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(回答先: 白神山地の世界遺産登録10年 自然との共生に課題山積 /青森(毎日新聞) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 10 日 22:55:20)
青森県と秋田県にまたがる世界遺産・白神山地は9日、1993年に遺産登録が決定して10周年を迎える。登録後、自然の保全を目的に厳正な規制が敷かれ入山全面禁止だった核心地域は、97年7月に青森県側の指定された27ルートでの入山が許可されるなど、管理する国側などの姿勢に変化がみられるようになった。青森県や県内の地元町村、地元住民、自然保護団体ともそろって10年の節目を祝うが、核心地域への入山の是非をめぐる議論は今もくすぶっており、観光利用など白神山地をめぐる思惑は、まちまちだ。
<国・県/両立狙いブランド化>
白神山地の管理の一角を担う東北森林管理局青森分局は、10周年を経た今後は95年に策定した白神山地世界遺産地域管理計画に基づき、各種事業を推進する方針。岸純夫分局長は「貴重なブナの原生林が残る地域は、生態系が損なわれないよう管理する」と語る。
核心地域への入山は今年7月、許可制から届け出制に変更された。許可制だと入山者数が漏れがちなため、届け出制にして実数を把握し保全管理を図るのが目的。
同分局によると、登山目的の核心地域への入山者数は1995年度から2002年度までで延べ2760人。本年度は届け出制になったが、02年度(延べ433人)とほぼ同じとみている。
自然の保全と観光面などでの活用のバランスをどうとるか。県は、両面で白神山地の世界ブランド化を促進する。2005年秋にはアジア太平洋地域の関係者を集めた「世界自然遺産会議」を県内で開催、全国や世界に向けアピールする。
県自然保護課の富岡司課長は「国や地元自治体、自然保護団体などとの連携を密にして、本県の豊かな自然を次世代に伝えたい」と語る
県は東北新幹線八戸開業と絡め、登録地域内の観光名所「暗門の滝」(西目屋村)を中心とした観光客の入り込みに期待する。
<周辺自治体/誘客が活性化の核>
白神山地の世界遺産登録以降、周辺の西目屋村、鯵ケ沢町、深浦町、岩崎村への観光客の入り込み数はいずれも増加した。中でも西目屋村は昨年の入り込みが53万4000人で、登録年の93年の約4倍に増え、白神を核とした村活性化に期待を寄せている。
同村では宿泊施設の「ブナの森白神館」や、コテージやキャンプ場を備えた「アクアグリーンビレッジANMON」などを整備。村観光企画課は「今後は自然を生かした冬の観光も考えたい」と話す。
また鯵ケ沢町は昨年、元営林署職員や役場職員らによる「あじがさわ白神山地ガイドクラブ」を結成、世界遺産地域周辺の観光案内を担っている。ガイドの充実もあってか、ブナ林の中に設けた町営の遊歩道「ミニ白神」の昨年の利用者数は、前年と比べ30%増の約2万人に上った。
その一方、世界遺産地域へと向かう道路は未舗装の区間も多く、観光客にとっては不便な面もある。町企画課はこの理由を「あえて不便さも体験してもらうことで、観光客に白神山地のありのままの姿を見てもらいたい」と説明する。
企画課はまた「観光などで自由に活用できるのは、あくまで世界遺産地域周辺だけ。白神山地では、古くからのマタギ(狩猟)生活など、自然を壊さぬよう自制しながら暮らしてきた文化もある。観光と自然保護、地元の暮らしをそれぞれ両立させる方策も考え続けなければならない」としている。
<民間/「育樹」活動広がる>
世界遺産地域だけでなく、周辺を含めた白神山地全体を人々に恩恵を与えてきた自然としてとらえ、かかわり、その全体の保全を目指そうという動きが民間、住民の力で進められている。
日本山岳会県支部は99年、遺産地域に隣接する鯵ケ沢町の櫛石山周辺でブナ林再生事業を始めた。見事なブナ林が広がっていたが伐採され、杉の植林地となった場所。自生するブナの成長を妨げる草木を刈り取るなどの「育樹」に取り組んでいる。
同事業にはここ数年、高校生や中学生も参加するようになった。リーダー役の村田孝嗣さん(54)は「自然を壊してきたのも守ってきたのも人間。白神山地を活用し、人と自然とのかかわりを考えながら大切にしていく活動とし、次世代につなげていきたい」という。
かつてブナ林を縦断する青秋林道の建設反対運動に加わった鯵ケ沢町の「赤石川を守る会」も今年、赤石ダム近くで同様の活動を実施した。中浜和夫会長(61)は「批判するだけが自然保護活動ではない。これからも地元から白神山地を見守っていきたい」と語った。
[世界遺産・白神山地] 青森、秋田両県にまたがる白神山地のうち中心部の約1万6900ヘクタール(青森側約75%)が1993年12月、ユネスコ(UNESCO、国連教育科学文化機関)の世界遺産(自然遺産)に登録された。
世界最大級のブナ天然林や、国の天然記念物に指定されているクマゲラなど多種多様な動植物が生息・自生している。
規制の度合いに応じて「核心地域」(1万100ヘクタール)と「緩衝地域」(6800ヘクタール)に区分して管理。環境省と林野庁、両県でつくる「白神山地世界遺産地域連絡会議」が連絡調整を行い、保全管理を進めている。
[12月9日7時3分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031209-00000007-khk-toh