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(回答先: 分水嶺のダム事業(上)・群馬県戸倉ダム中止 (熊本日日新聞) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 28 日 16:06:06)
http://www.kumanichi.co.jp/kawabegawa/bunsuirei/bunsuirei02.html
知事交代で「白紙」から議論 計画から32年目…利水目的失う
「ダムに代わる治水方法も十分検討すべきだ」「推進か中止か、一日も早く方向づけしてほしい」
今月十八日、佐賀市のホテルであった「城原川流域委員会」の二回目会合。委員十八人がそれぞれ何を論点にすべきかを提案し、計画から三十二年目を迎えた城原川ダムに論点が集中した。
流域委は今年十一月、佐賀県と国土交通省が共同で設置した。河川整備計画策定に向け、住民意見を反映させる手続きの場だ。治水はもちろん、水利用や自然環境などを論議するとき、ダムの是非は避けて通れない。
同ダムでは水道用の利水目的を失った上に、下流の治水受益地では不要論が渦巻く。水没予定地ではダムへの賛否をめぐって住民は割れたまま。これから始まるダム論議は、困難が伴いそうだ。
■1年以内に結論
佐賀県では四月、知事が交代した。ダム推進の前知事とは違い、古川康知事は「健全な議論が足りない」との現状認識を示し、流域委設置に踏み切った。さらに「時間はかけられない。一年以内に結論を」と早期解決に意欲をにじませる。
委員は大学教授、流域自治体の推薦者、公募した住民ら。「ダムへのスタンスにはかなり幅がある」と県河川砂防課。古川知事の「最初から(ダム推進か中止か)結論が見えるような選任は避けたい」との意思がうかがえる。
これを踏まえ、九州地方整備局の事業評価監視委は十一月までに、同ダムについて「流域委の結論が出る一年後まで、継続か中止かの判断を見送る」との方針を決めた。
「ダムについては、国交省としても白紙の状態で、議論の深まりを待ちたい」。筑後川河川事務所の中村健一所長は明言する。「川辺川ダムなどと比べ、治水代替案などの議論が掘り下げられていないと感じる」
■歴史遺産が点在
城原川を含む筑後川水系では、国交省は従来の「ダム推進」一辺倒を改め、柔軟な立場への転換が進んでいる。今年、八年ぶりに見直された河川整備指針では、城原川ダムなどの計画中のダム建設には触れず、環境保全型の河川管理の在り方を強調した。
ダムによる治水上の最大受益地の千代田町。ダムに反対する内川修治町長は「城原川の治水対策は確かに遅れている。その代わり、昔ながらの川の姿を残し、魅力にあふれている。ダムに頼らない洪水対策を急ぐべきだ」と提案する。
城原川沿いを歩くと、江戸時代の名残がある施設が目に飛び込む。農業用水などを引くため、木のくいと草で流れをせき止める「草堰(ぜき)」、洪水対策として利用された氾濫(はんらん)許容型堤防の「野越し」などが点在している。
委員からは、こうした”遺産”の再利用を提案する意見も相次いだ。流域委の議論は、川の過去と現在を見つめ、将来の川の姿を描き出す作業ともいえそうだ。
(報道部・田口貴一朗)
◇城原川ダム 佐賀県脊振村と神埼町にまたがる筑後川支流の城原川に、国土交通省が治水、利水、流量調整などの多目的ダムとして計画。総貯水量約1600万トン。1971(昭和46)年に予備調査を始めたが、水没予定地の一部住民が反対。着工のめどが立たないなか、利水者の佐賀東部水道企業団(佐賀市など13市町村)が01年、ダム事業に参画しないことを決定。井本勇・前知事が昨年12月、目的を治水と不特定用水に変えて推進するよう要請した。
熊本日日新聞 2003年12月29日朝刊掲載