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(回答先: 白神山地世界遺産登録から10年 保全か観光か【河北新報】 投稿者 エイドリアン 日時 2003 年 12 月 12 日 11:54:42)
[「くろくまの滝」には紅葉がよく似合う。落差85mの滝は, 赤石川支流にあり、日本の滝百選に選ばれた。幅が15mのこの滝は県内屈指の規模 を誇っている。]
■ 1. 十二湖がある岩崎村は、世界遺産で有名な白神山地の麓に位置する。ご存知のように、白神山地が世界遺産に登録されたことで、入山規制、地域での利用方法に関して、さまざまな問題が発生しているところである。
・白神山地の保全と管理の問題
クマゲラを代表とする生態系とブナの森はまもられたが、世界遺産に登録された後の利用と保全の仕方について、地元の生活者と行政や学識関係者がもっともっと議論を重ねる必要がある。自然を放置したまま保護するのか、人間がかかわっていくことで保護していくのかに分かれている。入山規制をどのように扱うのかが大問題であろう。
・赤石ダムからの取水に関する問題
この問題は誰が考えてもおかしな話であろう。ブナ林が蓄えた水が地元の赤石川には少ししかながさず、発電のためと称して十二湖側に大量に流されているからである。水利権の問題を現状にあうように再検討する必要があると思う。
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■ 2. そんな中で、2001年7月10日の午後9時15分から、NHKの「プロジェクトX」で「白神山地・マタギの森の総力戦」〜奇跡のブナ林・攻防2000日〜と題して放送された番組を見る機会を得た。
確かに白神山地は残り、ブナの森は守られたのであるが、それを守るために払われた犠牲はあまりにも大きかったのではないかと思った。特に弘前在住の根深 誠氏が会社を首になっても頑張ったことは高く評価したいし、その後の真摯な活動にも頭が下がる思いであった。
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青秋林道は青森県と秋田県を結ぶことで地域の活性化を図ることを目的としたものであったのだろうが、自然破壊ということを考えなかったことや地域住民の意見交換が不十分であったことが問題を複雑にしたのであろう。それが世界遺産に登録されるまでの10年間もの長い戦いにつながったのに違いないと思っている。
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白神山地に関する問題点は「青森の自然を守る連絡会議」が運営する世界遺産「白神山地」をアクセスすれば詳しくわかるようになっている。
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■ 3. 白神山地は、世界遺産に登録されるずっと以前から周辺の町や村の住民にいろいろな恵みを与えてきたのである。世界遺産になったからと言って、地域の住民から既得権や生活権を奪ってしまうのはどうかと考える。
林業で生計を立てている人もいるし、山菜取りもいる。マタギなどは大昔から白神のブナ林で生活してきているのである。それらの人達が白神山地を荒らしたと言う話は聞かない。それどころか白神の山をうまく利用し、共存共栄してきたことは明白な事実なのである。
問題なのは他の地域から山に入るマナーの悪い人達ではないのだろうか。そのような一部の心無い人達のために、先祖代々営々と山との良い関係を築いてきた地域の人達から、山との係わり合いを断ち切ってしまう様な権限はだれももっていないと思うのである。
また、赤石ダムの水利権も理解できない問題である。ダムが完成した当時は赤石川の水量にも異常がなかったと聞く。しかし、数年経過してから「弘西林道(西目屋村〜岩崎町)」の建設のため、上流にあるブナ林が大量に伐採されたことから、水量が激減して水流に異常をきたしたと言う。
そのため、赤石川の環境が激変し、川で捕れていた「金鮎」がほとんど捕れなくなってしまったと言われる。白神山地でできた綺麗な水は、赤石ダムに蓄えられ、発電のために4.5立方メートル/秒を追良瀬川へ流し、赤石川にはたったの0.137立方メートル/秒しか流していないとのことである。
東北電力の発電のために不自然なことが白神の大自然の森の中でまかり通っているのである。すでに21世紀に入ったというのに昭和30年代の遺物をいまだに維持しようとする考え方には賛成できない。もう、既成概念を捨てて新しい考え方をしなければならない時代になったのではないかと思う。
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白神山地は、到底人間の浅はかな考え方ではコントロールできるような自然環境にはない。もっと偉大なものが支配していると考えるべきであろう。
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■ 4. 私が見た十二湖の背景には白神山地がある。白神山地の水の一部が本来流されるはずの赤石川にはほとんど流されていない。十二湖も赤石川も白神山地によってできたものであるが、その自然の創作物を人間が作った小さなダムによって捻じ曲げられているのである。不本意ながら十二湖は赤石川の水で潤っているのである。
雄大に見え、美しく、自然が豊かな世界遺産「白神山地」の裏では、人間の憎悪、利権そしてエゴイズム(利己主義)「津軽のジョッパリ」等のドロドロしたものが渦巻いているのだと思うとまことに残念でならない。別な視点から「入山規制」、「水利権」を見直していただきたいものである。
皆が仲良く暮らせるようにならなければ世界遺産を守って行くことはできない。プロジェクトXの番組の中でマタギの三代目、吉川隆氏が話していた「白神はそこにあるだけでいいのだ。人間が管理するとか言う以前の問題なのだ」が全てを物語ってはいないだろうか。(了)
By Hidetaka Sato. 2001年7月11日
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■ 5. 私的なことになるが、「熊の湯温泉」の当主でマタギの三代目の吉川 隆氏は私の従弟である。私の母の妹の子供である。私のホームページと共に宜しくご愛顧をお願いしておきたい。なお、熊の湯温泉の電話は0173-79-2518である。今回放送されたNHKの「プロジェクトX」にも出演していた。
http://homepage1.nifty.com/ja7bal/shirakami.htm