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分水嶺のダム事業(下) 近畿・淀川水系5ダム (熊本日日新聞)
http://www.asyura2.com/0311/ishihara7/msg/241.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 30 日 12:49:49:eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: Re: 分水嶺のダム事業(中) 佐賀県城原川ダム (熊本日日新聞) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 29 日 13:23:33)

http://www.kumanichi.co.jp/kawabegawa/bunsuirei/bunsuirei03.html

淀川水系流域委員会 5ダムに「待った」  反対派加え…独立性、透明性貫く

「(淀川水系の五つのダムは)中止を含め抜本的見直しが必要」

 今月九日、国土交通省近畿地方整備局の「淀川水系流域委員会」は、河川整備計画に対する最終意見書を提出。一月の提言に続き、計画中の五つのダムに「待った」を掛けた。こうした諮問機関が、事業の再検討を求めるのは異例だ。

 「淀川流域におけるダムの有効性を含め、一つ一つ検証した結果であり、すべてのダムへの反対決議ではない。建設する場合は、その必要性について流域委や住民が納得できる説明をしてほしいと求めているだけだ」

 委員の一人、今本博健・京大名誉教授(河川工学)はこう解説する。

 ■事務局は民間に

 流域委は、運営方法や約三百回に及ぶ議論の量など、多くの点で従来の諮問機関の“常識”を覆した。委員にはダムに反対する人も加えた。事務局は民間に委託し、議事録、資料などもすべて公開。独立性と透明性にこだわった。

 一九九七(平成九)年の河川法改正で、河川整備で環境に配慮する視点と、住民参加の手続きが加わったことが背景にある。「改正法の趣旨にのっとり、徹底的にやってみたいと思った」と宮本博司・同局淀川河川事務所長。

 さらに、同水系は二府四県にまたがり、約千七百万人の住民を抱える。「これほど大きな流域では委員会だけ合意しても物事は進まない。いずれ批判的な意見にぶち当たる。だったら初めからいろんな意見の人を入れて堂々と論議した方がいい」と宮本所長は言う。

■建設地は猛反発

 一月の提言を受け、同局は五つのダム本体工事を凍結。十月にまとめた基礎原案では、流域委の意見を大きく反映し、「川が川をつくることを手伝う」と環境重視の基本理念を打ち出した。

 ただ、ダム計画については、結論を持ち越したままだ。今秋には、利水者の大阪府などが事業からの撤退を表明。一方、建設地の滋賀県は猛反発。関係自治体の思惑は複雑に絡み合う。

 宮本所長は「そう簡単に結論が出せることじゃない。委員会だけでなく、地元の意見も聞く必要があり、代替案の検討も含めてまだ時間が必要」と話す。

■一つのモデルに

 同局は、年度内に原案の修正を終え、数年後には整備計画を策定。流域委もチェック機関として残す方針だ。今本名誉教授は「淀川では、河川管理者が、受けて立つ姿勢を見せてくれた。ただ、流域委の意見をどこまで整備計画に反映させてくれるか、最終的な評価はこれから」と指摘する。

 流域委が粘り強く審議を重ね、多様な意見を一つにまとめ上げた意義は大きい。賛否が分かれる公共事業において、社会的な合意を形成する一つのモデルを示した。

 一方、川辺川ダムをめぐっては、熊本県を調整役に住民討論集会を重ね、国交省とダムに反対する市民団体が論戦を続けているが、議論の行方はまだ見えてこない。最終判断をどう導くのか、行政側の動向に注目が集まる。(報道部・浪床敬子)

 ◇淀川水系流域委員会 2001(平成13)年2月、国土交通省近畿地方整備局が学識者などの意見を聞く場として設置。委員は公開の場で選出し、河川工学や環境学の専門家、市民団体など多様な分野から53人が参加している。今年1月、「ダムは原則つくらない」とする提言をまとめ、注目を集めた。


熊本日日新聞 2003年12月30日朝刊掲載


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