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十勝沖地震の津波第一波で水没した十勝港。岸壁のトイレは上半分をのぞかせているだけ=北海道広尾町(9月26日午前5時20分ごろ、広尾海上保安署提供)
http://www.shizushin.com/jisin/news03101502.html
国内では九年ぶりのマグニチュード(M)8。予想される東海地震と同等の巨大規模となった十勝沖地震は、津波の怖さをあらためて印象付けた。津波の実像と防災対応を現地で取材し、東海地震への教訓を探った。
襟裳岬から約六十キロ北、太平洋に面した北海道・広尾町の十勝港。九月二十六日午前四時五十分、たけなわの秋サケ漁の水揚げ前でまだ静かな港内は、強い揺れに見舞われ、一転して混乱に陥った。
係留されていた三十隻ほどの船は、駆けつけた漁師たちの手で、クモの子を散らすように沖合へ。入れ替わるように五時十分、広尾海上保安署の井戸秀平専門官(49)が署に走り込んだ時には、まだ港に異変はなかった。しかし、津波に備えて署の車を高台に動かし、戻るまでのわずか十分間で、様相は一変していた。「署よりもっと陸側の路地の交差点まで水に漬かっていて、もう署内に入れなかった」
少しの間をおいて何とか署の二階事務室に駆け上がり窓越しに海面状況を観察していた。「波が押し寄せるというより、ひたひたと海面が盛り上がってきたという感じ」で、港は一メートル以上も冠水。二隻の漁船が岸壁に乗り上げた。周囲の車は数十台がたちまち運転席の上まで水没し、岸壁のトイレは上半分だけを水面上にのぞかせていた。
やがて、引き波に変わった。「引くときはすごく速い。さーっと海面が下がっていった」。魚を入れるコンテナなど、陸上にあった物が吸い込まれるように次々と流れ出ていき、車も三台が港内に消えた。
北海道開発局が設置する十勝港の潮位計が観測した潮位変化は、最大約三・五メートル。港周辺の人たちの多くは、高台から津波の様子を不安げに見守っていた。「最初の波の後も、何度も水が上がったり下がったりして、いつまで続くんだろうと思った」。住民の女性(58)はそう振り返った。大きな潮位変化は半日以上にわたった。
十勝港から北に約六十キロの豊頃町・大津漁港も同様だった。五時二十二分に約二メートルの第一波を観測。九時までに第九波を数え、岸壁周辺の漁船の多くがひっくり返った。沖に出ていた漁師(60)は「連絡で急いで帰港したが、もう津波が来ていて昼すぎまで港内に入れなかった。予想以上の速さだった」と印象を語った。港近くの十勝川河口では、二人の釣り人が波にさらわれ、今も行方が知れない。