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第9条の存在はそれなりに役に立っています
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 11 月 14 日 16:50:17:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: Re: 政治情勢と憲法問題がない交ぜになって論議され扱われる悲劇 投稿者 ぷち熟女 日時 2003 年 11 月 14 日 09:00:07)


ぷち熟女さん、レスありがとうございます。


>ひとつだけ今書きますと、多数の国民があんなにこだわっている第9条ですが、
>平和憲法であるのはわかりますが、現在、あれでは実際もう役に立っていません。
>あるにはあるが、ないがしろにされているのは事実です。
>ないがしろに出来ないようなものでなくてはなりません。
>憲法の、それも第9条にも手を加える必要があるのではないか、と思うのはそれも動
>機になっています。

第9条が、「あるにはあるが、ないがしろにされているのは事実」という指摘は共有していますが、「あれでは実際もう役に立っていません」という指摘には疑義を持っています。

ないがしろにされていながらも、第9条があることで、それなりに役には立っていると見ています。

反戦平和政治勢力は、微力とは言え、第9条を楯に異議を申し立てることができます。
第9条がなければ、純粋な政治(“国益”)で軍事行動が論議されることになります。

一方、自民党など対米追随派も、第9条があることで米国の要求を100%受け入れるのではなく、「第9条があるから、ここまでしかできない」というエクスキューズができます。

そして、第9条があることで、少しでも政治に関心がある人は、国家−憲法−個人の関係や憲法問題を考えることになります。


「ないがしろに出来ないようなものでなくてはなりません」には多いに共感します。

法治国家が個々の法律や政策の適合性を規定する最高法規である憲法をないがしろにしていることは、法治国家ではなくなったことを意味します。

国家の自然権である自衛権の発露としての交戦権を否定し交戦に必要な戦力の不保持を定めている条文を、自衛権があるから戦力を持ち自衛のための交戦権はあるという解釈する強弁を認めれば、子供を殺された親が殺人者を殺すのは親の自然の心情の発露だから...とか、戦前の満州事変や2・26事件のようにお国のために良かれと思ったことだから...といった非合法の行為を法論理として否定する根拠を失うことになります。

憲法をないがしろにしている政治家や裁判官は、適法に選ばれているとしても許すことができない存在だと判断してテロに及んだとしても、法論理的に非難することはできません。
国土に外国の軍隊を駐留させている政府は適法に成立しているとしても売国奴集団であるとして天誅を加える行動をしても、第9条をもって戦力の保持も交戦権もあるという詭弁を弄することと比較して、一方のみが誤りとは言えません。

憲法改正にあたっては、実態に憲法を近づけるのか、実態をいったん捨象して論議するのかという大きな問題があります。
違憲の実態があるから憲法条文をそれに近づけるというのでは、法治国家とはなんぞやという根源問題に抵触します。
違憲の実態ではなく、独立主権国家である日本が、国民の生活と安全を確保し、国際関係の安定と平和を維持するためにどのような理念を国策の基礎に置くべきかを論議の基軸にしなければならないと考えています。

個人的には、「敗戦責任」の明確化が憲法改正の出発点として行われるべきだと思っています。

最後に一つ、護憲主義者は今回の選挙でぴくぴくしていますが、憲法改正は国会議員の2/3の発議を経て国民投票の過半数の賛成をもってできるものですから、憲法改正を阻止できる可能性も高い一方、そのような過程を経て改正されたものならばそれこそ民主主義の現われなのですから受け入れるしかないものです。

憲法改正は、憲法のみを抵抗の支えにしてきた反戦平和勢力が護憲主義から脱却するいい機会になるかもしれません。

憲法改正を終末のように考えてしまうようでは、新しい現実に立った政治活動はできないでしょう。

現今の政治情況での憲法改正には反対ですが、適法手続きで改正された憲法は、新しい現実として暖かく迎え入れます。

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