真理や美について考えている時の脳の様子を調べてもらった。
脳の検査で得られた45枚の写真がギャラリーの壁に展示され、投資を検討する人たちに、同氏の脳への出資が堅実なお金の使い道だと確信してもらうのに役立てられることになっている。
「MRI画像には説得力がある。ニューロンを買うつもりなら、これを見れば、私のニューロンがいいものだとわかる」とキーツ氏は述べている。
キーツ氏のニューロン販売計画は単にくだらない戯れごとなのだろうか?つまり脳にはそんな価値はないのだろうか。あるいは、長すぎる著作権の有効期間に関する気の利いた問題提起なのだろうか?そうならば、キーツ氏は高名なスタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授(法学)より頭がいいのかもしれない。
この疑問については、ほどなく自由市場の力が結論を下すことだろう。
しかし、キーツ氏のニューロンに投資した「株主」たちが、投資に対する価値の増大を望むようになれば、自由市場から資金を得たことによって、逆にキーツ氏は将来、強いプレッシャーを受けることになるかもしれない。
この先キーツ氏は、投資家に利益をもたらすことだけをするよう強いられるのか? 悪い夢や不純な思想を抱いたら、投資家に提訴されてしまうのか?
パーティーで大酒を飲みドンチャン騒ぎをすれば、企業のブランドイメージを損なった責任をとらなければならないのだろうか?
キーツ氏は、こういった疑問については自分も考えてみたことがあり、夜、酒を飲みに出かけられなくなるのではないかと心配した、と答えている。
「そういうことは、もちろん大好きだから」と言うキーツ氏は、そういう訴訟に巻き込まれたりしないか、契約書の細則をよく検討したと語る。「つまりこういうことだ。泥酔して海に転落し行方不明になれば、脳もなくなる。脳がなくなった場合、購入価格の全額を払い戻すと書いてあるんだ」
計画を開始してから、キーツ氏は自分が足を突っ込もうとしている問題がどれだけ奥の深いものかということに気づいた。米国防総省が、テロ攻撃の予想に役立つ先物取引場を設立するという計画を立てたものの、けっきょく中止に追い込まれる(日本語版記事)http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030801202.htmlのも目の当たりにした。
「国防総省が突然、ヤセル・アラファト議長が死ぬ可能性について、先物取引の対象にしようとした。国防総省までがアーティストのような行動を始めた」とキーツ氏。
『電子フロンティア財団』(EFF)で知的財産問題の活動に取り組み、ウェブログ『コピーファイト』の作者でもあるドナ・ウェントワース氏は、最初、キーツ氏の計画は「思いつきで始めた受けねらいのパフォーマンス」だと思っていた。
しかし、よく考えた末、ウェントワース氏は、キーツ氏が何かに気づいているのではないかと感じるようになったという。
ウェントワース氏は電子メールで、次のように述べている。「私には、キーツ氏が、非常に具体的なかたちで『知的財産』を形作ることによって、無形のものが商品化される傾向について語っているように思える。このままで行けば、キーツ氏の脳は絶対に社会の共有財産にはならないかもしれない。限りなく未来永劫に近い期間、キーツ氏の個人財産のままだ」
「問題は、この方法によってキーツ氏の脳、あるいはアイディアが『生き続ける』ことになるのか、逆に、アイディアがもっと活用され、世の中を自由に巡り、われわれの文化の一部として共有されることを阻むことになるのか、ということだ」とウェントワース氏は問いかける。
キーツ氏は、取り立ててこういう問題を提起するつもりはなかった、と言いながら、自分の作品にはいつも意図しない結果を招くところがあり、そこが気に入っていると述べ、これは何でも意識的に誤読しようとしてきた努力のたまものだと説明した。
「私はつねに、よりよく誤解するよう努めている」と言うキーツ氏は、影響を受けた人物としてアンディ・ウォーホルとマルセル・デュシャンの名を挙げ、「完璧な誤解は、最も偉大なコンセプチュアル・アート作品に通じる」と語る。
キーツ氏は、自分の計画は真面目なもので、持株会社を作って死後の脳の管理を任せることを思いついてから、安心できるようになったと語る。
しかし、どんな人間が役員となって会社の経営にあたるかは、キーツ氏にもまだわからない。
「この件を真剣に考えてくれる人が必要なのだが、物事を真面目に考える人は、なかなかこの計画を理解してくれない」とキーツ氏は話している。
[日本語版:藤原聡美/長谷 睦]
日本語版関連記事
・瞑想の恩恵をめぐる科学的研究http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030922207.html
・賭け金を集める「政府運営の政策分析市場」、支持派が反論http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030801202.html
・参加者の脳波で音楽を作るコンサートhttp://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030331305.html
・「自分のDNAをアピールする」商売にプライバシーの懸念http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030327101.html
・永遠の命を求める人々の心理を探るhttp://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20021122303.html
・死後の意識を解明、体外離脱の研究http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20021107308.html
・著作物は誰のため? 作品の再利用をめぐる米国の現状http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20021018207.html
WIRED NEWS 原文 (English)
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* Re: 脳の著作権を獲得、ニューロンを先物取引―あるアーティストの企て(WIRED NEWS) スーパー珍米小泉純一郎 2003/10/17 10:28:50 (0)